■明智光秀について
「豊臣兄弟!」で描かれる光秀は、どちらかといえば「陰」のキャラクターだと思います。何かあると「自分が悪かったのではないか」と考えてしまう人物で、自分の願望を語ることもほとんどありません。能動的に行動を起こすタイプには見えないですね。「本能寺の変」に至るまでの振り幅が非常に大きいキャラクターでもあると感じています。ただその中でも、公方様(足利義昭/尾上右近)のことは常に胸の内に抱えながら生きています。公方様をお守りするという思いを、光秀の大きな幹として大切にしながら演じています。

■第16回の比叡山焼き打ちシーンについて
このシーンでは、自分が今にも崩れてしまいそうになるのを、必死で支えているような感覚がありました。信長(小栗旬)に命じられ、女子どもまで斬らなければならない。でも、本当はこんなことをやりたくないという気持ちだけは、絶対に捨てずに演じようと思っていました。藤吉郎(池松壮亮)に「こうするしかないのじゃ。こうするしか」と自分の本心をはき出しますが、そうすることでどうにか自分を保っていたのだと思います。
第16回は、本能寺の変につながる一つの大きな山場でした。ただ、そこまでの道のりはまだ長く、これからもう一つ、二つと山が積み重なっていきます。そして、本能寺に至る時には、それが富士山よりも大きな山となり、最終的にそれをドンと壊すことになるのだと思います。

■信長との距離感について
信長の命令には絶対に従うという家臣団の中で、光秀はまだ答えが出ていない状態にいます。集団の中では少し浮いた存在なので、音楽で例えるなら、あえて周りと同じ音にははまらないようにしています。はっきりしない、あいまいな部分を奏でるようにしたいなと。だから、勝どきをあげるときなど、みんなで「おお!」と殿に応える場面でも、あまり大きな声で叫ばないようにしています。
信長を演じる小栗さんとは、今回が初めての共演です。信長を本当に深く考えていらっしゃって、一俳優としてとても尊敬しています。ただ、本能寺の変が控えていることもあって、やはりどこかお互いに意識してしまいますね。今作の撮影が終わるまでは、少し壁を作っているように思います(笑)。撮影で、細かなところでのゆるみは絶対に出したくないですし、その点は小栗さんも意識されていると思います。

大河ドラマ第65作で描くのは、戦国時代のど真ん中。強い絆で天下統一という偉業を成し遂げた豊臣兄弟の奇跡、夢と希望の下剋上サクセスストーリー。仲野太賀演じる主人公は天下人の弟・豊臣秀長(とよとみ・ひでなが)。歴史にif(もしも)はないものの『秀長が長生きしていれば豊臣家の天下は安泰だった』とまでいわしめた天下一の補佐役・秀長の目線で戦国時代がダイナミックに描かれる。