
第39回東京国際映画祭が10月26日に開幕し、世界の国際映画祭で注目された話題作や邦画大作の最新作などを上映する【ガラ・セレクション部門】に正式出品している映画『君の話』より、北村匠海、出口夏希、中川龍太郎監督がレッドカーペットに登場した。
本作『君の話』は三秋縋による人気小説を実写映画化した、記憶をめぐる新たな純愛ラブストーリーであり、孤独な大学生・千尋は、記憶を消す治療を受けるが、会ったこともない幼馴染・灯花との初恋の記憶が残されていた。記憶の中にしか存在しないはずの彼女が、ある日、現実世界に現れる。二人をつなぐ記憶は本物なのか、それとも嘘なのか――。北村匠海×出口夏希が贈る、切なくも心揺さぶる物語。
この日はあいにくの雨模様。観客やカメラマンが見守るなか、傘を手にした3名は来場者に笑顔を向け、レッドカーペットに登壇。
千尋役の北村は、シックなスーツスタイルで登場。落ち着いた装いのなかにも存在感を放ち、雨が降るなか、出口に傘を差しながらエスコートする紳士的な姿も見せた。一方、千尋の記憶の中にしか存在しないはずの幼馴染・灯花を演じる出口は、BALENCIAGAの黒のドレスをまとい、華やかさと上品さを両立。満面の笑みで会場を明るく彩った。フォーマルな装いの中川監督も二人に並び、3人そろって映画祭の華やかな舞台に彩りを添えた。
カメラに向かって笑顔を見せる北村と出口。時折、互いの様子をうかがうような自然な表情も見られ、和やかな雰囲気が漂う。そんな3人に、雨のレッドカーペットについて質問が飛んだ。
北村は「雨の中だったんですけど、映画への熱気があってよかったです」と、会場に集まった人々の熱気を実感した様子。出口も「雨だったんですけど、ライトの光がきれいでした」と、雨ならではの景色を振り返った。
中川監督は「去年は、出口さんが別の作品でいらっしゃっていて、1年経ったんだなと思いました。3人でそろうのが久しぶりでうれしかったです」とコメント。再び3人で映画祭の舞台に立てた喜びがうかがえる一幕となった。
話題は、本作の映像化へ。監督は「2人が魅力的に輝き、出口さんがそこに実在する人としていて、そこに心惹かれる北村さんがいる。そのパワーが伝わるように作りました」と、主演2人の魅力を映像に落とし込むうえでのこだわりを説明。さらに「毎日、北村さんと話し合いをしながら作りました」と、撮影現場での密なやり取りも明かした。
劇中では学生服姿も披露している北村。学生服での撮影について尋ねられると、「最後にしようと思いました」と笑顔を見せ、会場を和ませた。続けて「制服のシーンは、偽りの世界で出てくるので、作られた記憶の中で一番実験的なシーンでもあったし、すごく日常的なまでに芝居をやっていたので、思い出深いです」とコメント。記憶をめぐる物語の中でも、印象に残る場面のひとつになったようだ。
千尋という人物を演じるうえでは、現実と非現実の境界を行き来する感覚も重要だったという。北村は「千尋にとって灯花を信じることは、幸せであると同時に、現実逃避でもあって。何がリアルなのか、ノンリアルなのかを行き来し、溺れていきます」と役の心情を説明。「そこから抜け出した時にみた景色がどういったものだったのか、千尋を通して、自分に問う瞬間がたくさんありました。」
観客に向けては「ご覧になっていただいて、千尋がそのとき何を信じ、何を思い、何に悲しんで喜んでいるのかを判断いただきたいです」とメッセージを送った。
一方、灯花役の出口にとっても、役作りは試行錯誤の連続だった。撮影に入った当初を振り返り、「インした当初は記憶の中の灯花と、現実の灯花と2つの顔があって混乱してしまったのですが、“灯花がなりたい灯花”というのを意識して演じるようにしました。」と、役に向き合ったときの心境を明かした。
雨の中でも笑顔が絶えなかった3人。レッドカーペットで見せた和やかな姿の一方で、作品について語る言葉からは、それぞれが役や物語に真摯に向き合った様子が伝わってきた。記憶の中の初恋は、現実とどのようにつながっていくのか。北村と出口が描く切なくも温かな物語に、期待が高まる。




