本作は、1990年に「“今”を切り取った作品を」と演出のG2が作・中島らもに依頼し、90年、92年、98年、2012年と上演され続けてきた人気作。
G2自ら初演時には無かった様々な技術やアイテム、精神環境を取り込み、今回の2022年版にリライトして設定をアップデートし、2022年の「今」を浮き彫りにする新たな『こどもの一生』が誕生した。

主演は今作が舞台初主演となる松島聡。共演には、近年は舞台演出も手掛ける実力派ベテラン俳優の今井朋彦、3年ぶりの舞台出演となる丸山智己、印象に残る演技で観客を魅了する田畑智子、ドラマや映画、舞台にバラエティと活躍の幅を広げる川島海荷、ロックミュージシャン、音楽プロデューサーとして活動する一方、タレント、俳優など幅広く活躍するROLLY、20年に第45回菊田一夫演劇賞を受賞し、多くの舞台で活躍する元宝塚トップスターの朝夏まなと、G2と共に結成した劇団「MOTHER」で主宰・座長を務め、本作には今回が4度目の出演となるベテラン俳優の升毅ほか実力派キャストが集結。

開幕に先駆け取材会が行われ、キャスト陣とG2が出席。

初日を迎えた心境を聞かれた松島は、「こういう時期なので初日を迎えられたのは奇跡かなと思っています」と話し、「この奇跡に感謝しながら、約1か月間ですかね。皆さんに助けていただきながらなんとか今日という日までやってきたので、とにかく精一杯頑張りたいと思います」と続けた。

今回が松島にとって舞台初主演となる。「座長らしいことは何一つ出来ていなくて……。むしろ皆さんに逆に甘えさせてもらって、近くでインプットしてそれをアウトプットしてっていう作業を毎日繰り返していたという感じなので、本番を迎えてこれから座長らしいことを一つぐらいはしたいなって思っています!」と、初座長として意気込む松島に、「楽しみだな」と共演者から声が挙がった。

10歳の「こども」に返る役柄というが、役作りでは「あんまり子どもになりすぎないことを意識しました。子どもになろうと思えばなれるんですけど、あくまで設定上大人が子どもになるということなので、大人をちゃんと作ってから子どもを演じるということで、バランスを保つのが難しかったです」と話す。

松島演じる秘書・柿沼が遣える製薬会社社長・三友役の今井は「僕も舞台が中止になった経験があるので、本当にここまで来れてなによりです。この状況では油断が出来ないので、一回一回、気を引き締めていきたいと思います」とコメント。

また、デジタル庁勤務のエリート・藤堂役の丸山はコロナ禍になってから舞台に立つのは初めてということで「稽古中もそうですしこんなにも気を遣わないといけないのかと冷や冷やしながら作っていて、でもこうやってお客様の前に立てるのはこんなにもありがたいのかというのは今までになく感じていて、そういった気持ちを感じて楽しんでやれたらと思います」と、話す。

コールセンター勤務の淳子を演じる田畑は、「本読みの段階からあだ名で呼び合おうということになって、そんなことを言われたのは初めてだったので毎日がすごく楽しくて、仲間意識というか一致団結感がすごいなと思って、楽しく稽古をしていました。あとはもう体力がどこまで持つかっていうところなんですけど、最後まで体力をつけてやりきりたいと思っています」とコメント。

すると記者から、それぞれどのようなあだ名で呼ばれているのかという質問があり、田畑は「ばたやん」、川島は「うみちゃん」、升は「升兄」、G2は「じーちゃん」、松島は「聡ちゃん」、丸山「丸ちゃん」、朝夏は「まーちゃん」、ROLLYは「僕だけはROLLYさん」と、明かした。

そんな中今井は、「僕は稽古への合流が遅れたんですよ。そのせいであだ名をつけてもらえていなくて、皆に今井さんって呼ばれていて……。募集してます」と、一人だけあだ名がついていなかった模様。
「今決めたら?」という声が上がり、「”今っち”で!」というG2の一声で今井のあだ名も決定した。

現役地下アイドル・亜美役の川島は「本当にこんな感じですごく楽しい座組なので、ずっと稽古をしていたいなっていうぐらい、初日を迎えた感じがしないです」と微笑みながらコメント。

心のケアが専門の孤島のクリニックを経営する院長・木崎役の升は『こどもの一生』へ出演するのが本作で4度目となり、「僕は『こどもの一生』の先輩として、皆のことを外側から見ながら稽古をして行ったところ、自分の役が何も出来ていないじゃないかとなりまして(笑)、そこから必死になって頑張っていますが、舞台の世界観はしっかり作れているなと感じています」、看護師長・井手役の朝夏は、「初めてのストレートプレイなんですけど、稽古場からお芝居をすることの楽しさをすごい実感していて、私にとって毒づく女性の役は挑戦なのでどこまで毒づけるかというところと、お客様が入ってどういう反応されるかが楽しみです」と語った。

そして、ROLLYは「初の軍人役なのですが、こうやって軍人になってみると田舎のおじいさんにそっくりだなと思っております」と話し、会場の笑いを誘った。

当初、Hey!Say!JUMPの八乙女光が主演を務める予定だったが、病気療養の為無念の降板となり、松島が引き継いだ。
松島は、「稽古期間中、どうしようかなって悩んでいたタイミングに光くんから連絡がありまして、「一緒になって悩んでいこうよ」って言ってくださったのがすごくリラックスというか、「これから行き詰まる瞬間とかあるかもしれないけど、G2さんの作る世界観に上手くハマって良い化学反応が生まれたらいいよね」ってアドバイスをいただきました」と、八乙女とのやり取りを明かした。

さらに、G2からの言葉にも助けられたと語り、「稽古を迎える前に「一緒に冒険する相棒になろう」と言っていただきました。僕が今回の稽古を通して冒険できているか分からないですけど……」と自信なさげな松島に「大冒険です」と力強く応えるG2。
「共演者の皆さんやG2さんのやり取りがプロというか、そこに僕も入ってくらいついて行こうっていう時間が大変ではあったんですけど楽しさに変わってきて、「舞台って楽しいな」って思っています」と、舞台への手ごたえを感じている様子。

前回出演していた舞台『赤シャツ』では、自前の浴衣を用意して稽古に臨んでいた松島に、今回は何か用意したのかという問いかけに「今回はスーツで登場するのでスーツを新調しました。AOKIのスーツです」と自身がCMキャラクターを務めているブランドで購入したとのこと。
稽古では初日からスーツで臨んでいたという松島。G2に「サラリーマンになりきるというのが課題」と言われていたようで、「社会人に見えたら良いなと思って……」と不安げに言う松島は、「社会人に見えています」という記者の声に嬉しそうな表情を浮かべていた。

また、楽屋暖簾の話になると、「今回は去年お世話になった桐山照史くん(ジャニーズWEST)にお願いして、直筆デザインでめちゃくちゃ可愛い暖簾なので僕のブログの方に載せようと思います」を笑顔で伝える。

最後に、お客様へのメッセージとして、松島は「演劇というエンターテインメントを通して、色んな想いを胸に最後までやり遂げたいと思います」と締めくくった。

舞台『こどもの一生』は、2022年4月3日(日)から28日(木)まで東京芸術劇場 プレイハウスで上演され、その後、5月6日(金)・7日(土)にCOOL JAPAN PARK OSAKA WWホールで上演される。
尚、5月18日(水)に東京エレクトロンホール宮城で予定されていた公演は、3月16日に東北地区を中心に発生した地震の影響により、公演中止が決定した。

<あらすじ>
超わがままな製薬会社社長の三友と秘書・柿沼は、心のケアが専門の孤島のクリニックを訪れる。
共に治療を受けるのはデジタル庁勤務のエリート藤堂、コールセンター勤務の淳子、現役地下アイドルの亜美。
院長・木崎と看護師長・井手のもと、5人はストレスを取り除くため10歳の「こども」に返り、共同生活をすることになるが……。