©2026 映画「日曜のあと」製作委員会

2023年、長編2作目の映画『ほつれる』で、第45回ヨコハマ映画祭〈森田芳光メモリアル新人監督賞〉、第45回ナント三大陸映画祭コンペティション部門〈DISTRIBUTION SUPPORT AWARD〉を受賞し、さらに2024年にはスペインのバレンシア国際映画祭で最高賞〈Luna de Valencia〉に輝くなど、その作家性が国内外で高く評価されてきた劇作家・演出家の加藤拓也が、自ら脚本を書き下ろした監督最新作『日曜のあと』。
子どもを授かり、新たな人生の節目を迎えた麻衣と洸一。お互いに望んだ幸せであるはずなのに、言葉にできない何かが二人の間に置かれたまま、旅先での5日間が始まる・・・。

妊娠した妻の麻衣を演じるのは黒木華。2014年に『小さいおうち』で第64回ベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞し、若くして国内外で高い評価を受けた才能が、作品ごとに表現を重ねる中で育まれた深みをまとって現れている。その夫である洸一には、加藤の手がける舞台でたびたび主演を担い、作品の顔として劇中世界を支えてきた橋本淳。両者の呼応が、繊細なズレの積み重ね、徐々に高まっていく緊張感、引き返せない思いの発露までを、一片の綻びも許さない密度で紡ぎあげた。彼女らの危機に立ち会う麻衣の叔母夫婦には吉田羊と古舘寛治。また、Netflixシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』(24)の原案を担当した俳優の今井隆文が、本作にて初めて映画の企画・プロデュースを担当。「夫婦」という最も身近で、最も複雑な人間関係を描く、加藤拓也監督の新たな最高傑作が誕生した。
本作は、第31回釜山国際映画祭(10/6~10/15)のコンペティション部門に選出され、国内外で注目を集めている。

この度解禁されたメイキング映像は、有名企業のCMを多数手掛けてきたCMディレクターの鈴木わかなが撮影と編集を担当。黒木華、橋本淳、吉田羊、古舘寛治ら実力派俳優たちが緻密な芝居を重ねた裏側に迫ると共に、現場での彼らの自然体な姿を捉えている。

一つ目の映像は、妊娠した妻・麻衣を演じる黒木華にフォーカスしたもの。子供を授かり、ただ待つしかない時間と空間の中で、言葉にできない感情を丁寧に紡いだ黒木は、「私である必要がある気がするのが、心地よいのかなと思います」と麻衣役は必然だったと言い、「全く自分じゃないものをつくる時もある。でも、加藤監督の作品に関しては、いわゆる“生っぽい”というものになるのかもしれませんが、自分の反応として出るものに、麻衣のレイヤーをギュっとしていくイメージ」と内面的なアプローチについて語っている。

二つ目の映像では、四人が互いの印象や、刺激を受けたことについて語ったもの。座長の黒木は、「包容力がある素敵な役者さんばかりだったので、何の心配もいらなかったです。私にもできることがあればと思いましたが、みなさんも同じように思ってくれていたと思います。私は何より一緒に楽しく作品作りに関われたらと思っているので、お芝居のやり取りができるみなさんとの撮影はとても楽しかったです」と安心感をもって撮影に臨めたと言う。
麻衣の叔母・由美役として、夫婦の危機に立ち会うことになった吉田は、「華さんと淳さんに関しては、加藤監督の舞台も出演されているので、いわゆる加藤節の台詞まわしが本当にお見事で、演出の理解も早いし、とにかく圧倒されました。一見嚙み合っているようで、心はすれ違っているというお芝居がすごく嚙み合っていました」と黒木と橋本の飲み込みの早さに感服の様子で、これまでも加藤監督の手がける舞台でたびたび主演を担ってきた麻衣の夫・洸一役の橋本は「四人でいる時のバランス関係がとてもいいなというのは演じながら感じていました。喧嘩のシーンとかで、羊さんも本当に芝居巧者な方なので、相手を動かす芝居というのが上手、というとおこがましいのですけど。一人ニュアンスが変わると全員が変わるというのはやっぱりお芝居していて楽しいです」と四人芝居で新たな気づきがあったようだ。また、吉田が「演じるというよりも、ただそこに存在している人という感じ。それは私が役者として生涯追い求めている姿でもあり、それをまた間近で拝見できてすごく幸運でした」と絶賛するのは、由美の夫・哲也を演じる古舘寛治だ。古舘は共演した感想を「本当に良い共演者たちです。話す機会も割とあって、ああこんな人だったんだなあ、みたいな。みんな俳優としてもいいし、気遣いもあって。大人だなと思います」と振り返り語った。

人と人が共に生きていく上でどうしようもなくすれ違ってしまう感情を浮き彫りにする。その作家性が国内外で高く評価されてきた加藤拓也監督と、日本映画屈指の俳優陣が織り成す、美しく繊細で濃密な心理劇。是非スクリーンで極上の映画体験に浸ってみてほしい。

<メイキング:鈴木わかな コメント>
名前もついていない、自分自身も何と伝えたらよいか分からないが、確かにこの心の中にある感情、違和がそこにある。
加藤監督の手によって、その感情は静かに建ちあがり私達の観察の目に晒されていく。
削ぎ落とされた美しい建築の場で、黒木さん、橋本さん、吉田さん、古舘さんの何層にも積み重なる極上な演技の交換が続きます。
登場人物全員が感情を言語化しない世界、でも本当の心はそういうところに在るのかもしれません。