本作は、作・中谷まゆみ、演出・板垣恭一のコンビで2002年に初演され、10年には行定勲監督で映画化、14年にリニューアル版が上演、さらに韓国でも2度上演されるなど国内外で人気を博す傑作舞台。
演出は、日本版脚本&歌詞・演出を担当した『FACTORY GIRLS ~私が描く物語~』で第27回読売演劇大賞優秀作品賞を受賞し、ジャンルを問わず様々な作品を手掛け続けている板垣恭一。満を持して8年ぶりに本作の演出を務める。

かつては売れっ子カメラマンだったものの、あることをきっかけに現在は日常をだらだらと過ごしている主人公・北見俊介を演じるのはA.B.C-Zの戸塚祥太。
このダメ夫を朗らかに支えつつ、子作りプレッシャーをかける妻・北見さくらを三倉佳奈、俊介が下心を持って接している蘭子役に黒沢ともよ、俊介のアシスタントで蘭子に好意を抱いている古田誠役に関西ジャニーズJr.のユニットAmBitiousのメンバー浦陸斗、そして彼らが贔屓にするバーのママ・文太役に渡辺徹と、個性豊かな実力派キャストが揃いました。

公演初日を翌日に控え公開ゲネプロが行われ、その後の取材会には、戸塚、三倉、黒沢、浦、渡辺が出席した。

初日を迎えるにあたり、心境を聞かれた戸塚は、「短い間ですけれどこの少人数で密度の濃い、心の距離は密になって皆で稽古を重ねてこれて、演出の板垣さんが全て言葉にしてくれて一つ一つ丁寧に説明してくれたので何の不安や戸惑いもなく全てクリアにした状態で今出来るので本番を見ていただくのがすごく楽しみです」と、稽古での手ごたえを語る。

三倉は「この作品は20年前から何度も再演を重ねたり映画化されてきた作品ということで、その作品をこの5人で演じられて初日を迎えられるということでとても嬉しい気持ちでいっぱいです。一公演一公演大切に演じたいなと思いますので是非楽しみにいらしてください」とコメント。

黒沢は「初日を迎えるにあたって、このよみうり大手町ホールはずっと大好きな劇場で立ってみたかったのでこの劇場で舞台に立てることを本当に本当に嬉しく思っています。どんな時間になるのか楽しみです」と、念願の劇場での公演に喜びを隠せない。

浦は「僕としては劇場に入ってからずっと緊張しっぱなしでやばいんですけど、肩の力抜いて、稽古でやってきたことを信じて頑張って、緊張も全部楽しんでやっていけたらなと思います」と、初々しさを見せる。

そして渡辺は「榊原郁恵役の……」と冗談から入り、黒沢から「先輩!」と突っ込まれる一幕もありながら、「脚本がとても素敵で、何度か稽古の最中に頭から読み直すんですけれども、その度に涙が出てしまって、出来れば演じるんじゃなくて見てる方でいたかった楽しみな芝居で、本当に素敵な作品を心を込めて演じ切りたいと思っています」と続けた。

主演が決まった時の想いを戸塚は、「今までたくさんの評価がある作品なのでプレッシャーもありましたけど、僕たちのチームで僕たちのチームなりの『今度は愛妻家』になっていると思います。そして何より脚本が素晴らしいので、相当なミスを犯さなければ!本が素晴らしいので大丈夫なんです!安心感の下、やっています」と、脚本へ絶対的な信頼を置いているようだった。

本作では全員初共演となり、それぞれの印象を聞かれるとまず戸塚は三倉について「約1ヶ月一緒に居させていただいて、稽古場でも佳奈さんは隣の席だったりするんですけど、ずっと“マナカナ”で育ってきたので、その佳奈さんが隣にいると思うと……」と話すと、「よく言うよ!」と笑う三倉。
「それで徹さんもいるわけですから、子どもの頃テレビで見た世界が繰り広げられてると思うと不思議な気持ちでしたけど、ちゃんと稽古では集中しました」と語る。

渡辺は「まあ新旧アイドル対決なんですけど……(客席を見渡して)誰も響いてない」とツッコミ、戸塚は「一番のアイドル(浦)とレジェンドアイドル(渡辺)がいるわけですから。真ん中でレフェリーをやろうと思います」と、3人のアイドルの立ち位置についてコメント。

また、渡辺は新宿歌舞伎町のバーのママ役ということで女性のメイクとなっており、「女装とかはあるんですけどこれはプロの方に作っていただいて、鏡を見ると理想のタイプだなって(笑)。ただ役者はこういうことが多いんですけど稽古に入ったらちょっと口調がおかしくなって。でもどっぷり浸りたいと思います」と話し、記者から「どんな風におかしくなる?」と聞かれると、「うちに帰っても『ちょっとそれ取ってよ~』とか。でも元々才能があったのかなっていうふうに思いますけどね」と冗談も交えながら明かした。
妻の榊原郁恵からの感想が何かあったのかという質問に「テストメイクをした時に写真を見せたら『ん~』って言ってたんですけど、すぐに目元のメイクの落とし方をレクチャーされました。『これ持っていけばいいじゃない!』って協力してもらってます」と話し、「基本は(メイクさんに)落としてもらえるんですけど、擦っちゃいけないとか、まず押さえてとかって。女性は普段から大変なことやってるんだなって……。女房なんかよく手際よく作り上げてるなってすごいなって改めて思っています」と、女性のメイクの大変さを実感したとのこと。

そして、外部舞台初出演となる浦にとって、本作では初めて尽くしのことばかり。
「初めてのことがいっぱいで、楽屋で戸塚くんに色々聞いてました。『緊張を解すにはさらに心拍数を上げて』ということで、さっき(戸塚くんが)実践されていたんですよ!ずっとスクワットされてました。本番前は僕もやりたいと思います!」と、先輩の姿を参考にしたとのこと。
しかし戸塚は、「やらないでしょ絶対!」と一言。
「僕のことずっとツボに入っちゃってるんですよ、浦くんが」と続け、「稽古初日の時に、椅子の上に小物入れが置いてあったんですよ。僕それに気づかず座ったらブーブークッションみたいになって、椅子に置いてあるものに気づかなかった僕のこの天然っぷりにずっと浦くんがツボって笑ってるんです」と稽古場での天然エピソードを明かすも、さらに浦から「昨日もそうですよね?(戸塚くんが)楽屋で野菜カレーをずっとチキンカレーと思って食べてました」と暴露される戸塚。
「いつチキン出てくるんだろうなと思って、最後の最後黒い塊がチキンだと思ってたらじゃがいもで。『あれ?チキンどこにあるんだろう?』って浦くんに聞いたら『それ野菜カレーですよ』って。気づいてたんだよね、浦くんは」とさらに天然な一面が明らかになった。

事務所の先輩である戸塚と既に仲の良さが伺える浦は「戸塚くんの方から声をかけてくださったので、関西の先輩より喋りやすいかもしれないです!」と話すと、「嘘!(Aぇ!groupの)小島くんぐらい僕の方が喋りやすい?」と嬉しそうに返す戸塚。「でも本当に20くらい離れているんですけど、それを感じさせないぐらい大人なので浦くんが。楽屋も一緒で2人部屋で、さっきもAmBitiousの動画を見ながらちょっと緊張を紛らわせてもらいました。どんどんAmBitiousに詳しくなっていこうかなって思っています」と笑顔を見せる。

浦の印象について戸塚は、「こうやってマスクを取った顔を見るのが昨日が初めてだったんです。すごい爽やかだなっていうのは、目元と声のトーンだけで稽古場からずっと感じてたんですけど。イノセントさというか、綺麗だなって。ずっと隣にいるので身体の中から浄化される感じがします」と、浦の爽やかさを全身で感じている様子。
「若返っちゃいますかね?」という記者からの問いかけに、「もしかしたらはっしー(橋本良亮)より若返るかもしれないですね」と笑う戸塚の姿があった。

さらに、ジャニーズ以外の外部舞台に出演するにあたって、「今まで自分が知ってた世界の狭さを知りましたね。一気に価値観が広がったというか、視界が広がってこの一か月夢中で過ごしてきたので、一日が過ぎるのが早かったです」と話す浦。「まず、お芝居に入る前、台本を読むってところから世界観変わりました。表面上に書いてあることだけじゃなくて、書いてないところも想像して作り上げる、その過程をするということに気づいてからグッと変わりました」と雄弁に語ると、共演者から「浦くんってそんな喋るんだね」「アイドルなんだなって実感しました」と感心される一幕もあった。

そして、浦にとって大先輩となる渡辺徹の姿はどう映ったかという質問には「今メイクされてるじゃないですか。メイクされる前に『おはようございます!』って挨拶したんですよ。メイクしてから別人のように綺麗になったのでもう一回『おはようございます!』って挨拶しました」と渡辺の変貌ぶりを褒めたのだが、「ちょっと待ってメイクする前すごく汚いみたいじゃない!」と返され、「そんなことないです!!!」と全力でフォローする浦だった。

戸塚や浦の印象を聞かれた渡辺は、「俺が戸塚くんや浦くんの年齢の時にこんなに真っ直ぐに物事に取り組めたかなっていうぐらいすごく真っすぐに取り組んで、あとは何よりも動きのキレが素晴らしいなあって思っています」と話し、戸塚に対しては「芝居の中でも俺がなだめられるところがあるんですけど、目がね!とろけそうになるんです。じっと見つめられると。素晴らしいなトップアイドルはって感じながらやらせてもらってます」と語り、浦には、「そんな偉そうには言えないですけど、最初一か月前に会った浦くんと全然変わってきて、劇場に入ってからも変わってくるし、なんていう吸収力なんだろうと感心してます」と話すと、恐縮する戸塚と浦の姿があった。
さらに渡辺からは「ただ、元トップアイドルからアドバイスだけちょっと二人に……決して太らないように。体型だけは気をつけていただきたいです!」というアドバイスもあった。

戸塚の妻役を演じる三倉から見た戸塚はどんな人?という質問に、三倉は「独特なワールドがある方なので、裏表がなくてすごく話しやすいってところはあるんですけど、時折何考えているか分からないっていう不思議さが魅力的です。でも稽古場でも隣同士だったので色々と役のことを深めたり、台本に書いてない出会いはどんな出会いがあったのかな?とか、お互いどういうところが結婚の決め手だったのかな?とか、そういうところを話し合う時間がありました」と、魅力を語りながら二人の役作りの様子を明かす。

一方黒沢はカップルを演じる浦と、どのようなコミュニケーションを取ったのか問われると「真面目な話はあんまりしてなくて、ご飯の話とか学校の話をしてました」とコメント。
関西出身の浦は本作出演にあたりホテル暮らしとなっているため、「ホテルで初めて1人で一か月近く過ごすってなったら、ご飯が偏って偏って。ご飯に飽きたって時に美味しいご飯屋さんを紹介していただいたりしました」と、共演者にサポートしてもらっているようだった。

ホームシックになっていないか聞かれると「ピークは越えました」と返す浦。どのように克服したのかというと、「ここが家に近いアットホームな空気感に変わってきたっていうのもあるんでしょうけど、こっちで過ごしてて気を張らなくなったのが決め手かもしれないです」とキャストの空気感に救われた様子。

さらにAmBitiousのメンバーからは何かあったかという質問には、「AmBitiousのメンバーは今ISLAND TVで絶賛ドラマを作ってるので……(笑)」と話しながら、「河下楽くんは『最近どう?』って連絡をくれたり、外部舞台を経験してる小柴陸くんは『最初面くらうことも多いから台本だけは絶対覚えていけ』ってアドバイスをもらったり。ちゃんと気にかけてくれています!」と明かした。

”台本を読んで、北見らしい一面を私自身も持ち合わせているなと感じています”とコメントしていた戸塚。
どのようなところに共通点があるかを聞かれ、「浦くんもセリフが最初からバッチリ入ってて、もちろん皆さんもそうなんですけど。そんな中、セリフを覚えないで行ってしまったっていうこのダメっぷり。こういうダメなところが北見俊介の積み重ねだと思っていて。こういう目に見えないところでちょっとダメっぷりを発揮してしまうっていうのが積み重なると大きな亀裂に繋がってくるんじゃないかなと。今後、絶対しません!こういうことは!」と誓いを立てる。
そんな戸塚を横から見ていた三倉は「セリフを覚えてこられなかったんですけど、役作りだったんだ!と役者魂を感じました(笑)」と返し、綺麗にまとまった。

最後に戸塚が代表してメッセージ。
「これは僕たちが舞台上で演じる物語ですけれど、観に来てくださるお客様の物語でもあります。たくさん笑って、そして心が温かくなる、そんなストーリーになっておりますので、ぜひ劇場にいらしてください。お待ちしております」と会見を締めくくった。

舞台『今度は愛妻家』は、10月7日(金)から23日(日)まで東京・よみうり大手町ホールでの上演を皮切りに、10月26日(水)から30日(日)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール、11月5日(土)・6日(日)にて宮城・電力ホールにて上演される。