
これまで時代を代表する数々の名作映画・ドラマ・アニメーションに主題歌を提供し、その度に高い評価を獲得してきた米津玄師。米津は1991年に生まれ、10代の頃、新海誠の『秒速5センチメートル』と新海自身が書き下ろした同作品の小説に深い感銘を受けたという。今回、原作の世界観をリスペクトしながら、主人公に自らを重ね新たな名曲を生み出した。
本作で重要なパートを占めるのは、主人公・遠野貴樹の心に深く刻まれている、ヒロイン・篠原明里と出会った1991年の日々。小学生のころに出会い、心を通わせていく幼いふたりが過ごしたまばゆい日常、大人になってからも色あせない「あの頃」が、主題歌のタイトルに刻まれている。
奥山由之監督も1991年生まれ。奥山はこれまで米津玄師の楽曲「感電」「KICK BACK」のミュージックビデオを監督したほか、アーティスト写真の撮影を担当するなど、深い信頼関係を築いてきた。互いの才能を高く評価し合う二人が紡ぐ、映画本編と主題歌に注目だ!
<コメント>
■主題歌・・・米津玄師「1991」
映画を試写で初めて見させてもらった時、冒頭から終わりまで全てのカットに奥山さんの熱意と執念が滲むその出来栄えに「すごいものを見た」という興奮をおぼえました。子供のころ原作と出会い、数年まえMV監督としての奥山さんと出会い、やがて映画監督にもなった彼がこのような素晴らしい映画を撮り、そこにわたしの居場所があったのが嬉しくてなりません。映画の為に書き下ろした曲であるのはもちろんですが、先述の経緯による影響もあってか同時にわたしの半生を振り返るような曲にもなってしまい、映画のキーワードでもあるところの1991というタイトルにさせてもらいました。どうかよろしくお願いします。
■監督・・・奥山由之
互いに「1991」年に生まれ、同じ時代にものづくりを始めて、だからこそ(きっと)似た悩みをくぐり抜けながら、時に一緒に創作をしてきた米津さんと、ついに『秒速5センチメートル』を共に描けたことが嬉しくてなりません。
主人公である貴樹の半生に、映像や音楽を通して僕ら自身を重ねて描くことの意味が「1991」という曲の筆跡に詰まっているように感じて、初めて聴いたとき、その歌詞と音色に心が震えました。一歩一歩の歩みを大切に踏みしめるような旋律を、ぜひスクリーンで体感していただけましたら幸いです。
さらに、主題歌を使用した最新予告映像が到着!
「大人になればきっと、この世界のことがわかるようになるはず─」主人公・遠野貴樹(松村北斗)のモノローグではじまり、貴樹が歩んできた18年間を振り返るように続いていく本予告映像。
1991年、人と人が出会うわずか0.0003%の確率で出会った、貴樹(上田悠斗)と明里(白山乃愛)。「来年も、一緒に桜見れるといいね」と、この先もずっと一緒に過ごしていけると信じていた幼い二人に訪れる、突然の別れ。
1997年、「誰にも近づきすぎないように─」と、どこか心ここにあらず高校時代を過ごす貴樹(青木柚)に、どうしても届かない花苗(森七菜)の想い。
そして2009年、「誰といつ別れても平気でいられるように─」漠然とした不安と焦燥感を抱えながら、社会人としての日々を過ごす貴樹に送られる、理紗(木竜麻生)からのメール。
主題歌「1991」からは、貴樹の内に秘めてきた感情があふれ、“いつまでも君といたかった─”と、切実な想いを、まるで心の中に零れ落ちるように米津玄師が歌い上げます。さらに、これまで解禁されてきた映像には見られなかった、嗚咽しながら涙を見せる、感情があらわになった貴樹の姿も映し出される。
それぞれの人生を歩み、大人へと成長した貴樹と明里(高畑充希)は、いまは別々の場所に。お互いが同じものを見たり、同じ場所を訪れたりしていても、再び交わることがなかった人生のなかで、やがて迎えるある約束の日。そして、原作アニメーションでも印象的な参宮橋の踏切のシーンで締めくくられている。