■大久保忠寛(おおくぼ・ただひろ):渡辺いっけい
堅物の旗本。「もののふ」を口癖とし、常に「もののふ(武士)としてふさわしいか」を行動規範とする。文武両道を究め、外国事情にも精通。ペリー来航時に目付および海防掛に取り立てられた。ここで勝海舟の書いた海防意見書に目を留めたことから勝の人生が開けていく。長崎海軍伝習所の初代幹部伝習生に勝を推薦したのも大久保で、6歳年下の勝を大いに認め、生涯の幕臣仲間となる。清廉潔白で融通のきかない性分ゆえ左遷と登用をくり返すが、実は誰よりも早く「大政奉還」を唱えたのが大久保だった。

<コメント>
主演の松坂桃李君演じる小栗忠順と大沢たかお君演じる勝海舟とのやり取りは台本を読んでいるだけでワクワクします。僕がやらせてもらう大久保忠寛氏は勝海舟を幕府に引き入れた役人であり、いち早く大政奉還を唱えた所謂「先見の明」がある人物。役者として非常にやり甲斐を感じています。幕末の役人達は少しでも選択を間違えれば命を落としかねない状況下だった訳で、きっと肝の座り方が違う。その中でも特に気骨があったと言われる大久保忠寛氏。その「居様」を少しでも感じてもらえるよう、真摯に役に取り組みたいと思います。

■林 復斎(はやし・ふくさい):佐野史郎
儒学者、林述斎の四男として誕生。幕府直轄の最高学府「昌平坂学問所」の大学頭(頭取)を代々担う林家当主となる。250余年もの日本外交の記録をまとめた『通航一覧』全350巻の編纂に携わり、まさしく外交の生き字引に。ペリーが来航すると、いわば特命全権大使である応接掛に任じられる。翌年の再来航時には横浜村での交渉を一任され、漢文を介して、開国を迫るペリーと類いまれなる交渉術をもって対峙。「鎖国を解いて国は開くが、通商は断固拒否」という離れ業をやってのけ、日米和親条約を締結した。

<コメント>
混沌とした内外の政治状況の中で、今回描かれる大河ドラマの果たす役割が非常に重いと実感するのは、現在の国家の形態の礎が、幕末から明治新政府が為される時期にあったからだ。そこで実際に何が行われていたかを検証し直すことで、今ある姿を、これからを見誤ることなく選ぶことができるかもしれないと思うのだ。『西郷どん』で井伊直弼役を仰せつかり、今また、開国、交易を迫るペリーと渡り合い外交の最前線に立つ林復斎を務める。血塗られた幕末から維新へと至る戦の史実から目を逸らしてはならないだろう。

■宇津木景福(うつぎ・かげよし):吹越 満
彦根藩士。生まれは近江国だが、井伊直弼の兄である12 代藩主直亮の頃より藩主のそばに仕え、江戸暮らしが長い。直弼が彦根藩主となるとその側近となり、さらに大老に就任すると、公用人と呼ばれる公務の秘書的存在としても彼を支えた。直弼と折り合いの悪かった直亮の側近でありながら、変わらず取り立てられたのは宇津木くらいである。幕府が孝明天皇の勅許を得ずして日米修好通商条約に調印した折には、ひそかに宇津木に辞意をもらした直弼を諌め続投させたとも言われるほど、この二人の信頼関係は厚い。

<コメント>
過去、大河ドラマや映画などで名だたる方々が演じて来た井伊直弼の役は、ここに来て岡部たかし君がやるのだという。
岡部君とは公私にわたり20年以上の付き合いがあり、彼の「若い頃の姿」アルバイトをしながら小さな芝居を作り続けていたみたいな時代を知っていますから、今回の配役は喜びました。
思えば彼とは、同じ釜の飯を、え~と・・・食わせてやったり奢ったり、酒も奢ったり、なんなら彼の息子にも奢ったりしましたよ。
「なんで俺がお前の側近なんだ」
と、御大老に向かって言ったりしてゲラゲラ笑いながら真面目な顔して撮影快調。

■福沢諭吉(ふくざわ・ゆきち):山時聡真
豊前国中津藩の下級武士の次男。ペリー来航をきっかけに、長崎で蘭学を学んだのち、大坂の蘭学者・緒方洪庵の適塾に入る。数え24歳の頃、藩命によって江戸へ。藩邸に蘭学塾を開くが、横浜の外国人居留地に出かけた時にオランダ語が通じず、「蘭学は役に立たない」と悟って独学で英語を学び始める。そんな折、幕府から遣米使節が派遣されることを知り、知人を介して軍艦奉行木村喜毅の従者となって咸臨丸で渡米。ここで勝海舟とも出会う。アメリカでは生の英語と文化を体感、ウェブスターの英語辞書を日本に持ち帰る。

<コメント>
この度、福澤諭吉を演じさせていただくことになりました。お話をいただいた時は、「まさか、ずっと使っていた1万円札の福澤諭吉!?」と驚きました笑。
大河ドラマへの出演は今回で2回目となりますが、再び大河ドラマの世界に戻ってこられることを、とても嬉しく思っています。
撮影に向けて福澤諭吉について調べていく中で、これまで知っていた「偉人・福澤諭吉」という姿とはまた違う、一人の人間としての姿や、激動の時代を生きた中での考え方を知ることができました。
その時代を生きた福澤諭吉を自分なりにしっかりと感じながら、精一杯演じたいと思います。
ぜひ楽しみにしていてください。

■中浜万次郎(なかはま・まんじろう):武井 壮
土佐国中ノ浜の漁師の次男。数え15歳の頃、漁師4名と遠洋漁へ出るが漂流。アメリカの捕鯨船に救われてハワイにたどり着くも、船長に見込まれた万次郎だけ東海岸で教育を受けた。3年ほど捕鯨船で航海した末、ゴールドラッシュに沸くサンフランシスコで金を採掘。帰国資金を得て、11年ぶりに故郷に戻った。対外問題に悩む幕府は、海外事情に精通した万次郎を幕臣に取り立てる。遣米使節派遣時は随行船・咸臨丸の通訳として再び渡米。艦長の勝海舟が船酔いに苦しむなか、航海術と英語力で命懸けの船旅を支える。

<コメント>
『逆賊の幕臣』で三度目の大河ドラマ出演の機会を頂き、関係する全ての皆様に感謝いたします。
人生でいつか幕末を生きられたら、と思っていたので、今回ジョン万次郎を演じる機会に恵まれた事を嬉しく思います。
中浜万次郎は貧しい暮らしから、漁師になるも船が難破し、無人島でアメリカの捕鯨船に拾われたことでアメリカに渡り、英語や米国の文化を身に付け、日本に戻り、幕末の志士を支える役職にまで上り詰める偉人ですが、その生き方に自らと共通した何かを感じています。
全力で万次郎として生き、日本を切り拓く一歩を踏み出したいと思います。

■村垣範正(むらがき・のりまさ):古田新太
江戸に生まれ育った幕臣。村垣家は「御庭番」を代々務め、いわば将軍直属の隠密として情報収集に長けた家筋であった。ペリー来航で日本が揺れるさなか、ロシア使節プチャーチンの応接掛を務めるなどしたのち、外国奉行に昇進する。万延元(1860)年には遣米使節の副使として、目付の小栗らと共に渡米。対等な外交への第一歩を堂々と踏み出す。帰国後、ロシアの軍艦ポサドニック号が不当に対馬を占拠する事件が勃発。小栗が現地に派遣されるその裏で、村垣は箱館でロシア領事と交渉を進め、共に国難に対峙する。

<コメント>
村垣という役である。
外国奉行である。
ドルと両をうまくやらねばならぬ。
ややこしい事である。どうすんだよ。
ま、どうするかはドラマを見ていれば分かるのであろうが、まだ台本ではよく分からん。
徐々に分かるんだろうが、それも楽しみにしておこう。
ま、わからん事だらけだから、楽しみだらけという事だ。

■制作統括 勝田夏子
幕末史を歴史の敗者である徳川幕府の視点から描く「逆賊の幕臣」。今回は、松坂桃李さん演じる主人公・小栗とともに幕府を支える人びとをご紹介致します。
「大政奉還」といえば龍馬ら土佐、「大久保」といえば薩摩の利通……と思いきや、究極の「じゃない方」が、幕臣・大久保忠寛です。大沢たかおさん演じる勝海舟の恩人にして盟友。渡辺いっけいさんの懐深い演技にご期待下さい。「大学頭」林復斎は、言わば東大総長や文科相。幕府を代表する知識人が歴史から学び、決して「やられっぱなし」では終わらなかったペリーとの交渉ドキュメントを、佐野史郎さんが知性あふれるお芝居で表現して下さいます。
岡部たかしさん演じる大老・井伊直弼の側近・宇津木景福は、岡部さんと旧知の間柄の吹越満さん。人間・井伊の微妙な揺らぎを受け止める寡黙な腹心です。ちょっとミステリアスで渋さ全開の魅力をお楽しみに。
後の偉大な啓蒙家にして教育者・福沢諭吉を演じるのは、映画賞受賞など近年活躍の目覚ましい若き演技派、山時聡真さん。「偉人」が「偉人」になる前、英語を勉強したてで苦戦する日々を新鮮かつビビッドに演じられます。
2028年の大河ドラマの主人公でもある「ジョン万」こと中浜万次郎を演じるのは武井壮さん。ご自身もジャンルや国境を越えて活躍されており、この人なら嵐が来ても大丈夫と思える圧倒的説得力で演じて下さいます。
小栗とともに遣米使節や外国奉行として活躍する村垣範正には古田新太さん。御庭番という隠密の家系にふさわしく、いざというとき頼りになる清濁あわせ飲んだ余裕と迫力を、軽やかさをもって表現して下さいます。
歴史上の有名人から無名の人まで多彩な顔触れですが、幕府の仲間たちとしてはまだまだほんの一部です。「こんな人がいたんだ」という発見に満ちた「逆賊の幕臣」、引き続きご期待頂けたら幸いです。