
監督・脚本を手がける𠮷田恵輔は、『ミッシング』『空白』『ヒメアノ〜ル』など、観る者の心に鋭く切り込む“人間描写の鬼”。企画を担うのは、『新聞記者』で日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞するなど数々の話題作を手がけてきたスターサンズ。磯村勇斗とは『月』(第47回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞受賞作)以来のタッグであり、𠮷田監督とは『愛しのアイリーン』『空白』『ミッシング』に続く4度目の顔合わせとなる。
本作は11月4日にクランクインし、12月中旬までの撮影を予定。公開は2026年秋(共同配給:エイベックス・フィルムレーベルズ、スターサンズ)となる。“過去”に囚われたまま大人になった二人の青年。そんな彼らの心を揺らし、運命を狂わす“メンター(助言者・導き手)”の存在——。原作ものではなく、オリジナル作品を発表し続ける稀有な存在でもある𠮷田監督が、誰もが“正しさ”を語りたがるこの時代に、「人は何を“信じて”生きていくのか」という本質の問いを描き切る。
物語は、15年前の夏に起きたある火災事故から始まる。少年の無邪気な花火遊びがアパートを全焼させ、黒焦げの妻を抱えた男・埜本(のもと)が、燃えさかるアパートの一室から姿を現す。あまりにも強烈な記憶を前に、当事者であった少年たち——龍之介と拓海の時間は、あの日を境に止まってしまった。
やがて大人になった二人は、まったく異なる道を歩んでいる。龍之介(磯村勇斗)は罪に蓋をし、アーチェリーのオリンピック日本代表候補として前へ進もうとする。一方、拓海(末澤誠也)はいまだ罪の記憶から抜け出せず、陰鬱な日々に立ちすくんでいた。そんな二人の前に、あの火傷の男・埜本が再び現れる。しかし彼は恨みの言葉を口にすることなく、「君はもう、充分に償ったよ」と静かに語りかける。不気味なほどに優しいその姿は、やがて彼らにとっての“mentor/メンター”(助言者・導き手)となっていく——。
本作で龍之介を演じる磯村は、「監督の作品には以前から惹かれていて、いつかご一緒したいと思っていた」と語る。役柄としてのアーチェリー選手への挑戦も重なり、「“やってみたい”が揃った奇跡のような出会い」だとオファーを受けた時の思いをふり返る。そして、「どんな化学反応が起こるのか、自分でも予想がつかない。その“わからなさ”を楽しみにしながら、現場で生まれる瞬間を大切にしたい」と、撮影への意気込みを見せた。
一方、拓海役の末澤は、「個人として初の映画出演、しかも主演という形で𠮷田監督の作品に参加できることが本当に光栄」と語り、これまで演じたことのない役に挑むプレッシャーを抱えながらも、「この機会を全力で生かし、自分をアップデートしながら良い作品にしていきたい」と決意をにじませる。
そして物語の鍵を握る“メンター”=埜本を誰が演じるのかは、現時点では明かされていないが、磯村が「とんでもない役者さん。想像をはるかに超えてくるだろう」と期待を語り、末澤が「ご一緒できるのが光栄」と語る“メンター役”とは、一体誰なのか——その存在にも引き続き注目して欲しい。
<コメント>
■磯村勇斗(益子龍之介役)/W主演
𠮷田恵輔監督の作品は以前から拝見していて、いつかご一緒したいと思っていました。
アーチェリーという役柄にも挑戦してみたかったので、
今回のお話はまさに“やってみたい”が重なった奇跡のような出会いでした。
𠮷田監督はとてもフランクでお話ししやすく、きっと現場も明るく進んでいくのではという予感があります。
どんな化学反応が起こるのか、まだ自分でも想像がつきませんが、
だからこそその“わからなさ”を楽しみに、現場で生まれる瞬間を大切に撮影に挑みたいと思います。
■末澤誠也(上谷拓海役)/W主演
個人としては初の映画出演で、しかも主演という形で𠮷田恵輔監督の作品に参加できること、
本当に光栄に思っています。今まで演じたことのない役どころに向き合うのはプレッシャーもありますが、
それ以上に喜びと覚悟の方が大きいです。
磯村さんとも初共演ですが、とても話しやすく、ここから一緒に関係性を築けたらと思っています。
日々の現場の中で吸収しながら、自分をアップデートし、全力で良い作品にしていけたらと思っています。
■𠮷田恵輔/監督・脚本
私は大切な人を亡くした事が何度かあり、その度にうまく泣いたりする事が出来ず、
自分は冷めた人間なんじゃないかと落ち込んだりします。
友人から哀しみ方は人それぞれ、比べるものじゃないと言われ救われた気持ちになりました。
この物語も罪の意識、喪失感、人によっての捉え方の違いをテーマにしています。
身に覚えのある痛い所をついていきながら、感動できる作品を目指します。
【メンター役(未発表)との共演について】
■磯村勇斗
メンター役の方は、本当にとんでもない役者さんです。どう演じられるのか、想像を遥かに超えてくるだろうというワクワク感がありますし、現場でお会いできるのが楽しみでなりません。共演を通じて、たくさんの刺激を受けられるのではと期待しています。
■末澤誠也
恐れ多いというか、ご一緒させていただくことが凄く光栄ですし、現場での空気感やお芝居から多くを学ばせていただきたいと思っています。ビジュアルや佇まい含めて、どういう形で現れるのか、すごく楽しみにしています。




