
戦時下の日本。それは、徴兵忌避が国家への裏切りとされた時代。一人の青年が、この反逆行為に踏み切った。想像を絶する孤独と危険。彼はただ生き延びるために息を潜め、やがて終戦の日を迎える。
だが、物語はそこで終わらない。二十年後。平穏を手にしたはずの彼の前に、再び立ちはだかるのは、別の形をした“同調圧力”だった。戦争が終わり、時代が変わっても、人は本当に自由になれるのか――。
原作は丸谷才一『笹まくら』(1966年)。これを気鋭の劇作家、秋之桜子が脚色。監督は、映画『バカ塗りの娘』で芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞した鶴岡慧子。
この度、放送日時とキービジュアル、そして5月に発表したメインキャストと共演する豪華な実力派俳優陣が解禁となった。
【森山未來/浜田庄吉・45歳(はまだ しょうきち)役】
平穏な家庭を築き、誠実に職務をこなしてきた大学職員。しかし、出世争いをきっかけに封印していた過去が暴かれる。徴兵忌避者として糾弾される一方、反戦の象徴として担ぎ上げられ、失職と家庭崩壊の危機に直面する。追い詰められた浜田が最後に下す決断とは──。
【青木 柚/浜田庄吉・20〜25歳(はまだ しょうきち)役】
戦時下に青春を過ごし、戦争への疑問を友人たちと分かち合う。しかし、その一人が軍隊内で命を落とし、青年・浜田は徴兵忌避を決意。それは国家への反逆を意味する重罪だった。正体を隠し、官憲の追跡に怯えながら五年に及ぶ逃亡生活を続け、ついに終戦の日を迎える。
【川栄李奈/浜田陽子(はまだ ようこ)役】
堀川理事の仲立ちで浜田に嫁いだ若い妻。明るく夫を慕う一方、誰にも明かせない秘密を抱えている。
その秘密は、浜田の身に降りかかった事件をきっかけに露わとなる。
【堀田真由/結城阿貴子(ゆうき あきこ)役】
逃亡中の青年・浜田と旅先で結ばれ、運命をともにする。故郷・宇和島で終戦まで彼をかくまい続けるが、戦争が終わる日こそ、二人が別れなければならない日だと、誰にも告げず胸に秘めていた。
<今回新たに決定したキャスト>
【駿河太郎/西 正雄(にし まさお)役】
浜田とは出世争いを繰り広げる宿敵。卑劣な策を巡らせ、執ように彼の失脚を狙う。しかし、その執念の裏には、浜田とは対極をなす凄惨な戦争体験が刻み込まれていた。
【瀬戸康史/桑野 稔(くわの みのる)役】
大学の仏文学助教授。徴兵忌避を貫いた浜田を敬愛している。浜田が追い詰められる現実も、自らの無力さも痛いほど理解しながら、最後まで手を差し伸べようとする。
【松尾 諭/堺誠一郎(さかい せいいちろう)役】
青年・浜田の親友。浜田が徴兵忌避を決意していたことを知らぬまま応召し、戦後は大企業の社長となる。45歳の浜田が助けを求めて訪ねたとき、旧友・堺はどう応じたのか――。
【鈴木砂羽/結城りゑ(ゆうき りえ)役】
阿貴子の母。宇和島で質屋を営む。青年・浜田の素性に疑いを抱きながらも、終戦の日まで彼をかくまい続ける。そして皮肉にも、終戦を告げる役目を担うことに。
【酒匂 芳/稲葉文吉(いなば ぶんきち)役】
旅の香具師。逃亡中の青年・浜田と出会い、「砂絵」の技を授ける。心臓病を患い、最期に故郷・東京へ連れ帰ってほしいと浜田に懇願するが、その願いは思いもよらぬ結末を招く。
【石橋 凌/堀川辰五郎(ほりかわ たつごろう)役】
浜田に大学の職を与え、陽子との結婚を取り持った恩人。しかし、その厚意の裏には浜田の知らぬ思惑が秘められていた。徴兵忌避が暴かれたとき、その真意もまた明らかになる。
<あらすじ>
浜田庄吉(45)は私立大学の課長補佐として平穏な人生を送っていた。ある日、彼のもとに一通の訃報が届く。「阿貴子が死んだ…」その瞬間、封じ込めてきた過去の記憶が音を立ててよみがえった。
戦時中、二十歳の青年・浜田は徴兵忌避という反逆罪を犯していた。召集令状を黙殺し、行方をくらましたのだ。「おれは誰も殺したくない、殺されたくもない」その逃避行は恐怖の連続だった。官憲から逃れ、通報の網を潜り、日本中を流れ歩いた。そんな極限状態の中、出会ったのが年上の女・阿貴子だ。二人は結ばれ、明日をも知れぬ危険な旅路をともにした。
あれから二十年。日本は高度経済成長へ。浜田は過去を葬り、若く美しい妻・陽子と明るい家庭を築いていた。厄介ごとと言えば、心ならずも巻き込まれた、ライバル西との昇進争いくらい。それも、浜田の課長内定で決着がついた。ところが、ここで事態は一変する。右翼誌が彼の過去を暴き立てたのだ。西の差し金だった。浜田の立場はにわかに暗転。徴兵忌避者は反軍の英雄なのか?それとも裏切り者なのか?
学内の見えない同調圧力が、浜田を静かに追い詰める。そして、浜田はついに過去の自分と対じする。あの時、二十歳の自分が探し求めたものの正体を知るために。




