©2026 映画「未来」製作委員会 ©湊かなえ/双葉社

初めに、完成した映画の感想を問われた主演の黒島は、「現実にある『声を上げられない子どもたち』の現状を丁寧に描いた作品です。周りが気づいて声をかけてあげることの大切さを痛感しました」と語った。山﨑は一人の観客としての視点から、「(助けが必要な子が)近くにいた時に自分だったらどう手を差し伸べるのかを考える機会になりました。今までしてこなかったことに対して一歩を踏み出すきっかけになりました」と、自身の心境の変化を明かした。
続いて坂東は、「未来に向けて突き進んでいく姿に勇気をもらいました。映画を通して、自分が生きてきた中では触れたことのない世界を知ることができて本当に良かったです」と、本作に関わった意義を強調した。役作りのためにリサーチを重ねたという近藤は、「自分の周りにも、もしかしたらこういう子たちがいるかもしれないという考えに変わり、自分だったらどうするかを深く考えるきっかけになりました」と振り返った。
また、松坂は「表に出てこない『叫び』のようなものを強く感じました。それは現代にも通ずるものであり、他人事ではない。この映画が公開されるタイミングは、まさに『今』なんだろうなと思いました」と、作品が持つメッセージの重要性を指摘した。北川は、近藤の言葉に共感しながら、「救いを求めているのは子どもだけでなく、大人にもたくさんいます。実は身近に助けを求めている方がたくさんいるのかもしれないと、周りに向ける目や意識が変わりました」と、作品を通じて得た深い気づきを明かした。
続いて、全国の書店員から寄せられた感想をキャストが紹介するパートでは、黒島が「家庭内という、いわば密閉された空間で、親に虐げられる子どもたちが気の毒で、救いがなくて、外からは分かりにくいだけに悪質だと感じました。私たち大人が出来ることは何なのか、考えずにはいられませんでした。」というメッセージを読み上げた。
これに対して、山﨑は章子の視点から、「必死に何かをしてあげようとしてくれている大人の姿が、逃げていた自分(=章子)には少し痛々しく見え、不器用な関係がうまくいかない方向に進んでいったと思いました」と、章子の心情を振り返った。また、近藤は自身が演じた真珠の視点で、「真珠には(細田佳央太が演じる)良太さんが手を差し伸べてくれたが、他の大人はそうではなかった。年齢や権力は関係なく、『想い』がある人を信じるし、この人と生きたいと思うのだと感じました」と、“想い”を通じて生まれる信頼について語った。
さらに、書店員の感想にあった「近所の子どもに挨拶をする。そんな簡単なことからでも始められるのではないか」という言葉を受けた黒島は、「『挨拶をすることから』という一言にハッとさせられました。大きなことはできなくても、挨拶のような些細なことから一つずつ始められるのだと思うと、今ジンときました」と語った。
また、山﨑は「小説を読んでからの映画鑑賞だったが、俳優陣の迫真の演技に引き込まれ、あっという間に感じた」というメッセージを紹介し、原作ファンにも映画ならではの魅力が届いていることがうかがえた。

さらに、演じる中で“心を動かされたシーン”を聞かれると、北川は「心がオフになっているシーンが多かったのですが、終盤で本当の親子になるシーンでは、山﨑さんが何度やっても大粒の涙を流していて、この作品や役に『懸ける』という気持ちを感じ、自分も頑張ろうと思えました」と、注目の新星・山﨑の熱演に背中を押されたエピソードを明かした。これを受けて山﨑は、「北川さんの『母』になった時の目が章子にちゃんと向いてくれていたからこそ、自然と感情が溢れました」と、北川への信頼を語った。
松坂はその流れで、瀬々監督の熱烈な演出スタイルを振り返った。「非常にカロリーを使うシーンが多く、完成した作品を観ていると、至近距離で演出する監督の顔がフラッシュバックします。この作品に参加した役者の方々を心から尊敬している」と、過酷な現場を共にしたキャスト陣を称えた。
一方、物語の“希望”を担う役柄を演じた黒島と坂東は、シリアスな場面が続く現場とはまた違った空気を振り返った。黒島が「坂東くんとの撮影の時は、自身の役もリラックスできました」と語る一方で、坂東は瀬々監督から「なんでふざけてるんだ!」と怒られたという意外な裏話を披露し、会場を笑いに包んだ。
最後に観客へのメッセージとして、キャストそれぞれが本作への想いを語った。黒島は、本作が社会の現状を知るきっかけになることを願い、「一人で大きなことはできないけれど、一人ひとりの小さな積み重ねが社会を変えると思っているので、何か一つでも自分にできることを見つけてもらえたら嬉しい」と、小さな行動が持つ力を説いた。山﨑は「誰かの未来を考えることに対しての希望や勇気を持てる一歩として観ていただけたら」と、未来への希望を込めた。
坂東は、本作を通して人を思いやる気持ちの大切さを語り、「大切な人、隣人を慈しむ心を忘れない気持ちを大切にしたいと思わされた。観てくださった方の次の日が、変わる映画になったら」と期待を寄せた。近藤は、まずは物語として楽しんでほしいと語ったうえで「(過酷な環境にいる)こういう人たちがいるということを忘れないでいただけたら嬉しい」と強い想いを伝えた。
また、松坂は日常で見落としてしまっていることを「もう一度拾い直せる本当に良いきっかけになる作品」であると評した。北川は「それぞれが誰かに出会ったことで人生をやり直せたり、やり直そうとしたりする物語でもあります。日常の『縁』を大事にできるきっかけになれば」と結び、座談会を締めくくった。
さらに、本作の公開を記念し、原作者・湊かなえによる“文庫版あとがき”が期間限定公開されることが決定した。
作品に込められた湊かなえの強い想いが綴られており、映画鑑賞前の予習として、また鑑賞後には余韻と理解をより深められる内容となっているので、あわせてチェックしていただきたい。公開日は近日発表。