――本作品で映画初出演となりましたが、出演が決まった時の心境はいかがでしたか?
嬉しかったですね!地元の埼玉で撮影出来るというのは私にとって特別な思い入れのある作品になりそうだなと感じました。
――脚本を読んだ感想は?
コロナ禍で自分のやりたいことや夢を諦めざるを得ない人たちが多い中で、自分の中の“好き”を大切にする気持ちや重要性を強く感じた作品でした。私自身もとても感銘を受けました。
――今回井上さんが演じたのは子どもたちを見守る先生役ですが、先生を演じられてみてどうでしたか?
最初は子どもたちとの距離感をどう掴んでいこうかと戸惑いもありましたが、子どもたちも緊張していたので、まずは彼らと好きな番組について話すところから始めて行きました。でも、宮岡(太郎)監督自身が昔塾講師をしていた経験がおありで、どういう風に子どもと接したら距離が縮まるかを一緒に考えたりアドバイスをくださったので、最後にはふざけてゴミとか渡してくるようになったりするぐらい仲良くなれて(笑)、本当に生徒と先生みたいな関係を築けた気がしてとても楽しかったです。
――役を演じるにあたり参考にした先生はいらっしゃいましたか?
私は中学生から仕事をしていたので、学校生活の思い出があまりないんです。だから、こういう先生が居たら楽しかっただろうな、と自分の中で理想像を作っていきました。

――井上さんが理想とする先生はどんな先生ですか?
大人だからとか子どもだからとかという枠組みではなく、もっと子どもたちとの距離が近く、同じ立場になって色々考えてくれる先生が居たら良いですよね。演じる時には上から目線で接するのではなく、なるべく対等で居ようと心がけていました。
――役を演じた時に気をつけたところは?
まずは、自然体で居ようと。まだ2年目の若手の新任教師で、仕事に馴染めていない感じもあり、ミスも多くて、ちょっと抜けているドジな面もあったりしたので、あまり作り込まず演じていました。
――ご自身と役の共通点はありましたか?
今回自転車でダッシュするシーンが多くて、土方先生が自転車をすごい形相で漕いでいるんですけど、割と私も普段からそんな感じなので「任せてください!」って得意げに言いました(笑)
――自転車のシーンは一つ見どころですね
完成した作品を見てみたら、自転車で通る街並みや入間の風景がすごく綺麗に映っていて、何回も何回もテイクを重ねて撮ったシーンだったので、こんなに綺麗な入間の景色と一緒に映像になっているのを見たら、頑張って良かったなと思いました。

――普段、井上さんは舞台作品への出演が中心となっていますが、今回の映画出演で違いを感じた点や勉強になったことはありましたか?
舞台では、後ろの席の方までどう伝えるか、身体表現を重視してしまいがちなんですが、映像は違うと思ったので、そぎ落とす作業に苦労した部分もありました。
――そぎ落とした表現は具体的にどんな感じでしたか?
寝坊して遅刻するシーンでは自分がいつもやりがちな仕草を入れてみたりして、舞台の場合は、分かりやすくリアクションを付けた方が良いかなと思うんですけど、映像では瞬きの回数とか、髪をぐしゃぐしゃっとして焦っている細かい仕草を自然な感じで入れてみました。
――演技のお仕事はやはり舞台が主軸なのでしょうか
舞台が好きで、舞台をやりたくてこの世界に入ったのですが、やっぱり舞台だけに絞っていってしまうと、枠が狭まっていってしまうので、映像での表現を自分の中に取り入れて試しながら、それをまた舞台へ持ち帰る、ということが出来たら、と思っています。今後も色々挑戦していきたいですね。