
原作は、熱狂的ファンも多いコント職人ジャルジャルの福徳秀介が2020年に小説家デビューを果たした同名作。個性的かつリアリティあふれる女性主人公を描くことの多い大九明子が監督を務め、恋愛作品としては初の男性主人公の物語に挑戦。主人公の冴えない毎日を送る大学生・小西徹を萩原利久、小西が恋に落ちるヒロイン・桜田花を河合優実が演じている。
この日は、本作のタイトルにも入り、キーワードとなる“空”をイメージした風船ステージに登場したキャスト。
冴えない毎日を送る大学生・小西を演じた萩原は「とにかくこぼさない意識」を常に持ちながら演じていたと話し、「みんなの言葉だったりいろんなものを受けてそこから次の言動だったり原動力になったり、皆さんから貰うものっていうのはすごく大事な役でもあった。個性的な役の中で、皆さん素晴らしいいろんな引き出しを出してくださるので、そういう1つ1つをこぼさずにキャッチできるかっていうのがありました」と回顧。また、大学ではリアルな学生がいる中で撮影が行われたそうで「そういう景色だったり、匂いだったり、色だったり、いろんな情報を取りこぼさないようにいつも以上に受け皿のようなものを大きくする意識は現場中ずっとしていたかなと思います」と言い、「大学の皆さんが眩しくて、どこ行っても明るい声だったり、1人1人がのびのびキラキラされてて、すごく良いものをたくさん吸収させていただきました」と笑顔をみせた。
小西が恋に落ちるヒロイン・桜田を演じた河合は「全編脚本を読み通してみると、桜田なりの孤独だったりとかそういう抱えてるもの、人間性は後から分かっていくんですけど、最初は小西から見たヒロインでいいなと思ったので、形から入ったような感覚があった」と明かし、「お団子頭っていうモチーフ、衣装、とにかく背筋をまっすぐ伸ばそうとしたりとか、小西から見た印象っていうのをすごく最初は大事にした」と役作りについて語った。
本作での見どころへ話題が及ぶと萩原はすごくマニアックなポイントとして『走るシーン』をセレクト。選んだ理由について「よくある撮影の仕方でカメラマンさんが車とかに乗って、それで走ってる姿を撮るんですけど、大体いつもちょっと気持ち速度を落としてくださいって言われることがすごく多いんですよ」と前置きしつつ、本作においては「この映画に登場してくる走るシーンは尋常じゃないぐらい早いんですよ。全力で走っても追いつかないぐらいの速度で走ってくるんで、こんなに本気で走るシーンを撮ったのは初めて」とぶっちゃけ。監督がそうなった経緯を「走り出したきっかけが、脳内にはびこってしまう桜田が自分を罵倒している妄想から逃げるっていう小西の1番弱い部分、人の目ばっかり気にして生きているっていうそこの部分だったので、死に物狂いで走んないとジョギングですよみたいなんじゃもう全然走る意味ないんですけどみたいな感じになっちゃう」と説明し、「振り切るつもりで車を走らせてくださいってドライバーさんには言って、利久さんには車についてきて」と言っていたことが明かされると萩原は「走るの好きなので、走るシーンは割と好きな方だったんですけど、ちょっと今後走るの好きって言うのを考えられないぐらい全力走りさせていただいた」と注目シーンをアピールしていた。
また、間もなく4月を迎え新生活や新学期を迎える出会いのシーズンが始まることにちなんで、初めて出会う人や初めての場所で仲良くなるために心がけていることを問われた荻原は「話を聞くことが大事な気がしてきて、ある時からすごい意識をして人の話を聞くようになった。そうなってからの方が人と仲良くなれている気がします」と仲良くなれるコツを説明。河合は「自分の興味がないと世間話してても嘘になっちゃうじゃないですか。だから、その人の好きなところとか、その場所の魅力とか、ここは愛せるなっていうところを探す」と話すとMCから「すぐに馴染めるタイプですか?」と質問され「めっちゃ人見知りなんですけど、仲良くなりたいと思ってるけど、すごい時間かかりますね」と打ち明けていた。
この日の舞台挨拶には、共演の伊東蒼、黒崎煌代、監督の大九明子も登壇した。