©田村茜/コアミックス ©映画「モブ子の恋」製作委員会

常に周囲から一歩引いて生きてきた田中信子(桜田ひより)。彼女にとって世界は、自分以外の誰かが輝くための場所だった。そんな彼女の静かな毎日に、同じ場所で働く入江博基(木戸大聖)という小さな、けれど温かい光が差し込む。最終予告では、劇的なドラマではなく、どこまでも些細で、だからこそ胸を締め付ける恋の断片の数々が映し出される。ガタゴトと揺れる電車のシートで、お互いを意識しながら緊張の面持ちで隣り合う時間。高く積まれた荷物に手を伸ばした瞬間に、偶然触れそうになる指先。夜のファミレスで正面から向き合い、溢れそうになる感情に思わず潤んでしまう瞳。濁りのない真っ直ぐな想いが交錯するその空気感は、まさに「最高純度のラブストーリー」そのものだ。そして、お祭りの提灯が優しく照らす夜道を、戸惑いや葛藤を抱えながらも、相手の手を引いて走り出す瞬間――。言葉を重ね、不器用な日常を積み重ねていくたびに、世界のすみっこにいたはずの二人の輪郭が、少しずつ鮮明になっていく。

しかし、恋はきらめくだけのものではない。相手を大切に想えば想うほど、自分自身の不器用さが浮き彫りになり、傷つくことや離れてしまうことが怖くなる。近づきたいのに一歩が踏み出せなくなるような、誰もが一度は経験したことのある「恋の痛み」が、にしなが書き下ろした主題歌「クローバー」の儚くも優しいメロディーに乗せて、叙情的に綴られる。監督は、「silent」や「海のはじまり」で、登場人物たちの心の機微を誰よりも繊細に描いてきた風間太樹監督。言葉にできない視線の交わし方、触れ合わない手の間に流れる空気感など、風間監督ならではの映像美が、二人の恋の深度をどこまでもリアルに、そしてドラマチックに引き立てる。 “脇役だって、恋をする”。誰かにとってはモブでも、自分の人生の主人公は自分――。

最終予告映像https://youtu.be/D7TvvCSLHJ0