――ミュージカル『The PROM』に出演が決まった時の気持ちを教えてください
最初にお話をいただいた時は、岸谷(五朗)さんと寺脇(康文)さんが主催の知名度のあるカンパニーに初めて参加させていただけるというのはすごく嬉しいなと思いました。それから『The PROM』を知ったんですけど、ブロードウェイで上演されたばかりだったので内容を深く知らなくて。役柄がレズビアンの女子高生だと伺って、プロムが題材でレズビアンの女子高生で、そこに岸谷さんや寺脇さんといった大人のキャストもいて、どういう作品になるんだろう?って……。
――情報量がたくさんありますね(笑)
どれも結びつかなくてハテナマークがたくさん浮かんでいました(笑)。台本をいただいて全貌が明らかになった時に、すごく明るいミュージカルだなと思いましたし、Netflixで映画も見て、色んなテーマを扱いながらものすごく明るくて、見ている方も笑って踊りたくなるような、これこそエンターテインメントだなっていう印象を受けました。

――地球ゴージャスのお二人とは、寺脇さんとは共演経験があり、岸谷さんは初共演となります
寺脇さんは以前ドラマでご一緒したことがあって、少しだけだったのであまり深い話は出来なかったんですけど、その時からすごく明るくて優しい方だなと思っていました。岸谷さんは今回が初めてで、寺脇さんのような明るさやユニークさを持っている方なのかな?って思っていたんですけど、初めてご挨拶させていただいた時にすごく熱い想いを持っている方だと感じました。お二人とも明るくて、キャストを引っ張ってくださっています。
――そんなお二人がいらっしゃる稽古場はかなり明るく楽しいものになっているのではないでしょうか
地球ゴージャス特有の空気感というか、すごくアットホームです。皆で朝のウォーミングアップや発声をしたり、皆のことを愛称で呼び合ったりとかしていて、そういう空気感の中に居られるのはすごく楽しくて居心地が良いです。
――ちなみに葵さんはどんな愛称で呼ばれているんですか?
私は日によって違っていて、岸谷さんからは「わか」とか「わかなちゃん」とか。寺脇さんからは「わっかーな」って呼ばれることもありました(笑)
――和気あいあいとしているのが伝わります
あと、私が通りすがったら絶対声をかけてくださるんです。私がカンパニーの中で歳が一番下なんですけど、話しかけづらさや遠慮してしまう部分を取っ払ってくださっています。

――葵さんが演じるのはレズビアンの女子高生・エマ。役を演じる際に心がけようと思っている部分はありますか?
物語のスタートからエマはかなり複雑な状況にいて、性の多様性の課題があってエマが当たり前だと思っていることが周りに理解されない状況にあります。困難なことばかりなんですけど、その中で大事にしたいと思っているのは、エマは困難を乗り越えていくために成長しようと努力しているけど17歳の普通の女の子だということと、エマの現状を変えようと足掻いているエネルギーが、周りの色々な人に伝染していって前に進む一歩の勇気になっていく必要があるので、そんな状況を変えるくらいのエマのパワーの大きさをどう表現するのか、そこを課題に感じながら稽古をしています。
――周りの人を動かす力の表現、かなり難しいポイントになるのではないかと思います
私は体も小さくて年も若いので、作品の空気をガラッと動かせるほどの人間的なエネルギーやパワーはまだまだ持ち合わせていないところがすごくあると思います。でもエマ役に選んでいただいたからには、めちゃくちゃキャラクターの濃い大人たちの世界観を変えていかなきゃいけないなと思っています。
――個性的なキャラクターばかりですしね
色んな人生を歩いてきた人たちの考えを変えてしまうような一歩をエマは踏み出すことになるので、自分が大風を吹かせるようなイメージで、その風の強さをどのように表現するのかを考えているところです。