――Broadway Musical『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』に出演が決まった時の気持ちをお聞かせください
この作品について名前だけしか知らなかったのでこんな僕なんかが良いのかな……なんて思っていたんですけど、台本や映像を見て、音楽も素敵でこんなに素敵なミュージカルがあるんだなとすごく自分に響きました。また、『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド ~汚れなき瞳~』で一緒だった平間壮一くんとも共演出来るということが嬉しかったですし、心強く思っていました。
――東さんが演じるベニーの役どころは?
僕が演じるベニーはタクシー会社で働いています。一人だけアフリカ系移民なのですが、人種の壁がものすごく分厚くて、想いを寄せるニーナともなかなか上手くいかなかったり、彼女の親の力によって離れてしまったりとか、そういう複雑な環境の中でも強く生きている熱のあるキャラクターだなという印象です。
――東さんとベニー、共通する部分はありますか?
「ああしたいこうしたい!」「あれやりたい!」と物事に対してド直球に向かっていく部分はすごく似ているなと思いました。あとは仲の良いウスナビやソニーとの絡みでお互いをいじり合ったりするのが地元に帰ったらよくあるような感覚で。そこは見ている方も親近感を感じるのではないかと思います。

――今回ベニーはダブルキャストとなっていて、もう一人のベニーは林翔太さんです。林さんの印象は?
めちゃくちゃ良い方です!初めてジャニーズの方とお仕事をさせていただくんですけど、僕の方が全然年下なのに「敬語とかやめてよ」って言ってくださって。本当に優しくて「一緒に頑張ろうね」って。そういう方とダブルで一緒に演じられるというのはとても嬉しいです。
――林さんとは役のことについてお話されたりはしましたか?
お互い他の仕事が重なっていてまだそんな深く話せていないので、これからどんどん話していきたいと思っています。
――ベニーの親友・ウスナビ役もダブルキャストとなっています。先ほどお話にも出ましたが平間さんとは以前ダブルキャストで共演されていました。久々にお会いして嬉しさはありました?
嬉しかったですね。と言いつつ何度かプライベートで会っているんですけど(笑)。5つぐらい年は離れているんですけど親友みたいな関係になっていて、なので一緒に仕事が出来るのはすごく嬉しいです。
――ウスナビ役を務めるもう一人、Microさんの印象はいかがでしたか?
僕めちゃくちゃDef Techさんが好きで。「Catch The Wave」とか「My Way」とかすごく聞いていたので、一緒に歌えるのかと思って内心すごく楽しみでした。Microさんもすごく穏やかな方で、「いいじゃんいいじゃん!最高だよ!」って喋り方も穏やかで。こういう方が真ん中に立っている空気感やオーラっていうのが周りにも伝染していって、良い雰囲気で居られるのかなと思っています。
――ラップやダンスといった音楽面での挑戦が多いと思うんですけど、難しさを感じている部分は?
ラップはやったことがないということもあって難しいですし、音楽の乗り方も最初は分からなかったので、今でも少し不安ですね。あとベニーの曲ってとてもかっこいいんですけど、めちゃくちゃ難しいんです。
――どのあたりが難しいんでしょうか?
カウントが「1・2・3・4、2・2・3・4」ってあるじゃないですか。ベニーの曲はタイミングが取りづらいところで入らなくちゃいけなくて、裏拍でさらに刻んでというか、そのタイミングを取るのが難しくて楽譜とにらめっこしています。でも絶対歌いこなしてやるからな!って思いながら稽古に臨んでいます。

――この作品では色んな人が様々な悩みを抱えて葛藤していく物語になっていると思いますが、東さんの最近の悩みはありますか?
めちゃくちゃありますね。なんか……どうやったら認めてもらえるんだろうとか。人に対して良くしてあげたいと思うじゃないですか。例えば普通に気を遣って「疲れていませんか?」って声をかけたりする時に、そうやってやることをあえて皮肉ったり嫌味で返してきたりする人っていうのはどういう心境なんだろう……っていう悩みとか。
――人の心理と言いますか
そうですね。何でもっと人は手を取り合わずに戦うんだろうって。競争することは良いことだと思うんですけど、あの人が言っていたから攻撃しよう、みたいな。
――昨今SNSとかでも、色々問題になることもありますしね
SNSも然り、今はどこか簡単に物事を見ている気がしていて。面倒な作業ですけど一人一人親身になって話して、「そうやって生きてきたんだ」とか「色々苦労があって、だから今があるんだ」っていうので分かり合えていったらすごく良い関係になれるのではないかと思っていて。もっと気楽に生きて行けたら良いのにと思っています。
――すごく深いお話を聞けました。ありがとうございます。それでは東さんからみたこの舞台の見どころや注目してもらいたいポイントがあれば教えてください
見どころはやはり音楽ですね。音楽の力は本当にこの作品では大きくて、僕の感覚ですけどベニーはセリフを喋っている時間が少なく感じていて。セリフの代わりに曲を魅せていくというところが見どころのひとつです。あとは、ベニーに限らず一人一人に悩みがあったり物語があって。大きな悩みというより恋の悩みとか、「お金もらっちゃったけどどうする?」とか可愛い悩みなんかもあって、皆にも当てはまる何かが明るい作品の中に散りばめられていると思うので、そういうところにも注目しながら楽しんでほしいです。