――ドラマは絶賛撮影中とのことですが、手ごたえはどうですか?
永瀬莉子(以下、永瀬):撮影は順調に進んでおります!
藤原大祐(以下、藤原):手ごたえは感じています。熱量がすごいチームなので、これだけのエネルギーで皆が取り組んでいたら、きっと良いものになるだろうなと思います。現場が楽しいです。
――改めてこの作品に出演が決まった時のお気持ちを聞かせてください
永瀬:小春は背負っているものが大きいので、私が演じ切れるかという不安があったんですけど、撮影に入る前の本読みの段階で、監督が「一人で背負わないで、皆で一緒に作り上げていこう」と一番に言ってくださって、それでふっと肩の力が抜けたので、本当に監督に感謝しています。現場に入ってからも、本当に皆で一つになって。先日撮影したシーンでは、音声さんが「僕たちも小春の気持ちでやるから」と言ってくださったくらい、いつも寄り添ってくださる環境です。
藤原:このお話自体がすごく素敵だったので、ストーリーに負けないようにこの世界で生きたいなという覚悟みたいなものが生まれた瞬間でした。
――役を演じられる上で大事にしたいなと思っていることや意識していることはありますか?
永瀬:私は目が見えない役という分、触れるものや香り、聞く声などへの意識を研ぎ澄ませるようにしていました。そういう部分を視聴者の皆さんにも届けていきたいという気持ちで演じています。
藤原:僕は距離感を大事に演じています。かけるは人との関わりのトラウマを持つ大学生という設定なので、言葉の届くスピードや力もそうですし、物理的な距離感だけでなく心の距離感も冬月との間でも変化していきますし、他の友だちとかの間でも、皆違う距離感があって、仲は良いんだけど近すぎない距離感を保っているような子だと思っています。
――距離感って明確な何かがあるわけではなく、表情の感じや受け止め方などを体現していくのは大変ですよね
藤原:感覚の話でしかないので、自分でその場にいて演じてみて、ちょっと近かったら「近い」、遠すぎたら「ちょっと冷たすぎるかも」と監督が言ってくださるので、良い意味で監督に身を委ねているところはあります。


 

――役とご自身で似ているところがあれば教えてください
永瀬:小春は信念を持って毎日を生きていて、柔らかさもありつつすごく芯の通った子だなと思っています。私も自分の中でこれだというものが常にあってブレないようにしているので、そこは似ているかなと思います。
藤原:僕は真っ直ぐなところですかね。かけるは意外と伝えられないだけで、想いはしっかり持っている人だと思っていて、そういう真っ直ぐなところはすごく近いなと思う時があります。
――ご自身とお相手の役の魅力はどのようなところに感じていますか?
永瀬:小春は背負っているものは大きいんですけど、それを感じさせない前向きな子なので、それが彼女の最大の魅力だし、周りにいる皆を彼女の温かさで巻き込む力があるなと思います。
かけるは、小春に対しての不器用ながらもまっすぐで、可愛らしさもあって、魅力的だなと思います。
藤原:かけるはピュアな気はしていて、色んなことに感動できるような人だと思うので、僕はすごく好きです。かけるがいたら友だちになりたいタイプの人です。
冬月は前向きでたくましいところですかね。自分がどういう状況であっても、明日を楽しみに生きている人だと思っていて、今日を全力で楽しもうとしているところはすごく素敵だなと思います。
――演じる中で難しさや苦戦している部分はありますか?
永瀬:良い意味で、自分の頭の中で想像している以上のことが現場での段取りで見えてくる時があります。その場の空気を大切にしている現場なので、そういう面では不安なくできているのかなと思います。
藤原:僕もあまりないかもしれないです。
――お二人とも素直に役を演じられている感覚でしょうか?
藤原:皆、良い意味であまり力が入っていない気はしています。皆がそれぞれ立っているというより、寄りかかり合って一人の人になっているみたいな現場の気がしていて、とりあえず台詞だけ覚えて現場に行こう、みたいな。
永瀬:分かります。頭で考えすぎない感じですよね。
藤原:何も考えていないですね。本当に信頼感のあるチームだなとすごく感じています。
――撮影現場で印象に残っていることはありますか?
永瀬:たくさんあります。私は病室のシーンも多くて、ベッドの上に居る時間が長いのですが、スタッフの皆さんが準備をしてくださっている時に、皆さんの動きを見ているのがすごく好きで。いつも見ているんですけど、意見の交換がすごく多い現場だなと思います。「こうした方が、心情がこういう風に見えるよね」とか、綺麗にただ映すだけではなく、内面から出てくる美しさや儚さを映し出している現場だなというのが、会話とかからすごく伝わってきていて居心地が良く、心地の良い時間をいつも過ごしています。


 

――常に時間に追われている状況だとは思うんですけど、その中でもより良い作品作りをしようと話し合いが行われているんですね
永瀬:皆の目指す場所が一緒だから迷いが無く、そこに向けての意見出しなので、見ていて自分もハッとさせられて、こういうふうになるんだったら、自分ももっとこうできるなというのがさらに浮かんだりして、発見がとにかく多い現場です。
藤原:僕も近いんですけど、ワンカットワンカットへのこだわりがすごいので、そのセッティングの時間のかかり方が普通の10倍くらいかかるんですよ。ワンシーンにかかっている時間は結果的に他のものと一緒なんですけど、本気のライティングとカメラワークのテストを何回もやって、一発でOKが出て、ワンカットで終わる、という。それが終わった後に、各部署の方たちがこだわりを嬉しそうに喋ってくれるんです。「ここさ、こうしてたんだけど気づいた?」みたいに合間に喋ってくれて、「うわ、すごいですね!」という会話をするのが僕は結構好きで。
永瀬:本番で私たちも知らなくて、後からサプライズみたいなことも多いですよね。音声さんが仕掛けてくれていたり。
藤原:あとは、良いシーンが撮れた後に、皆でその余韻に浸る時間があるという。
永瀬:分かる!
藤原:昨日なんて、撮り終った後に拍手が起きて、ハイタッチして、ハグする時間があって、その後に「あそこはなんとかで~」と皆が喋り始めていて、なんか良いなと思ってみていたら、現場を仕切る方が「外観だけ撮らないとやばいから!あと10分でここを閉じないといけないから!」って言ってて、皆で慌てて現場に戻ったりしました。あとは、いつも皆、泣いてくれたりしているんですよね。
永瀬:カメラマンさんとかもカメラを回しながらもうるうるしていたりして、届いているんだなって感じます。