本作は、作家・平山讓によるノンフィクション小説『4アウト -ある障害者野球チームの挑戦』(中央公論新社刊)を原作に、東京に初めて結成された身体障害者野球チーム「東京ブルーサンダース」創設の実話を映画化した感動の物語。⻑嶋茂雄読売巨人軍終身名誉監督(当時)が「挑むことを諦めない。だから人生は楽しい。」と熱いエールを送った小説が、構想8年の歳月を経てついにスクリーンに映し出される。
主人公は、社会人野球で戦力外通告を受け、夢を失った男・矢上雄一(相葉雅紀)。再就職先の身体障害者スポーツセンターで「野球がしたい」と願う仲間たちと出会い、身体障害者野球チームの監督として新たな挑戦を始める。かつて夢を諦めた男と、これまで限界を決められてきた仲間たち。野球を愛し続ける人間たちそれぞれの人生が交わることで、くすぶっていた人生が輝きだしていく。
監督を担ったのは、緒方明監督、廣木隆一監督らのもとで助監督として経験を積み、本作で⻑編映画デビューを果たす稲垣壮洋。原作者・平山讓氏との出会いをきっかけに本作の映画化を志して以来、多くの人々の想いをつなぎながら念願の企画を実現させた。

11月6日(火)の全国公開に先駆けて行われた完成披露試写会に登壇した相葉は、「一人一人、出ている人たちの熱い思いが詰まっている作品で、監督も構想から考えると5年?(稲垣監督「8年」)8年!すみません!」と慌てて訂正しながら、「8年かけて形にした大作なので、見た人の心が少しでも動いたらという想いです」と挨拶。

撮影を通して身体障害者野球を知った相葉は「とにかくピッチャーの球は速いです。僕なんか全然打てない球をバンバン投げますし、盗塁がないからバッターとピッチャーの一騎討ちなんですよ。そこもヒリヒリするし、野手の人も、片腕の選手はボールを捕球してからグローブとボールを1回投げて、ボールだけ取ってファーストに送球したり、プレーの一つ一つに圧巻されました。すごい世界です。そこまでになるにはどれだけの努力をしてきたんだろうと想像させるような野球です」と熱く語る。

野球経験者の相葉だが、撮影開始前から共演者とともに、野球チームの監督としてリアリティを出すための練習を重ね、日本代表監督の井口資仁氏や元シドニーオリンピック野球日本代表の飯塚智広氏からノックの指導を受けて、撮影に臨んでいた。「小学校で野球をやっていたんですけど、選手の方だったので、ノックってしたことがなかったんです。ノックバットって細くて長くてなかなか当たらなくて、最初はその練習が大変でした」と苦労を明かし、「井口さんや飯塚さんに教えていただいたこともあって、本番で外野フライを3回連続で打たないといけないシーンを、1回で三発上げて!あれは本番に強いな自分は、と思いました」と自画自賛すると会場からは拍手が起こっていた。
そのノックを受けていた福松から「本当に素晴らしかったです!」という言葉があると、「言わせてるわけじゃないです!」と照れる相葉の姿があった。

チームマネージャーとして選手たちを見守っていた黒島は「本当に一生懸命野球を取り組んでして、楽しそうにしているんですよね。私も野球がやりたくてうずうずしました。本当は一緒にプレイしたかったぐらい、一生懸命野球している姿がかっこよくて、美しかったのが印象的でした」と話す。
マネージャーとして、ノックの際には監督役の相葉にボールを渡すシーンもあり、練習して臨んだと語り、実際にジェスチャーでやってみせる場面も。

松本が演じたのは、聴覚障害を持つ役柄ということで、事前に準備をした上で「映画になった時に聞き取れないと、映画として見ている側の方々がストレスに感じてしまうという部分で、セリフはセリフとして聞こえるように、ただ聴覚障がいを持つ役柄として演じなければいけないので、監督と色々お話しさせていただきました」と役作りについて語る。「群像劇のシーンが多いんですけど、そこでどうしても反応しちゃうんです。本能的に、人が喋っているところに目を向けちゃうので、そういった部分も瞬時に目が行かないように、そして聴覚障がいの方の話し方は人の口を見て話すというので、そこも意識していました」と、真摯に役へ向き合っていた。

身体障害者野球の礎を築いた初代理事長をモデルとした役に臨んだ佐々木は「できる範囲で野球ができるんだ、じゃあ自分も夢を実現したいし、夢を諦めてた人に一緒にやろうよという、情熱と実行力を僕が表現できたらなと思っていました」と語る。
そんな佐々木との関係性を、相葉は「蔵之介さんとは何度もお食事をしたり、色んな相談もさせていただいている仲で、役と実際の僕らの関係が全く一緒で。すごく安心感がありました」と顔を見合わせた。

福松、日向、DAIKI、寺田はオーディションで配役が決まり、中でも相葉が印象的なエピソードとしてあげたのは福松とのやり取りで「自分の生い立ちを話し出す大事なシーンがあって、その撮影の前日に『相葉さん、ちょっと僕のことを抱きしめてください』ということをおっしゃって、最初は戸惑ったけど、そういうことじゃないのか、役のことねって、ぎゅーってやってあげて」と、唐突なお願いに動揺したエピソードを披露。
すると福松が「すいません、何の脈略もなく…」と謝りながら「すごく感情的にならなきゃいけない大事なシーンがあって、そこが相葉さんと初めましてで、いきなりトップスピードだったので、前日にお願いしたら、優しく抱きしめてくれました」と振り返り、「その温もりを感じて、このチームは相葉さんについていけば大丈夫だなと確信して、シーンにも入っていけました」と語った。

また、撮影前から野球の練習を行っていたという話から、日向が「相葉さんはノックの練習で、僕たちは野球の練習で、どっちも負けたくないというか。相葉さんもヘトヘトだけど、皆が動くからノックを振り続けるし、皆としては『相葉さんいつ打つのやめてくれるのかな…』って感じで」と葛藤があったと明かされると、相葉が「やめてよ俺だって疲れてたんだから!」とツッコミ。続けて「めちゃくちゃ煽ってくるじゃん!僕が空振りすると『おいおい!』って。それぐらい野球を通してキャッチボールができていました。なので撮影に入る時にチーム感があったのかもしれないです。ノッカーに対して、皆さんがスパルタでした」と、容赦なかった様子。
そんな中でも、相葉は「松さんは優しかった!というのも野球経験なかったんですよね。なのにサードという難しい守備位置で」と声をかけ、そんな松本が参考にしたのが、長嶋監督だったそう。スローイングをジェスチャーで披露し、会場を沸かせていた。

キャッチャー役を演じた寺田は「正直、野球なんて大っ嫌いだったんです。小学4年生の時に健常者の野球チームに入って、20歳まで野球をやり続けたんですけど、走れないからレギュラーになれなかったんです。で、20歳の時に野球をやめたんです」と野球との関係性を話しながら「16年経って、まさかブルーフェニックスというチームに入れて、相葉さんに車椅子を押してもらえるなんて、こんな経験はありがとうございます!と」と感激し、「車椅子で俳優業をやるにも、一緒に出てくださる俳優さんがいらっしゃって成り立つものだと思うので、この映画を見てもらって、大旋風を巻き起こし、車椅子の子どもたちが『役者の道に進みます』『そのきっかけが「4アウト」です!』と言えるよう、個人的にアピールしていきたいと思っております!」と熱く宣言した。

チームの監督としての相葉の姿を黒島は「キャストがたくさんいて、意見が色々生まれてくるんですよね。それぞれがやりたいことを、相葉さんが監督になって意見をまとめて、監督に伝えてくれることがよくあって、チームを助けてもらったなと思っています」と、現場での頼もしい姿を明かし、さらに松本からは「あとは、食事会の時は奢ってくれました。監督、ご馳走様です!」と感謝が告げられた。

そして、稲垣監督にとっては8年越しの企画実現となり、「今思えばあっという間の出来事です。今日、皆さんに映画をご覧いただけるところまで辿り着けたことは本当に嬉しく思います」と心境を語り、「撮影現場は元気で明るくて、チームワーク抜群のキャスト陣で、この作品のために皆さんが役に自分の情熱を傾けてくださったことが本当に幸せでした」とコメント。

さらに、フォトセッションでは、劇中で「ブルーフェニックス」を演じたキャストも登場し、ユニフォーム姿を披露した。