――この作品に出演が決まった時のお気持ちからお聞かせください
正直、はじめはプレッシャーや不安も感じていました。でも、この作品のオーディションの時に台本をもらって、その時は10代だったのですが、自分にしか演じられない、逆に自分が演じたいという強い想いがありました。出演が決まり、覚悟も決まっていたかなと感じます。
――台本をもらって読んだ時の感想はいかがでしたか?
台本を読んで、簡単じゃない話なのかなと思う瞬間はあったんですけど、作品を撮っている中では、本当に色んな人の優しさを感じました。友だちもそうですし、先生やヘルパーさんといった色んなひとからの優しさを受けて、すごく温かくなる自分もいたんです。だから、重たく受け止めすぎないという部分は演じる前から変わったところかなと思います。あとは、演じる中でこのシーンってこういう解釈だったんだ、と思うところもたくさんありました。
――山時さんが演じる佑は、どういう男の子だと捉えましたか?
佑は自分の中で抱えてしまう不器用で無愛想なところもありましたけど、本当はすごく優しくて、人想いで、お母さんのことも大好きで、何よりも自分の言葉で確信的なことを言える能力があって、それで救われてきた人がたくさんいる、そんな強い子だなと思っています。
――ご自身と役の共通点はありましたか?
バスケが大好きということもそうですし、もちろん母が大好きというのも共通点かなと思います。今、僕は大学生なんですけど、同じ入試方法で大学に入ったので、面接のシーンなどもすごく共感できました。


 

――演じる上で意識していたことがあれば教えてください
言葉にできない表情でのお芝居もすごく多くて、その中で自分がどういう感情を持っているのか、ということはいつも意識しながら演じていました。台本に書いていないところも、今、どう思っているんだろう?と一つ一つ考えました。あとは、姿勢も意識した部分で、最初の方は猫背だった佑が、だんだんシャキッとしていくようにしました。
――作品の中で心が動いたセリフはありましたか?
田中偉登くんが演じる翔太の「おれ、もっとお前と一緒にバスケしたかったわ」というセリフは、佑としてこの作品に参加している中で、自分が映っていないところですごい号泣してしまって。それぐらい、心が軽くなった瞬間だったんですよね。僕は普段役に引っ張られないんですけど、そこは自分も感情移入してしまって、すごく印象に残っています。
――佑を演じる中で、中川駿監督から言われて印象的な言葉や演出はありましたか?
僕が何度もテイクを重ねてしまったシーンがあったんです。テイクを重ねてしまうと頭は真っ白になってしまうし、自分自身が何を求めているか分からなくなってしまうんですけど、その時に監督が「いくらでもやっていいんだよ」「チームでこの作品を撮ってるから、皆も遅れていることは気にしないよ」と言ってくださって、そこで僕は心が楽になって、納得できるまでお芝居ができました。
――ちなみに、テイクを重ねてしまったシーンはどこだったのでしょうか?
下村さん(西野七瀬さん)に追いかけられて「佑!」って言われるところなんですけど、そこはちょっと緊張してしまって、入り込めていなかったというのが自分的には反省している部分です。台本上は「佑君」ってセリフだったんですけど、西野さんがアドリブで呼び捨てにしてくれたことで、僕の感情が動いて、OKが出ました。


 

――ご自身と近い年齢の役を演じて、どのように感じましたか?
今の僕の生活と比べてしまいますよね。僕は学生時代、仕事もしていましたが、佑よりは部活にも参加できましたし、友だちとも学校にいたらずっと話していたので、そういうところで比べてしまい、佑の生活が大変だと感じたりはしました。あとは、僕は家事をあまりしないんです(苦笑)。そういった意味でも尊敬しています。佑の立場にならないと分かりませんが、今自分がそうなったら、果たしてそんなにすぐ受け入れられるのかは考えました。それこそ回想シーンで、受け止めきれていない佑を演じたので、そこはすごく共感できましたし、お芝居の中での差も出て、自分の中でも演じやすい部分でした。
――社会問題にもなっているヤングケアラーが題材となった作品で、役として経験してみて問題点などはありましたか?
ヤングケアラーって、自分がヤングケアラーだと思っていないというか、それが当たり前のような生活で、そこが僕的にはちょっと寂しかったなと思います。家族のために自分の時間を削ってまで介護や家事をするというのは、それが当たり前だと思っている人もいるかもしれないですけど、自分の時間を大切にすることも大事だと思います。だからこそ、それが当たり前になってしまっている現状に、僕は悲しくなりました。
――周りの方の支えや人とのつながりを、この作品から感じました
僕はこの作品の中で色々な人と関わったので、すごく助けられているんだなと思いましたし、でも自分が助けられていても気づかないことってあるんですよね。それは佑にもあって、演じる中でもその塩梅が難しくて、どこまで気づいていいものなのかと撮影中に考えていました。