
親の仕事を継ぎ、つつましやかに温泉宿を営む康太。いつもの日常の中、ある小道で前を走る車の様子がおかしい。心配した康太が車を止めると、運転していたのは、高校時代から康太が推している元アイドル”鮎川舞子”だった。しかしテレビのニュース速報では、舞子の夫が薬物で逮捕され、舞子自身も疑惑の中行方不明になっているとの報道を見たばかり・・・。混乱する康太だったが、これまで康太の人生を照らし続けてくれた推しである舞子に、今自分ができることを全うしようと心に決める。
主人公の康太を演じるのは、映画『ひとりぼっちじゃない』に続き、映画主演2作目となる井口理(King Gnu)。日本の音楽シーンを牽引するバンドKing Gnuのボーカル兼キーボードとして活躍、個人としては、昨年は映画『国宝』の主題歌「Luminance」に歌唱参加、第49回日本アカデミー賞の主題歌賞を受賞。音楽、俳優としても活躍の場を広げる井口が、大勘違いの中、推しのために一生懸命奮闘する康太を演じる。
康太が長年推している元アイドル・鮎川舞子には、今年俳優10周年を迎え、4クール連続ドラマ出演中の深川麻衣。ある事情があり、逃亡を続ける舞子が康太に出会い揺れ動く心情を、繊細に表現した。
監督は、『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年)『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』(2008年)などの脚本家として活躍する一方、近年では、『ひとりぼっちじゃない』(2023年)で映画監督デビューをし(脚本・原作も担当)、同年には監督・脚本・原案を務めた『サイド バイ サイド 隣にいる人』が公開された、伊藤ちひろ監督。井口とは、主演と監督としては2度目のタッグになり、絶対的な信頼関係で本作を作り上げた。一億総推し時代と言われている今、信じ抜くことで自分の人生を支えてくれた推しを守ろうとしたある男の小さな奇跡の一日の物語が、この秋あなたの心を照らす。
今回解禁された本編映像は、康太が初めて推しのコンサートを見た学生時代を振り返る回想シーン。長年のファン・鮎川舞子がレギュラーを務めるラジオを聴く康太を捉え、部屋には舞子のポスターや雑誌の切り抜きがびっしり貼ってある。さらに時は康太の学生時代に遡る。学園祭に舞子がやって来ると聞いた康太は、興奮を抑えきれず、舞子が当日使用する予定の控室を訪れた。現実ではないけれど、舞子を身近に感じた瞬間だった。そして、迎えた学園祭当日。初めて見た舞子のコンサートに圧倒され、呆然と立ち尽くす康太を映す。
親の跡を継ぎ、つつましやかに温泉宿を営む康太の淡々とした日常を、かけがえのない時間に変えてくれた舞子。その存在が康太にとってどれだけ大きいものだったのか。本作のテーマについて、井口は「昔好きだった人や、一度お世話になった人のことをずっと好きでいるというのは、すごく自然な人間の感情。ファンと推しだった、2人の関係がどうなっていくのか。ファンと推しのレッテルを、どうやって剥がしていくのかというのが今回のテーマだと思っています。その人を信じたい、その人が失敗をしたときに支えてあげたいとか、そういうことを普遍的に描いている映画だと思うので、それが伝わったら嬉しいなと思います」とコメントし、ファンと推しの関係性を越えた、人間同士がどう出会い、関わっていくのかという物語の核心に触れた。




