――ミュージカル『刀剣乱舞』の本公演に出演するのは7年ぶりとなりましたが、心境を教えてください
僕が前回出演した本公演『結びの響、始まりの音』(2018年)の大千秋楽の日に、演出の茅野(イサム)さんから「また陸奥守吉行が出陣する時が来るだろうから、成長して帰ってこい」と言われて、その言葉がずっと胸にあり続けた日々だったので、ついに来たか、という感じでした。
――脚本を読んだ感想はいかがでしたか?
シンプルに泣きました。涙が出てきました。ちょっと懐かしさも感じるような、でもその中に新しさや、『刀ミュ』シリーズならではの面白さも入っている脚本だったので、完成したら間違いなく面白い、見ごたえのある作品になるなと思いました。


 

――現在稽古中とのことですが(※取材は2月中旬)、手ごたえはどうですか?
覚悟はしていましたけど、大変ですね。この世に存在する舞台の中で、トップクラスでやることの多い作品だと思うので、だから大変なんですけど、皆でもがきながら、戦いながら頑張っています。
――他の作品と比べてどういったところが具体的に大変ですか?
要素が多くて、お芝居はもちろん、歌、ダンス、殺陣など、本当にやることが山積みなので、毎日何か宿題が増えていくような日々です。
――7年前より、ご自身で成長は感じられていますか?
成長というか、要領を覚えました。7年前は、その日に入れた振りとかを寝る前に完璧にしておかないと怖くて、それで寝られなかったんですけど、7年経て、寝れば入るって思考を手に入れました(笑)。寝る前にある程度踊れるようになれば、次の日にはちょっと進んでいるというのを7年間で学んだので、寝る前に完璧にしなくても良いんだ、ちゃんと寝ようって思えるようになりました。
――少し気持ちが楽になったんですね
だから、今回から参加する人たちには「ちゃんと寝てね、寝ないのはだめだよ」って言ってます(笑)


 

――田村さんが思う、陸奥守吉行の魅力はなんですか?
本当に真っ直ぐで明るくて、気持ちが良い男というイメージなので、嫌いな人はいないんじゃないかなというぐらい魅力がたくさん詰まったキャラクターだなと僕は思っています。だからこそ、演じるのは難しいんですけど……。陸奥守吉行は刀剣男士なのに銃も使うし、「やっとうなんて時代遅れじゃ」って言っているので、そこもまた難しいですね(やっとう=剣術)。
――陸奥守吉行を演じる時に意識していることはありますか?
茅野さんから今、特に言われているのは「すぐ気持ちを見せようとしないように」「もっと皆のことを気遣って周りを見て振る舞うように」「でも気持ちはあって当然だから」というようなことですね。陸奥守吉行の心の中にある気持ちをどこで見せて良くて、どこで見せてはいけないのかを探っているところです。
――ご自身と似ているところはありますか?
真逆だと思っていましたね(笑)
――7年前から真逆と思っていたんですか?
そうですね。どうやって演じるんだろうとは思っていましたけど、自分にはない、かっこよさと強さが魅力的なキャラクターだと思っています。


 

――稽古場の雰囲気はいかがですか?
大変ですけど、大変だからこそ一つになって、ふざけていい時はふざけて。休憩に入った瞬間に皆でふざけたり、昨日初めてご飯にも行ったりして、良いチーム感ができてきたかなという感じがあります。
――稽古中に印象に残っている出来事があれば教えてください
まだ稽古が始まって数週間なのでこれからかなとは思いますけど、稽古が終わった後ってすぐに帰りたいのに、ちょっとぼーっとしちゃうというか、脱力しちゃう感じは『刀ミュ』だなって感じはありますね。すぐ帰ればいいのに「今日も終わった……」って皆で2、30分ぼーっとしちゃう時間があるっていう(笑)
――体力的にも厳しい作品かと思いますが、作品に向けた体作りなど、日頃から行っていることは何かありますか?
7年前にはできなかった筋トレを今回はやっていて、1年ぐらいかけて体を作って臨んでいるんですけど、今、ジムに行くのも大変ですね。やっぱり稽古が始まるとなかなか行けなくて、今日も行こうと思っていたんですけど、朝起きられなくて無理でした……。敵わなかったです、睡魔には(苦笑)。でも、筋トレしなきゃなって思っています。
――筋トレを行っていることで、稽古に臨むスタンスは何か変わりましたか?
筋トレは気持ちが前向きになって自分に自信がつくというのがあるらしくて、気持ちの面の変化では強くなったというか、うじうじしなくなった感じはあるかもしれないです。しんどいなと思うことはありますけど、どうにかなるか、ここから頑張るか、みたいに気持ちを切り替えられるようになったところは、筋トレを始めてからあるかもしれません。