
朗読劇、コント、演劇と様々な作品で魅力を魅せるふぉ~ゆ~の福田悠太、辰巳雄大、越岡裕貴、松崎祐介。普段は明るくオモシロな印象が強い4人が、新作となる本作ではパリの街中を賑わす犯罪集団“ル・ミラージュ”という悪役に挑む。
脚本・演出は、独特のコメディーセンスと哲学で構築されたストーリーで高い人気を誇る劇団「山田ジャパン」を主宰し、「全裸監督」「新聞記者」など骨太な映像作品の脚本も手掛ける山田能龍。ふぉ~ゆ~×山田で作品作りを、とかねてよりお互いに思いを深めていたことから今回の上演が実現。それぞれに当て書きをし、更に犯罪集団が街を疾走するさまを“パルクール”を用いて表現するなど、ふぉ~ゆ~の新たな魅力を爆発させる。
共演には、大原優乃、鍛治直人、吉田メタル、さらに本作が本格的な演劇作品復帰となる蘭寿とむと、人気と実力を兼ね備えた精鋭たちが集結し、新たなワイルドなアクションエンターテインメントが誕生。
取材会には、ふぉ~ゆ~(福田悠太、辰巳雄大、越岡裕貴、松崎祐介)、大原優乃、鍛治直人、吉田メタル、蘭寿とむ、脚本・演出の山田能龍が登場。
公演初日を目前に控え、福田は「まずは、もっと稽古をしていたかったという気持ちが強いですね。やればやるほど細かいところをやりたくなって、もうちょっと稽古したいななんていうのをずっと話していて……いやいや、これ本番やらなきゃだめなやつだっということで、今日本番を迎えることにしました」と早速の福田節を披露し、辰巳から「決めたのリーダーなの?」とツッコミが入る。「やろうかということで。かなり細かいところまで僕らも色んな気持ちが詰まっている作品になっておりますので、何回でも噛めば噛むほど味が出てくるようなお芝居になっております。お客様がどんな反応をしてくれるのか、とても楽しみです」と意気込んだ。
続く辰巳は、「僕らふぉ〜ゆ〜としてもまた新たな一面を見せられる作品となっていますし、ふぉ〜ゆ〜というグループは、4人の“ゆう”という意味と、皆さんのために、という両方の意味でふぉ〜ゆ〜という名前がついているんですけども、4人の犯罪者たちと、誰かのためにという部分が稽古をやっていく中でどんどん自分達の中で深まっていって、この作品を見終わった後に皆さんがそういう部分を一緒に考えられるような、何かワクワクドキドキしていただけるものを劇場で盗み見てもらえると。今が楽しみでしょうがないですし、早くお客様の反応が見たいなと思います」と期待を寄せる。
越岡も、「新しいチャレンジとしてパルクールの要素もあるので、そこは見せ場でもあり、そしてふぉ〜ゆ〜が悪党を演じるということで、いつもと違ったふぉ〜ゆ〜を見せられたらなと。あとはお客様が入って、いよいよ完成される作品なんじゃないかなと思うので、いち早くやりたいなって思います」と、幕が開くのを心待ちにしている。
松崎は「5文字で表しますと、『時は来た』。以上です」と簡潔にまとめた。
7年ぶりの舞台出演となる大原は、「稽古では能龍さんをはじめとするカンパニーの皆さんに、舞台の板に立つという基礎から教えていただいたので、ご迷惑をおかけするだけでなく、公演中はエミリーとして生き抜くことで、カンパニーの皆さんにまずは恩返ししたいなという想いで向かいたいと思います」と意気込む。座長・ふぉ〜ゆ〜の姿について、「本当にいつも優しくて人間力が素敵で、こんな座長がいてくださるカンパニーだからこそ、全ての方が自分のやることだけに集中できている組だなと思っています。感謝です」と語り、「ふぉ〜ゆ〜の皆さんが演じられるル・ミラージュと出会うことによって、エミリーの人生も変わっていくので、その過程を大切に演じたいなと思っています」と、役への想いを述べた。
ふぉ〜ゆ〜演じる犯罪集団“ル・ミラージュ”のお父さんのような存在であるロイドを演じる鍛治は、「お芝居を通じて微力ながら支えていけたらいいなと思っております」と語り、自身が好きなシーンに「彼らとの出会いに近いシーンがありまして、そこはすごく僕の中でも好きですね」と笑顔を見せた。
銭形平次の子孫で、犯罪集団“ル・ミラージュ”の逮捕に燃えるエリック・ゼニガタ役の吉田は、稽古の時点で「もっと楽しんで遊んでいたい気分」と話すと、「本当に楽しくて、自分が出ていない時に見ていても、本当に恥ずかしい話、何回も泣きましたし、ずっと毎日笑っていました」と稽古を振り返る。「特殊な役で終盤までほとんど会う人が限られていまして。ル・ミラージュのアジトとか良いな、遊びに行きたいな、と思いながら見ていたんですけど」と羨ましさを滲ませながら、「このカンパニーの皆が良い人がいっぱいで、本当に嫌な人が1人もいない珍しいカンパニーなんですけど。本当に皆のことが好きすぎて、稽古を見ているだけでも本当に楽しくて、自分が出ていない稽古をこんなに見たことがないぐらいやっておりまして。見どころは、僕が見ているところが全部面白いので、僕が出てないところですね!」と笑いを誘った。
次期パリ市長の最有力候補でありながら、裏の顔を持つシルヴィー・ゴールドスミス役の蘭寿は、8年ぶりの演劇作品復帰となる。「私自身、悪役は実はあまりやっていないので、裏の顔を演じていてすごく楽しいなというのは実感していて。山田さんからも丁寧に色々役について教えていただきながら作り上げてきました。壁となる大きな存在として、大悪党を演じられるように、生き抜きたいなと思っています」と気合を入れ、稽古中、「私の励みは、本読みの時に山田さんが『(思っていた以上に)シルヴィーがシルヴィーだ!』って言ってくださったのが、イメージなのかなというのはすごく嬉しかったです」と、山田から嬉しい言葉があったとのこと。「個人的には、ふぉ〜ゆ〜さんのパルクールがめちゃくちゃかっこいいので、客席で見ているとときめいちゃうぐらいかっこいいので、皆さんにも楽しんでいただけるんじゃないかなと思います」と見どころをアピールした。
兼ねてからふぉ〜ゆ〜との作品作りを熱望していた山田は、今回の作品に向けた想いを「ふぉ〜ゆ〜の皆のことがまずは大好きなんですけれども、彼らの魅力って、たとえばですけど、少ない稽古オフの日も他の仕事をしていたり、稽古中に2日後にやらないといけない歌の練習をしていたりと、すごく忙しいんです。だから売れているということになると思うんですけれども、でも僕的にはこの彼らの異常な魅力みたいなものが広まりきっていないみたいな。もっと広まって然るべき4人だという気持ちがすごい強いので、そういう彼らのスタンダードな魅力をちゃんと踏襲したお芝居にしたいと思いながら」と熱く語り、「あとはもちろんファンの皆さんが今まで見ていないふぉ〜ゆ〜を見せたいという、私のクリエイターとしての欲もありますので。そんなものをミックスして作ったという感じがふぉ〜ゆ〜に対する想いです」と心境を述べる。
それぞれのキャラクターが当て書きされているが、ル・ミラージュのリーダー・ユーゴを演じている福田は「僕はふぉ〜ゆ〜でもリーダーなんですけど、ふぉ〜ゆ〜のリーダーの仕事は、こういう時に“リーダーです”って言うことだったりするので。作品の中でユーゴの皆を引っ張っていく感じを見ると、こういう風に引っ張っていくと良いんだなと、勉強になります」と役から学びがあるとのこと。
作品の中で様々な面を見せるライアン役の辰巳は「能龍さんと稽古場からたくさん話をして、早々に能龍さんが『台本を飛び越えてきたな』と言ってくださったのがものすごく嬉しくて。僕自身も、台本で想像していたライアンから、能龍さんと作り上げているものがどんどん階段を上っていった感じがしたので、能龍さんの胸を思いっきり借りて飛び込んだという感じです」と、山田とともに役を作り上げていったことを明かし、「最初に台本を読んだ時のライアンから、より質量の上がったパツパツのライアンができたかなと思います。おしゃべり好きなところも見抜いてくださったのかなと思います」と、当て書きならではの部分があると語る。
その言葉に山田は「1回、2年前ぐらいに4人と飯を食ったんですよ。なんかやりたいなって。その時に私が焼肉食べながらそれぞれをすごい観察して、その時のことが少し反映されてるかもしれないですね」と思い出を明かした。
頭が良く、ちょっとクールなシモンを演じる越岡は「すごい細かい設定だと、方向音痴だと最初に書いていたのを見て、そんな話能龍さんにしてないのに、俺自身めちゃくちゃ方向音痴なんですよ。だから、能龍さんがすごく見抜く力があるなと思って、なんでそんなところまで分かったんだろうなと言う不思議な感覚がすごくあって、でも人を見る力がすごくあるんだろうな」と尊敬の眼差しで伝えるも、山田から「それは偶然」と明かされる一幕もありながら、「『俺が思っていたシモンと違うところが出てきた』と言うのを言ってもらってすごく嬉しかったので、本番をやるのが楽しみです」と微笑んだ。
そして、ガスパールを演じる松崎は自身の役について「そのまま、身体能力にずば抜けているキャラクターでして、その代わり、頭の能力が……」と話し出し、独特な言葉のチョイスに辰巳から「もう今ので分かったと思います。頭の能力?」とストップがかかる。
さらに「僕はどうですか?」と自ら自身の印象について山田に問いかけると「最高だよ」と返され、「だそうです。最高、ってことです!」と満足げな様子だった。
本作の見どころとして、パルクールに初挑戦しているふぉ〜ゆ〜だが、練習に向けて準備したことを聞かれ、辰巳は「最初にパルクールの基礎練習の日があったんですけど、そこでみっちり3時間ぐらいやった翌日、信じられないほどの筋肉痛が」と苦労を明かし、「ダンスとは全く違う、止まる筋肉を使っていて。パルクールを指導してくださった方が『パルクールをできるようになると、その体の使い方が分かるようになると筋肉痛が来ない』とおっしゃっていたんですけど、まさに今その状態でいられていると言うのは、少なからずパルクールの基礎は習得できている状態でステージに上がっているなと感じています」と自信を覗かせた。
最後に、お客様へ向けてメッセージ。
山田は「笑いあり、涙あり、アクションあり、パルクールあり、歌あり、メッセージ性あり、みたいな感じですね。非常に欲張ったお芝居なんですよね。欲張ったお芝居って意外と上手くいかなかったりするんですけど、上手く行っています。他ジャンルの方々が持っているメソッドみたいなものが混ざり合って、こういう欲張ったお芝居みたいなもののバランスがすごくついていると思うんですよね。なかなかそういう奇跡的なお芝居だと思うので、見にきてくださる方々は存分に期待していただいたら良いんじゃないかなと思っております」と自信をみせた。
蘭寿は「私も客席で見たいと思うぐらい、すごく面白くて楽しい、でも、ただ楽しいだけじゃない、温かいものが流れているようなすごく魅力的な作品だなと思いますので、私自身も大悪党として、悪の部分を強く持ちながらも、自分なりの信念を持っていきたいなと思っております。そしてふぉ〜ゆ〜の皆さんに全力でついていきたいなと思っております」、吉田は「劇団ふぉ〜ゆ〜みたいな感じになっていまして、僕たちも全力で楽しんで遊んでいますので、会場にいらっしゃる方も、一緒に遊びましょう」、鍛治は「もう演劇ちゃんぽんのようなお芝居ですので、絶対面白いですから、劇場にいらしてください」、大原は「今の私にできる全てをかけて30公演、エミリーとして生き抜きたいと思っております」とそれぞれ意気込む。
続く松崎は「皆さんにとって悪とはなんですか?」と問いかけ、「水道橋で、ル・ミラージュとアクション!」とコメント。
「走り出し良かったのに…!」とガッカリする辰巳が「それを5文字で言うと?」の無茶振りし、指折り数えながら「ありがとう」と答える松崎だった。
越岡は「見ていて色んな感情がぐるぐるする作品でもあって、動かされるシーンがいっぱいあるので、見にきてくれたお客様が何かを感じ取って、残ってもらえるような作品になると思うので、ぜひ、劇場でお待ちしています。僕と、アクション。感謝!」と、松崎の流れを汲む。
辰巳は「アニメから飛び出してきたんじゃないかというぐらいキャラも立っていて、ここにいるメンバーだけではなく他のキャストさんも本当にワクワクさせてくれるようなキャラになっていて、特に、ル・ミラージュは危なっかしくて奇抜で色気のあるようなチームになりました。アニメから飛び出してきたような作品である反面、演劇の持つ、この劇場に来た時にだけ感じるヒリヒリとした人間同士の摩擦だったり、言葉と言葉のぶつかり合い、空気の乱れなど、そういうものがある両面性を持った、ふぉ〜ゆ〜として、カンパニーとして勝負できる作品になったので、ぜひ劇場でこの迫力と臨場感を味わっていただきたいですし、見終わった後に、またこの人たちが何を盗むのかとか、ゼニガタさんがまたル・ミラージュを追うんだとか、皆の関わりを今後とも楽しみにしてくれる作品になったら良いなと思います。今、かっこよく言ったんですけども、包み隠さず言うとシリーズ化したいです!よろしくお願いします!」と、シリーズ化に意欲的。
最後に福田が「ふぉ〜ゆ〜主演としてたくさん舞台をやらせていただいたりしているんですけれども、今回、山田能龍さんが僕たちを当て書きにして本を書いて、演出をしてくださって、新しい一面が引き出されて、自分達でもまだまだ色んなことができるんだな、たくさん魅力が詰まっているんだな、これからのグループなんだなと本当に楽しみな想いと、この作品がお客様の前でやって、皆さんがどんな気持ちになるのかとても楽しみです。そして、この素晴らしいカンパニーで僕たちを真ん中に置いてくださって、自由にやらせてくださっている皆様に感謝して、今日の初日を楽しみたいと思います」と語り、会見を締め括った。
舞台『CRIMINAL FOUR ―愛しき大悪党―』は、2025年3月6日(木)から23日(日)まで東京・IMM THEATERにて、その後大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール、福岡・キャナルシティ劇場にて、上演される。