同賞は日本の演劇界に偉大なる足跡を残された菊田一夫氏の業績を永く伝えるとともに、氏の念願であった演劇の発展のための一助として、大衆演劇の舞台ですぐれた業績を示した芸術家(作家、演出家、俳優、舞台美術家、照明、効果、音楽、振付、その他のスタッフ)を表彰するもの。

『ダディ・ロング・レッグズ』のジルーシャ・アボット役では伸びやかに表情豊かな演技と持ち前の美声で素敵な歌を届ける姿、『千と千尋の神隠し』の千尋役では千尋を通して愛らしい少女がどんどん成長していく姿を自然に見せる様が評価されての受賞に上白石は「公演初日の舞台袖ぐらい緊張しております」と緊張した面持ちで「『千と千尋の神隠し』、そして『ダディ・ロング・レッグズ』に携わられた全ての方々、お客様方、そしてこれまでのご縁が数珠つなぎのようになって今があると思いますので全ての方々に感謝を申し上げます」と喜びをコメント。

幼いころから演劇が好きでこの世界に足を踏み入れたという上白石は「演劇の世界ではあの作品のあのお役をいつか演じてみたいという具体的な憧れを持つことができる」と前置きした上で『ダディ・ロング・レッグズ』について「高校生の時から再演の度に劇場に足を運んでDVDも擦り切れるほど見ておりました」と憧れをもっていたそう。「オリジナルキャストである井上芳雄さんと坂本真綾さんがお稽古される姿を1番近くで見て学べたことは本当に宝物です。その後に『じゃあ次は君がやってみなさい』と言われて稽古場に立つという震える体験をさせていただいて、これもとても今後思い出した時にかけがえのないものになっている」としみじみ。そして『千と千尋の神隠し』では海外での公演も経験したという上白石は「文化の違いから来るお客様の反応の違いに驚いたり、反対に国境を超えても変わらない人の普遍性に触れて嬉しくなった。貴重な経験をこれからも大切にしていきたいなと思っております」と振り返る。
また両作の演出を担当しているジョン・ケアード氏からは『演劇は英語でプレイ、プレイには遊ぶという意味もあるので板の上ではいつもリラックスしてワクワクしていなさい』と言われていたそうで「私も幼い頃に描いた演劇への憧れをそのまま大切に持ちながらいつもワクワクしながら精進してまいりたいと思います」とその言葉を胸にこれからの役者業に意欲をみせていた。

【第51回菊田一夫演劇賞 受賞者】
<菊田一夫演劇大賞>
「大地の子」上演関係者一同(「大地の子」の高い舞台成果に対して)

<菊田一夫演劇賞>
石川 禅(「ダンス オブ ヴァンパイア」のアブロンシウス教授役、「ジェイミー」ヒューゴ/ロコ・シャネル役、「サムシング・ロッテン!」のノストラダムス役、「レイディ・べス」のロジャー・アスカム役の演技に対して)
佐藤 隆紀(「ジキル&ハイド」のヘンリー・ジキル/エドワード・ハイド役、「エリザベート」のフランツ・ヨーゼフ役の演技に対して)
上白石 萌音(「ダディ・ロング・レッグズ」のジルーシャ・アボット役、「千と千尋の神隠し」の千尋役の演技に対して)
松尾 スズキ(「クワイエットルームにようこそ The Musical」の作と演出、「アンサンブルデイズ‐彼らにも名前はある‐」の作と音楽の成果に対して)

<菊田一夫演劇賞特別賞>
岡田 敬二(永年の〈ロマンチック・レビュー〉シリーズの功績に対して)