同賞は日本の演劇界に偉大なる足跡を残された菊田一夫氏の業績を永く伝えるとともに、氏の念願であった演劇の発展のための一助として、大衆演劇の舞台ですぐれた業績を示した芸術家(作家、演出家、俳優、舞台美術家、照明、効果、音楽、振付、その他のスタッフ)を表彰するもの。
『大地の子』の高い舞台成果に対して今年度の大賞を『大地の子』上演関係者一同が受賞。1987年から「月刊文藝春秋」にて連載された山崎豊子による同名小説を舞台化。戦争孤児となった少年が、死線をさまよう苦難を経て、中国人教師に拾われ、中国人「陸一心」(ルーイーシン)として育てられる。戦争孤児となった陸一心の波乱万丈の半生を描く。主人公となる陸一心役を井上芳雄、主人公の妹である張玉花(ツァンユウホワ)役を奈緒、主人公の妻となる江月梅(チアンユエメイ)役を上白石萌歌が演じた。

授賞式には演出家の栗山民也氏が登壇して受賞の喜びをコメントし、主演の井上芳雄からの手紙も代読。そして栗山氏からの呼びかけで上白石と奈緒がサプライズで登場した。
奈緒は「本当にとても嬉しくて喜びが溢れてしまってお礼の言葉を探したのですが自分の言葉の中からまだ見つかっておりません」と感極まった様子で「1人1人の人生を誰かに伝えることができる装置が演劇であるということも深く深く知ることができ心から感謝しております。『大地の子』でご一緒した皆さんのことが心から大好きで愛しています。またこのような素晴らしい演劇に携われる1人の人間そして俳優になれるように日々丁寧に精進してまいりたいと思います」と役者としての志を語る。同じく上白石も喜びに満ちた表情で「とても名誉ある賞を『大地の子』カンパニーでいただけたことそしてその一員になれたことを心から光栄に思っております」とニッコリ、「役者である自分にできることはただ1つ想像し続けることだなと思った。実際に自分が見たものや体験したものでなくても学び続けて想像することができたら、それを人に渡していくのが役者の使命なのかなと思いました。これからも演劇という泥臭くてとても美しい人に憧れを抱きながら役者として想像し続けながら、日々祈りを込めてお芝居に参加していきたいと思います」と舞台を通しての気づきとこれからの抱負を語った。

また今作が初共演となったふたり、目を合わせるシーンが本来なら1つもなかったそうだが栗山氏のアイデアで急遽そのシーンが追加になったという。奈緒は「私たちが一緒にお芝居をできるシーンをいただけたので稽古場で突然プレゼントが舞い込んだようなとても嬉しいサプライズをいただきました。ふたりで支え合ったシーンが私にとってはとてもとても幸せな記憶として今でも心に残っていますのでより愛おしい仲間ができてとても素敵な関係性の変化をいただきました」と幸せそうに回顧、一方上白石も「毎日奈緒さんの目を見るたびに自分の中に湧き上がる気持ちがすごくありましたし、お稽古中も舞台が終わった今でも一緒に観劇に行かせていただいたりとかずっと憧れている方でもあるので憧れながらこれからも仲良くしていただけたら」と舞台を通しての関係性の変化を語っていた。

【第51回菊田一夫演劇賞 受賞者】
<菊田一夫演劇大賞>
「大地の子」上演関係者一同(「大地の子」の高い舞台成果に対して)

<菊田一夫演劇賞>
石川 禅(「ダンス オブ ヴァンパイア」のアブロンシウス教授役、「ジェイミー」ヒューゴ/ロコ・シャネル役、「サムシング・ロッテン!」のノストラダムス役、「レイディ・べス」のロジャー・アスカム役の演技に対して)
佐藤 隆紀(「ジキル&ハイド」のヘンリー・ジキル/エドワード・ハイド役、「エリザベート」のフランツ・ヨーゼフ役の演技に対して)
上白石 萌音(「ダディ・ロング・レッグズ」のジルーシャ・アボット役、「千と千尋の神隠し」の千尋役の演技に対して)
松尾 スズキ(「クワイエットルームにようこそ The Musical」の作と演出、「アンサンブルデイズ‐彼らにも名前はある‐」の作と音楽の成果に対して)

<菊田一夫演劇賞特別賞>
岡田 敬二(永年の〈ロマンチック・レビュー〉シリーズの功績に対して)