
ニューヨークのブロードウェイレビュー、ジーグフェルド・フォリーズの大看板だったファニー・ブライスの伝記ミュージカルとして1964年にブロードウェイで初演された『ファニー・ガール』。音楽ジュール・スタイン、歌詞ボブ・メリル、脚本イソベル・レナートによる本作に抜擢された主演のバーブラ・ストライサンドは映画化でも主演を務めアカデミー賞主演女優賞を受賞、圧倒的な存在感と歌唱力に多くの観客が熱狂し、「People」「パレードに雨を降らせないで」といった名曲は、今もなお多くの歌手によって歌い継がれている。
ブロードウェイでは初演以降リバイバルされなかった本作だが、2022年、ハーヴェイ・ファイアスタインの改訂台本によって半世紀以上の時を経て、名匠マイケル・メイヤーによりブロードウェイに凱旋。ファニー役は大ヒットドラマ「glee/グリー」のリア・ミシェル、ニック役はウエスト・エンドやブロードウェイで『レ・ミゼラブル』ほか多くの作品に主演したラミン・カリムルーが演じ、ヒットした。
そして、『春のめざめ』でトニー賞を受賞、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』などの演出を経て近年はオペラ界の頂点と言われるメトロポリタン・オペラで『椿姫』『アイーダ』を手掛けるなど目覚ましい活躍を見せる名匠、マイケル・メイヤーの演出により現代にふさわしく生まれ変わった傑作ミュージカルを、いよいよ日本でも上演される。
出演は、本年、『マスタークラス』『エリザベート』の演技で第33回読売演劇大賞および最優秀女優賞を受賞、そして文化庁芸術選奨 文部科学大臣新人賞も受賞した望海風斗。宝塚歌劇団雪組トップスターとして活躍し2021年に惜しまれながら退団後、『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』『イザボー』ほか、卓越した歌唱力を持ち、あらゆる役柄を多彩に演じる望海が、伝説の大女優、ファニー・ブライスを演じる。また、「20th Century(トゥエンティース・センチュリー)」のグループ活動と共に精力的に舞台の主演をこなし、『THE BOY FROM OZ』『凍える』で第48回菊田一夫演劇賞を受賞、昨年もミュージカル『ホリデイ・イン』で観客を魅了し、本年3月にはアーサー・ミラーの戯曲『るつぼ The Crucible』では難役に挑んだ坂本昌行が、ファニーの夫で賭博師のニック役を務める。
ファニーの無名時代から彼女を支えるダンサー、エディ・ライアン役にはミュージカル『ロミオ&ジュリエット』、『ウェイトレス』など、多くの作品で存在感を放つ水田航生が今回は本場ブロードウェイクリエイター振付のタップを披露。ブライス夫人のポーカー仲間、ストラコシュ夫人役には、第21回読売演劇大賞優秀女優賞を受賞、劇作家、演出家としても活動し、毎年12月にはロングラン公演である『ア・ラ・カルト』を引き継いだ『僕のフレンチ』で構成・台本・演出を手掛けている高泉淳子が、また、数多くのテレビ・映画出演と共に、舞台では昨年2025年にミュージカル『ケイン&アベル』に出演、本年3月『大地の子』の演技でも高い評価を受けている益岡徹がファニーを見出すプロデューサー、ジーグフェルド役を演じる。
そして、デビュー曲「可愛いベイビー」の大ヒットで一躍スターになり、映画・ドラマのみならずバラエティーでも日本のテレビ番組をけん引、舞台ではプロデュースと主演を務めたオリジナルミュージカル『ザ・デイサービス・ショウ』を長年に渡り全国で上演し、2022年にはミュージカル『ピピン』で主人公の祖母、バーサ役をダイナミックに演じた中尾ミエが、常に冷静な目で娘を見ているファニーの母親、ブライス夫人役を務める。

坂本は、演出を務めるマイケル・メイヤーの印象を「温かくてパワーがあって、包み込んでくれる感じの方という印象が非常に強いです。悩みを一掃してくれるぐらいの温かさがあり、良い意味で緊張しながら楽しくできるんだなと感じました」と話し、本作の魅力を「ファニーの生き方、前向きな力強さと明るさがお客様に大きなメッセージとして伝わるんじゃないかなと思っています。予習するより、見に来てくださって、ステージ上で行われているものを十分に楽しんでもらえたら非常に嬉しいです」と熱弁。
挨拶で、自身が演じるギャンブラーのニック・アーンスティンについて「私自身とは1ミリも重なっておらず、どう演じていこうかなと思っています」と話していた坂本。ギャンブラーの一面を聞かれ「僕の中でギャンブラーの気質は1ミリぐらいしかないです」と回答。「何をやるにも石橋を叩いて渡るタイプなので、そういう方が羨ましいなとずっと思っていました。『やってみないとわからない』『そこが面白いんじゃないか』って言えるかっこよさを持ち合わせていないので、そういう人を見ると一度やってみたいなっていうのはあるんですけど…」と、憧れは抱いていたよう。しかし「ご飯屋さんに行くとメニューを見ないで同じものしか頼まないんです。たまに違うところに行ってみると失敗するタイプなので、ギャンブラーではないです」と語っていた。

また、タイトルにちなみ、“ファニーな出来事”を聞かれた坂本は、以前、益岡と共演していた舞台にて「公演中に前歯が飛びました。本番は歯がない状態で1曲歌わなきゃいけないのが、ファニーでした」と思わぬハプニングに見舞われたことを明かす。「幕が閉まって、皆で歯を探して、アンサンブルの方が『ありました!』って。どこにありました?って聞いたら、『センターにありました!』と。以上でございます」とエピソードを披露した。
ミュージカル『ファニー・ガール』は9月8日(火)より東京・日生劇場で開幕し、大阪、福岡、愛知で上演される。















