本作は、トニー賞6部門に輝きグラミー賞・エミー賞など受賞多数、映画化もされたミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』や、『ラ・ラ・ランド』の作詞、『グレイテスト・ショーマン』の楽曲などを手がけ世界中から注目を集める作詞作曲デュオ、パセック&ポールが、学生時代に生み出した、彼らのデビュー作。
“ソングサイクル・ミュージカル”と呼ばれる、1曲で1つの物語として完結する楽曲がオムニバス形式に連なる、”ソングサイクル形式”のミュージカル作品である。
元吉庸泰の演出のもと、次世代を担うクリエイター陣が集結。
世界的ヒットメイカーの若書きを、ダンスパフォーマンスをふんだんに盛り込んだ、クリエイティビティ溢れるステージングで贈る。

キャストには屋良朝幸、成河、草間リチャード敬太(Aぇ! group/関西ジャニーズJr.)、豊原江理佳、ダンドイ舞莉花、そして植木豪と、ミュージカル&ダンスのスペシャリストが集結。
さらには振付を屋良朝幸×植木豪の強力タッグが手がける。

初日に先駆けた取材会には、屋良、成河、リチャード、豊原、ダンドイ、植木、演出の元吉が出席。

まず、初日を迎えた心境を一人一人が語った。
屋良は、まだ新型コロナの感染者数が多い中でステージに立てるっていう喜びは本当に大きいなと思っています。この『EDGES』という作品がこれまで2回やってた中で初の6人でのパフォーマンスというところで、ものすごく個性的なメンバーが集まって新しい『EDGES』を作れるというのは自分的にはすごく面白いなと思ったので、それを皆さんに早く見ていただきたいなという気持ちでいっぱいです」と、6人で魅せる『EDGES』に自信を見せる。

成河は、「ここ、よみうりホールはあんまりショーとかパフォーマンス利用は少ないんですよね。『EDGES』で新しい息を吹き込むんだって元吉さんが言っててそれはすごく良いことだと思ったので、劇場が呼吸するように、ということを目指してこれから頑張っていきますので応援よろしくお願いします」とコメント。

初のミュージカル出演となるリチャードは、「思っていたよりも早く初日が来てびっくりしてるんですけど、僕の中で。もうちょっとリハ期間があるかなと思っていたんですけど、思っていたよりも早く初日が来たので……同じこと2回言いましたね」と緊張している様子を見せながら、「立ったことのないような会場の形でやっていて楽しいなと思いますし、見に来たお客様も新しい感じで見ていただけるのかなと思います。『EDGES』という作品の形のものを見たことがなかったので、一緒に作り上げていく中でこんな形の舞台ってあるんやって思ったので、お客様もすごく楽しんでもらえるんじゃないかなと思って、早く見に来てもらいたいです」と話した。

ダンドイは、「ソングサイクルミュージカルっていうのは、普通のミュージカルと違ってセリフとかが全然無いじゃないですか。そういった中で色んな曲が連なって、ぎゅっと濃厚な時間になっていて、エネルギーの量もすごいですし、それをこの6人でエネルギーをぶわーっとステージ上で出して、それがお客様に伝われば良いなって思っていますので、初日も頑張りましょう!」と、最後にキャストに向かって力強く声をかけていた。

屋良と共に振付を担当した植木は、「ソングサイクルの形は僕も初めてで、日本だとあまり無いということで、始まる前から振付チームでグループLINEを作ったりして、すごい話し合いながらやったし、稽古場でも皆が色んな意見を出してくれて、歌のことも踊りのことも、お芝居のことも繋ぎのことも元吉さんが全部聞いてくれて、こんなに皆で話し合いながら製作する時間はあんまりなかったので、新鮮な気持ちでやらせていただきました」と、語る。

豊原は、「私もソングサイクルミュージカルは初めてなんですけど、今日舞台に立って客席に人が居て通してやってみて気が付いたんですけど、普通のミュージカルの時は(ステージと客席の間に)壁みたいなものがあるというか、違う空間っていう感覚でやっていたことが多かったんですけど、今日はびっくりするぐらい客席との繋がりを感じました」と、客席との距離感に新たな発見があったとのこと。

そして最後に演出の元吉の番となり、「6人もいると全部言いたいことを言われてしまったんですけど」と苦笑いしながら、「中止を入れると3本目のEDGESをやらせていただくこととなりました。前回とは全くアプローチが違って、パセック&ポールの『ディア・エヴァン・ハンセン』の原風景を僕らがどう受け止めて、彼らの欲求や情熱を感じられるかと考え始めたところからスタートでした。13本プラス1本のミュージカルを全員で物語っていくことに注視させていただいたのを楽しんでいただければ本当に嬉しいなと思います」と話す。
さらに「個人的には昔、下のビックカメラの店員をやっておりまして……」という衝撃の事実に、驚くキャスト一同。「地下一階でデジカメ売ってました!なので、ここに帰ってこれて嬉しいです」と、笑顔を浮かべてこの劇場との縁を明かした。

振付を担当した屋良に苦労した点を聞くと「いっぱいありますね」と口火を切る。
「演劇と捉えるのかショーと捉えるのか、そこの合致する部分を探すのがすごく難しくて。どっちかと言ったら僕や豪くんが作るのはショー寄りの振付だったりするんですけど、『EDGES』という演劇と捉えるのであれば、どういう風に組み立てていくかなっていうのを、それこそグループLINEやリモートで話し合って作って行ったんですけども、正直僕はすごい勉強になりました」と、普段の振付とはまた新たな要素が引き出されたようで、「今回は一貫したストーリーが無いにしてもそれぞれの生き方があってそれをどう魅せていくかっていうのを成河さんからアイデアをいただいたり、皆で話し合って作ったので、パフォーマンスとしてはすごい見ごたえがあると思います。でもその上にちゃんと設定が合って、それを演じながらパフォーマンスするっていう部分を追求してきたので、そこを皆さん読み取れたらすごいと思います。そういう想いで作ってきました」と、語る。

振付のどこに注目したら良いかという問いかけに植木は、「ただのオムニバスにはしたくないっていうのはあって、だから最初と最後のところはすごく話し合ったし、一曲一曲にきちんと何かを必ず置いていけるようにっていうのを元吉さんが構成でこだわっていらっしゃったところなので、振り付けとしてもそれがきっちり表現出来るようにというのは話しました」と話し、「稽古前にも一回成河さんとリチャくんと電話で振付の話をした時があったんですけど、そこで良いヒントをもらうので屋良くんと二人でめちゃくちゃ会議をして、一曲一曲きちんと掘り起こしながら稽古に入る前に提案出来るようにしておこうということで、僕真面目にやりました!」と、キャストの声も参考にしながら作り上げていったとのこと。

そんな二人の振付に、他のキャストはどのような印象を受けたかという質問に、リチャードは「どこまでが振付でどこまでが演出なのかっていうところが分からないんですけど……これまで何回も屋良くんの振付で踊ってきたことがあるんですけど、テイストの違うものが来たので「こんなことも出来はるんですね」っていう驚きが先にあって、「やっぱり屋良くんすごいな」って。そこに豪さんの偉大さというか、信頼しきっているからこそ出来るからこそ、“これ出来ないでしょ”っていうことを二人がしっかりと形にしていくのを見てるのも楽しかったですし、早くそれをこっちに落としてもらいたいってワクワク感も感じていたので、それがしっかりとこの作品の中に出ているんじゃないかなって思います」と、力強く語る。

成河は「全然畑の違う人間が集まって、かつそれぞれの畑にとても根深い人たちが集まっているので、人の畑をすごく尊重できるんですよね」、ダンドイは「振付に関しては個人的に頑張らなきゃいけないところがたくさんあって、でも稽古場で振付をやっている間に、自分がやりにくかったり『ここはこうですか?』って細かく投げかけるとすごく丁寧に全部教えてくださるので本当に助かりました」、豊原は、「成河さんがおっしゃってたように皆違う畑から集まっているので、初めて触れることもたくさんありました。トークボックスとかラップとか、ダンスのジャンルも初めて踊るようなものがたくさんあったんですけど、改めて根っこは一緒というか、自分が何を表現したくて何を伝えたくてっていうところは変わらないんだなと感じたので、あんまり不安にならずに、こういう表現の仕方もあるんだって自分の世界が広がりました」とそれぞれ感じるものがあったとのこと。

そして、記者から「初めてのミュージカルだと思えなかった」との声にリチャードは「そう見えなかったら“正解”です」と返すも、周りのキャスト陣からツッコミが入り「”成功”です」と言い換える。
「これまで見たことのあるミュージカルでもなかったので余計難しかったところもありましたけど、この個性的な6人で出来たからこそやりやすい部分がすごくあって。自分の思っている方向に皆が手を添えてくれてるというか、やってる中で自分だけじゃなくて皆で支え合って作っていってるのが感じられて、自信を持って今回出来ました。すごく楽しめて出来ています!」と、笑顔を見せた。

また、憧れの先輩に屋良の名前を挙げているというリチャードだが、屋良は「そんなはずないです。そんな話聞いたことない。『あけましておめでとう」の連絡も、『誕生日おめでとう』の連絡も来ないので多分それは嘘の情報……」と疑った様子を見せ、「シャイなんです」と弁明するリチャード。
すると植木から、「でも昔ダンスで選んでくれたことがあるんでしょ?あれで、この世界で頑張って行くんだってあの瞬間に決めたらしいよ。俺も選ばれる人間なんだと、それからやっていこうって」と、憧れるきっかけとなったエピソードが語られると、屋良は「何でジャニーズじゃない人がが知ってるの!?」と驚きながら、「僕が演出するライブでバックダンサーのオーディションをさせてもらったんですけど、関西ジャニーズジュニアの中でリチャ含め色んなメンバーを選んだことがあって、それがきっかけになって頑張る糧になったと……」と、経緯を明かす。

そして、リチャードについては「めちゃくちゃ良い素材持ってるでしょ。最初の歌稽古とかは緊張していて『リチャの声聞こえないな~』みたいな感じだったんですけど、『とにかく良い声を出して』と話して。持っているものがダンスはもちろん昔から上手いですけどそれ以外にもあるので、これを機にミュージカルの世界で羽ばたいていってもらったら良いなと思います」と、リチャードの可能性に期待を寄せた。

今回、舞台上で着替えたり、自分の出番で無いところでは待機している姿があるが、その演出にはどういう狙いがあるのかという記者からの問いかけに、元吉は「自由に受け取っていただければと思うんですけど」と前置きしながら「僕らが考えたある種の伏線というか、この話をこの6人の俳優たちがどうやって物語っていくかって言うことのある意味ルールというか、それを舞台上でちゃんと提示しようということで。“なる”ということをベースにしつつ話し合って、例えば着るタイミングや服を選ぶタイミングも実は細かくやっていただいていて、だからこそ『EDGES』の全部を一本の糸みたいなものが繋いでいるなっていうイメージで見ていただけると、色んなことを感じていただけるんじゃないかなと思います」と、歌や踊り以外のこだわりも語った。

会見の最後には、代表して屋良からメッセージとして、「見に来てくださった皆さんも多分自分の人生に置き換えて色んな景色を見れると思っています。パフォーマンスもしっかり見ごたえあるものをお見せできると思うので、ぜひビックカメラの上にお集まりいただければと思います(笑)」と笑いを誘い、会見を締めくくった。

東京公演は、2022年4月27日(水)から5月5日(木・祝)まで有楽町よみうりホール、大阪公演は、2022年5月8日(日)・9日(月)にCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて上演される。