(C)藤本タツキ/集英社 (C)2026 K2 Pictures・集英社

アジア最大規模の映画祭「第31回釜山国際映画祭」にて、〈ガラ・プレゼンテーション部門〉に正式出品された実写映画『ルックバック』の記者会見が、メイン会場「映画の殿堂」にて開催された。朝からの開催にもかかわらず会場は満席となり、約80名の報道陣が詰めかけた。登壇者には是枝裕和監督をはじめ、キャストの出口夏希、蒔田彩珠、七瀬ふうり、岡田六花が勢揃いし、和やかな雰囲気の中で会見が行われた。

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会見の冒頭、是枝監督は「昨日も開幕式が非常に華やかで、僕の名前を歌にまでしていただき、驚きましたけれど楽しい時間を過ごさせていただきました」と、前日に行われたオープニングレッドカーペットを振り返り、「デビュー作からずっと呼んでいただいている映画祭ですので、思い入れも非常に強く、ホームという形で誇らしく思える映画祭です。そこでこの作品を皆さんに届けることができ、大変嬉しく思っています」と、映画祭への思いと参加できた喜びを語った。

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藤野役の出口は「昨年も釜山国際映画祭に来させていただきました。美味しいものをいっぱい食べて帰りたいと思います。よろしくお願いします」と、2年連続で映画祭に参加できた喜びをにじませた。
京本役の蒔田は「初参加の釜山国際映画祭なのですが、昨日もすごい人たちが集まっている中で、オープニングセレモニーを間近で見ることができて、すごく貴重な経験ができたなと思いました」と笑顔で挨拶。
子ども時代の藤野を演じた七瀬は「ヴェネチアでもレッドカーペットを歩いたんですけど、韓国ではまた違う感じのレッドカーペットで、たくさんの人が集まっていて緊張もしたけれど、有名な人とかも見られて嬉しかったです」と初々しく挨拶した。
子ども時代の京本を演じた岡田も「この作品、そしてこのメンバーで一緒にここに来られているということがとても嬉しく、夢のような時間です」と、喜びを語った。

続いて、各国の記者からの質疑応答へ。まず、「漫画界で著名な作品を実写化してみていかがでしたか? また、今回のセットやロケーションでの撮影はいかがでしたか?」という質問が投げかけられた。
これに対し是枝監督は、「原作を読んだ時に、『なぜ自分は映画を作るのか』という衝動や、背負ってしまう業のようなものを描いた物語でしたから、改めて映画と向き合い直すきっかけになった作品でもあります。ですので、その衝撃をこの作品にどう込めていけるかというのを考えました」と、実写化に臨んだ思いを明かした。
さらに撮影については、「とても和やかな現場で、僕が細かく演出するというよりは、4人(出口、蒔田、七瀬、岡田)が共有している時間と、あの街に流れている季節の光の変化を丁寧に積み重ねて、時間をかけて撮っていこうと意識しました。自分にとっては非常に幸せな時間になりました」と振り返った。

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続いて、映画の始まりと終わりで描かれる「背中」の演技や、監督からの指導について尋ねられると、出口は「今作ではすごく背中のカットが多くて、背中でしか伝えきれない場面がたくさんありました。監督には『背中で京本を感じて』と言われました」と振り返った。続けて、「ずっと(蒔田)彩珠と2人で撮影していたので、京本がいなくなったあとの撮影では、急にさみしくなって、(京本が)いるけれどいないような感じがして、心が空っぽのまま撮影をしていました」と、当時の心境を明かした。

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また、作品に描かれる四季の美しさや、デジタルではなくフィルムで撮影した理由、実写にアニメーションを盛り込んだ意図について問われると、是枝監督は「今作に限らず、フィルムで撮れるものはフィルムで撮りたいと思っています。今回は映画化が決まった段階で、『この作品は35ミリフィルムで撮りたい』『四つの季節を捉えましょう』ということを最初から提案していました」と説明。「フィルムで撮るということの一番の理由は、今ここにしかない、その瞬間に対する緊張感と集中度の度合いが全く変わってくるからです。その緊張感が集まった時に、何か特別な『磁場』みたいなものがその場所で生まれてくる。それが作品に映り込むと信じているし、それが観客に伝わると信じて映画を作っています」と、フィルム撮影へのこだわりを語った。
続けてアニメーションについては、「藤野が京本に『わたしの夢は自分の漫画をアニメにすることなんだ』と言った一言が、ふたりを一旦分かれさせ、どこかでふたりがまた出会い直すきっかけになる物語の流れを考えていました。しかし、それは絶たれてしまった可能性ですけど、京本の部屋で藤野がふたりの夢見た未来を幻視するという意味で、アニメーション表現のアイディアが生まれました」と説明。「通常のアニメーションよりは、ロトスコープというアニメと実写のちょうど中間の映像が、京本の描いた背景画の中で、叶えられなかった夢として動くというのが適切だと思い、あの表現になりました」と、アニメーション表現が生まれた経緯を明かした。

会見の最後には次回作についての質問も飛び出し、是枝監督は「(次回作でも)また釜山に戻ってきたい」と笑顔を見せ、今後の作品への期待が高まる中、会場からは温かな拍手が送られた。

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