本作は、自閉スペクトラム症の兄の大貴(安田章大)と、兄を幼い頃から支えてきた妹の希(のん)の兄妹が、希の結婚話をきっかけに、お互いのこれからとこれまでに向き合うことになる、心あたたまるヒューマンドラマ。
安田章大が、劇団ふくふくやを主宰し女優としても活躍する山野海のオリジナル脚本に感銘を受けて、旧知の佐藤現プロデューサーに「これを映画化できないだろうか?」と持ち込んだことから企画が始動。そこに企画に共鳴した小林聖太郎監督も加わり、自閉スペクトラム症(ASD)の専門家の方々に監修を仰ぎながら約2年をかけて脚本を練り、企画の実現にこぎ、地元・大阪を舞台に、兄と妹の感動の絆の物語を完成させた。

舞台挨拶に登壇した安田は、「“幸せ”安田章大です」とチャーミングに挨拶。公開を迎えた心境を「やっと届けられるという、本当に幸せな気持ちです。0から1を一緒に作ってくれた、山野海に本当に感謝です。それと一緒に作り上げてくれた監督、各部署のスタッフの皆様がいなかったらできなかったし妹の希を演じたのんちゃん、そして周りを囲んでくださったたくさんの皆様に感謝しております。そして、これからこの映画をいつまでも息づかいしている映画にしていってくれるのは皆様だなと思っております。この日を迎えられて“幸せ章大”です」と、幸せな気持ちで溢れていた。

のんも「これからみていただけるということですごくドキドキしています。安田さんと山野さんが立ち上げた作品が素敵な物語を紡いでいるので、ぜひじっくりご覧になっていただきたいです」と言葉を送る。

各地で舞台挨拶も行われている中で、印象的な反響を聞かれた安田は「昨日から(上映が)始まっているわけですよね。1回目の上映が終わった後の感想がSNSに上がっていくのを、監督やプロデューサーがチェックしてくれてるんです。ずっと携帯とにらめっこしていて、情報を読んでくれるから、1個1個返りが分かってありがたいなと、聞かせてもらっていました」と、感想が届いているようだった。

本作に企画から携わり、大貴という役と向き合った期間を経て、日常における考え方の変化について安田は「人はそれぞれ違いますし、それぞれの普通というものがある。その普通を否定せずにしっかり認めること。肯定して時間を使って待つこと。手を取りに行けば、相手が嫌がった瞬間にもう一度待つこと。それぞれのペースがあることを再確認し直しました」と語り、「分かりやすく言うと、発達障害と定型発達というものがあるとするならば、診断が下されているか下されていないかの分かれ方ですよね。人としてそれぞれの光り方があるのは誰も変わらないものなんだなと、改めて強く思いました」と答える。

“普通”が何なのかも考えさせられる内容となっており、「幼少期から普通って何なんやろうなっていつも思ってたんです。僕は10代の頃からスカートも履いていましたし、ネイルもつけたりしていました。人それぞれの普通があるので、『そうなんですね』と空返事の相槌ではなく、ちゃんと相手に興味を持った相槌の打ち方ができるようになったら良いなと。そうすると、夢物語のように聞こえるけれど、誰かが変わっていかなければきっと世界は変わらないと思うので、この映画をきっかけに、一つ一つ変わっていけたらと思ったりします」と、訴えた。

のんもこの作品を通して家族との関わり方を考えたそうで「家族に支えられているのが当たり前になっていたなと思って。自分の活動を応援してもらったり、実家に帰ればご飯を作ってくれたり、今までの自分が亭主関白みたいだったなと、態度を見直しました。だから、前よりも素直にありがとうって感謝できたり、美味しいって口に出していうようになりました」と変化を明かした。

安田演じる大貴にちなみ、人には理解してもらえないかもしれない、自分のこだわりを聞かれると、安田は「…僕はもういいと思います。最近、“色々変わってるよね”って言われるんです」と、言いにくそうにしながら、「普通のことを喋りますね。家では全裸生活です。お料理する時は前掛けだけつけるので、上半身は大丈夫かと聞かれたら、『鍛えてる』って言うんですけど」と、家での様子を明らかにする。
小林監督から「揚げ物とかも?」と聞かれると、安田は「揚げ物も耐えてます。熱っ!って時はそんな自分にクソっ!ってなります。そんな生活をしています」と答えていた。

最後に、安田から「それぞれが思っている普通は人によって違うのかもしれないので、否定せず、それぞれの普通を受け止めてあげてほしいと思います。何より、ひとりぼっちじゃない事だけは理解してほしいです。少なくとも味方はいます、ということは肝に銘じていてください。それぞれが違ってて良いということも、心に留めてほしいです。僕たちがこの映画を通じて、一つ一つ変えていければと思っています。なので、この作品を皆様が育ててください」とメッセージが送られた。