(C)藤本タツキ/集英社 (C)2026 K2 Pictures・集英社

小学館漫画賞などを受賞し、2025年には劇場版『チェンソーマン レゼ篇』が公開されるなど、国内外で高い評価を受ける漫画家・藤本タツキ。なかでも『ルックバック』は、2021年に『少年ジャンプ+』で公開されると大きな反響を呼び、『このマンガがすごい!2022』オトコ編第1位を獲得したほか、多くのクリエイターや漫画ファンから支持を集めた。2024年には劇場アニメ化され、第48回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞。2026年7月現在、発行部数は100万部を突破している。なお本作は、藤本タツキ作品として初の実写映画化となる。
監督・脚本・編集を務めるのは、2018年に『万引き家族』でカンヌ国際映画祭パルム・ドール(最高賞)を受賞した是枝裕和。近作でも『ベイビー・ブローカー』(2022年)、『怪物』(2023年)、『箱の中の羊』(2026年)がカンヌ国際映画祭に出品されるなど、国内外で高く評価されている。是枝監督は偶然立ち寄った書店で原作と出会い、その物語と作り手としての覚悟に深く心を動かされたという。こうして、藤本タツキとの初のコラボレーションが実現した。

漫画の腕に絶対の自信を持つ藤野と、彼女に憧れを抱きながらも圧倒的な画力を秘めた京本。漫画へのひたむきな思いで結ばれたふたりを、ある日思いもよらない出来事が襲う。原作と同様に、小学生時代から始まるふたりの13年間の軌跡を、繊細かつみずみずしく描き出す。撮影は主に秋田県にかほ市で四季を通して行われ、春夏秋冬それぞれの風景が作品の中に刻まれた。
藤野役を演じるのは、Netflixシリーズ「舞妓さんちのまかないさん」や映画『か「」く「」し「」ご「」と「』『万事快調〈オール・グリーンズ〉』に主演した出口夏希。京本役には、『ハピネス』『消滅世界』に主演し、『海よりもまだ深く』をはじめ数々の是枝作品に出演してきた蒔田彩珠が扮する。また、子ども時代の藤野と京本には、七瀬ふうりと岡田六花がそれぞれ起用された。
漫画を描くことに情熱を注ぎ、二度と戻らないかけがえのない時間を共に過ごしたふたり。少女たちの成長と喪失を描く物語が、スクリーンに映し出される。

ベルリン、カンヌと並ぶ“世界三大映画祭”のひとつであり、最も歴史の古い映画祭である「第83回ヴェネチア国際映画祭 コンペティション部門」への正式出品、第51回トロント国際映画祭 スペシャル・プレゼンテーション部門も決定し、世界中から熱い視線が注がれる本作。この度、主人公の藤野と京本が、一心に漫画制作に没頭する本編映像が初解禁となった。

解禁されたのは、藤野の部屋でともに机に向かい漫画を描く藤野(出口夏希)と京本(蒔田彩珠)の日常を切り取ったシーン。キャラクターを描く藤野と背景を描く京本がそれぞれペンを走らせる音や、原稿の紙が擦れる音が印象的に響く中で、描き上げた原稿を覗き込みながら「そこもう少しシンプルな方がキャラクターが立つかな」と藤野、「そっか、つい描きすぎちゃった」と京本。二人の自然体な会話が聞こえてくる。「主人公の男の子の名前決めてなかった…」と、独りごちながらペンを走らせる藤野の声に、楽しそうな微笑みで聞き耳を立てて、「しゅー、しゃー、しゅー、しゃー」と、自身が描く線の音を口ずさみながら背景を埋めていく京本。ひたむきに漫画に情熱を捧げた二人の、かけがえのない時間を覗き見るような映像となっている。

クランクインの約4カ月前から漫画を描く練習に打ち込み、撮影期間中も時間を見つけてはペンを握っていたという出口と蒔田。本編中でも実際に二人が描いている手元が使われており、「手元の寄りは緊張して震えちゃって。でも完成した映像を見たら、ちゃんと上達していく感じが出ていたので練習して良かったと思いました」と蒔田。出口も「ちゃんと練習をやってきたし、自信がないと線に出ちゃうと思って自信満々に描いていました」と、練習を繰り返した成果に自信をのぞかせる。
本作の実写化に先立ち会話をした原作・藤本タツキの、「ベテランアシスタントの方がペンで迷いなく線を引く『シャッ』という音がかっこいいんです」という話から、実写で本作を描いてゆくうえでの着想を得たということも明かしている是枝監督。そんな藤本氏の言葉をまさに具現化した、漫画を描くシーンの“音”へのこだわりについて、「やっぱり音がだんだん変わらないといけと思っていた。そこは実写ならではの部分だったから。最初は、子供だった2人が恐る恐る描いていた線が、成長した時に『シャッ、シャッ』という音になってないとダメ。それは伝えられたと思います」と語る。漫画制作ならではの“音”にも注目して、劇場のスクリーンに映し出される藤野と京本の姿を見届けてほしい。