
■柴田勝家を演じきって
勝家を演じることが決まったとき、「最後まで最強の“老害”でいてやろう」と思っていました。ただ、第33回のお市様(宮﨑あおい)との最後の食事シーンで、とても幸せな気持ちになったんです。そのとき自然と、「もう自分は最前線に立つ人間ではない」「次の世代にバトンを渡さないといけないんだ」という心境になりました。第32回で前田利家(大東駿介)から「親父殿とともに、新しき世を作りとうございました!」と言われたときも、同じような気持ちになりましたね。そもそも勝家は出世欲の強い人ではないと思いながら演じていましたが、あの瞬間だけは、天下を取ることに対して初めて心が揺れたのではないでしょうか。それでも、「わしは、織田家家老、柴田勝家じゃ」というセリフに象徴されるように、最後まで織田家のために生きた人物だったと思います。
■最愛の人・市とのラストシーン
お市様とのシーンでは、さまざまなことに本当に助けられました。 まず、お市様を守る場面での立ち回りですが、当初は勝家がお市様を安全な場所へ避難させ、1人で立ち向かう流れだったんです。けれど演出の方の熱い思いをうけて、このシーンで初めて勝家とお市様が手をつなぎ、その手を離さないまま立ち回ることになりました。演じていて不思議だったのは、勝家がお市様に守られているような感覚になったことです。もちろん勝家はお市様を守ろうとしていますが、逆に自分も守られていることが、つないだ手から自然と伝わってきまして。もしこのシーンについて宮﨑さんとお話しする機会があれば、きっと「そうですね」と言ってくださる気がします。
そして、勝家とお市様が天守から身を投げる最期の場面について、これは俳優としての感覚の話になりますが、以前、勝家とお市様がともに眠るお墓を訪れたときに「この2人はずっと一緒にいられるんだ」と感じたんです。その思いが、最期の場面に向き合ううえでの大きな支えになりました。役としての思いとはまた別の話になりますが、俳優としてはそうした感覚も大切にしています。
■仲野太賀さん、池松壮亮さんと長期間演じられて
小一郎役の仲野太賀さんは人をお芝居で感動させる方なんです。ふとしたセリフに心が射ぬかれるんですよね。秀吉役の池松壮亮さんもとてもすてきな方で、いつも現場全体のことを考えてくださり、その姿勢にたくさん救われました。そんな2人と向き合う中で、どうやったら勝家として彼らを憎めるだろうかと考えたときに、彼らの才能に強く嫉妬していることに気づい
たんです。この思いは、勝家としての芝居に使えると思って、常に嫉妬心を抱いていました。「こんなにすごい芝居ができるなんて、腹が立つな」って(笑)。それが最初の役作りのきっかけとなりましたし、そこから一緒に時間を重ねて、最後には彼らにバトンを渡そうという思いに、素直にたどり着くことができました。これからも、2人には思い切り駆け抜けてもらいたいですね。
大河ドラマ第65作で描くのは、戦国時代のど真ん中。強い絆で天下統一という偉業を成し遂げた豊臣兄弟の奇跡、夢と希望の下剋上サクセスストーリー。仲野太賀演じる主人公は天下人の弟・豊臣秀長(とよとみ・ひでなが)。歴史にif(もしも)はないものの『秀長が長生きしていれば豊臣家の天下は安泰だった』とまでいわしめた天下一の補佐役・秀長の目線で戦国時代がダイナミックに描かれる。










