繊細かつ豊かな表現で読む者の心を捕らえて離さない世界観で魅了し、5月27日に発売された新刊『多類婚姻譚』が第175回直木賞候補に選ばれ注目が高まる小説家・凪良ゆう。数ある作品のなかでも最高傑作との呼び声も高く、『流浪の月』(’19)に続き2度目となる第20回本屋大賞を受賞した『汝、星のごとく』(’22)。現在100万部を超えるミリオンセラーとなり、スピンオフ続編『星を編む』と合わせ、シリーズ累計が170万部を突破している大ヒット小説が横浜流星×広瀬すずのW主演・監督:藤井道人でついに実写化となる。

10月9日(金)公開まで1ヶ月切った本作の完成披露舞台挨拶に、豪華キャスト陣と監督ら9名が集結。
瀬戸内と東京を舞台に愛を育みながらも運命に翻弄された櫂と暁海の15年間を演じたW主演の横浜流星・広瀬すずをはじめ、櫂の才能に惹かれる文芸編集者・二階堂絵理を演じる中村アン、櫂と尚人の二人をプロの漫画家へ導く編集担当・植木渋柿役の濱田岳、恋多き櫂の母・青埜ほのか役の尾野真千子、夫の不倫で心が病んでしまう暁海の母・井上志穂を演じる木村佳乃、オートクチュールの刺繍家で暁海の父の不倫相手・林瞳子役の石田ゆり子、櫂と暁海が通う高校の化学教師で、卒業後も2人のことを気に掛ける北原草介役を演じる長谷川博己、さらに本作のメガホンを取り、横浜と盟友の藤井道人監督が登壇した。

冒頭に横浜は「僕にとって20代最後、30代1作目の人生の節目である貴重で特別な作品を皆様に見ていただけることを嬉しく思っております」と挨拶。
本作へ出演するにあたり、「凪良先生の原作に触れるたび、毎回心を救われ、自分を見つめ返すんです。『汝、星のごとく』を読み終わった瞬間に、今、この時代に届けるべきだなと強く思って。素晴らしい原作ですから必ず映画化すると思っていて、その中で自分が櫂として生きなければ後悔すると思い、凪良先生に手紙を送って、藤井監督にお願いして、素晴らしいキャスト、スタッフの皆様が集って完成させられたことは非常に幸せに思います」と、原作小説に惚れ込んだ横浜自身が映画化へ向けて動いたと語られる。

横浜にとって『汝、星のごとく』は、「今の時代に届くべき、見ていただきたい一番星のような作品になりました」とコメント。「今はSNSによって繋がりは増えて、でもなぜか人と人の心の距離は離れているような気がして、孤独に感じたり、たくさんの情報や世間の声に振り回されて、他人の目を気にしたり。正しさに縛られて自分の価値はなんなのか、どう生きればいいのか見失ってしまうような息苦しい時代だと思っていて」と話し、「でも、世間の正しさや常識に流されずに、櫂や暁海は生きているんですよね。それってすごく美しいことで、社会が決めた枠から外れた、自分のために選択したそれぞれの生き方や愛の形、正解があって、今、息苦しい時代を生きている方々の心に、一筋の光を照らせると思っています」と、作品の持つ力を熱弁する。

メガホンを取った藤井監督は、「流星にとって20代最後でしたが、僕も30代最後の映画がこれで本当に良かったなと。大学時代から一緒に作ってきた仲間と、素晴らしい尊敬できる俳優と作品を作れた日々を残させてもらえたこと、お客様に届くことが、自分にとっての卒業制作というか、一つの締めくくりになったのかなと思います」と撮影を振り返りながら、「今日、感動したことがあって。流星が宣伝の取材の時にすごい喋るようになってて、『うー』とか『あー』とかしか言わなかった流星が、『この映画は…』というのにすごい感動しました。映画を見てくださる方への一言も、半分ぐらいしか言いたいことを言えてなかった彼が全部言っちゃって、僕は何もないです、ってなった時に一番嬉しかったです。成長したな」と、“盟友”横浜の成長を明かすと、「30歳なので」と照れながら返す横浜だった。

また、作品にちなみ、自身にとってターニングポイントとなった大事な選択をした瞬間について聞かれると、「空手を始めたこともこの世界に入ったことも、その瞬間に全てをかけた選択をしていると思います」と答え、「藤井監督と出会ったこともそうですし、『流浪の月』という作品に出会い、凪良先生と出会い、『汝、星のごとく』を手にとって、そのまま一読者として楽しめば良かったものを、先生に手紙を書くのも選択だったと思います。人生一度きりなので、後悔のないように生きてます」と話していた。

そしてイベントの最後では、「この作品を見てくださる方々によって受け取るもの、心に残るものが違うと思いますので、その思いを大切にしてほしいなと思っております」とメッセージを送りながら、「これは言おうか言わないかすごく迷っていたことで…作品を比較したりするのは恐れ多いことですし。でも、同じ東宝作品で、同じ瀬戸内で撮影された作品ということで、あえて話します」と前置きし、「自分は打ち上げの時に、東宝の方々の前で、すごい生意気な発言をしました。でも本当に凪良先生の紡ぐ作品は素晴らしくて、藤井監督も素晴らしいキャスト、スタッフの皆様がいて、魂を削りながら生き抜いた15年というものは、表現としてはおかしいかもしれないですが、“令和のセカチュー”を目指したい。『世界の中心で愛を叫ぶ』のように、たくさんの方々に届いてほしいと思っております」」と、丁寧に想いを語る。「どれだけ良い作品を作ったとしても、見てもらわなければ意味がないんです。なので、公開まで自分もできる限りのことはやっていきます。皆様の力も貸していただきたいです。見終わった後に心に残るものがあったら、ぜひ周りの方に広めて、共にこの作品を大きくしていただけたら嬉しいです」とまっすぐ呼びかけた。