本作は、2010年に刊行された池井戸潤による長編小説。ひょんなことから内閣総理大臣と大学生の息子の心と体が突然入れ替わり巻き起こる混乱を、社会や政治への皮肉や風刺を絡めて描いたコメディ小説で、2010年に単行本、2013年に文藝春秋より文春文庫版、2019年にKADOKAWAより角川文庫版が刊行され、人気を博した。また、2015年にテレビ朝日系にて初のドラマ化がなされ、2024年にはテレビドラマオリジナルストーリーとして『民王R』が放送。老若男女問わず好評を博している。
全世代幅広く、圧倒的な支持を受ける「池井戸潤小説」が、この度はじめて舞台化することが決定。このミュージカルが記念すべき第一作目となる。
数々の大ヒット作品を生み出し続ける池井戸潤。その作品群の中でも痛快政治コメディとして愛され続ける『民王』の豪華キャスト・クリエイティヴによる初の舞台化・ミュージカル化に期待が高まる。

開幕に先駆けて行われた製作発表記者会見で、まず演出を務める永井が「私、永井誠、今回ミュージカル『民王』で東宝演目舞台演出家デビューでございます!池井戸先生も舞台化が初めてということはデビュー、角野さんチームもミュージカルの楽曲を作るのが初めてでデビュー、このデビューチームで全く新しいミュージカルを作っていきたいと思っております!」と力強く宣言。

本作の主演であり、ある日突然、現職総理大臣である父親と入れ替わってしまう大学生・武藤翔役を演じる有澤も「初尽くしのミュージカルでございます。“痛快政治コメディ”ということで、ミュージカル界の新しい風穴を開けたいと思っています。新しいジャンルを切り拓きたいと思っています!皆さんをこのミュージカルで元気にしたい、観に来てくれた人を笑顔にしたいという自分の大きな目標がこのミュージカルで叶うような気がして、それぐらいの力を持った池井戸潤さんの作品ですので!既に稽古が始まっていますが、皆さんの目がキラキラしていて、僕自身もキラキラしているんだろうなと思いながら、楽しく稽古させていただいております」と話し、「これは期待値ガンガン上げていきたいと思います。これで面白くなかったら相当やばいぞと思って、それぐらい期待を上げてやっていきたいと思います」と、自らハードルを上げてしまうぐらい、手応えを感じている様子。

「お話をいただいた時に、プロデューサーさんから『ぴったりな役がある』と言われて、まだ本を読む前だったので、あらすじだけ見ると“どうしようもないバカ息子”というキャッチフレーズで、そういう役、結構多いんだよな…と思いながら本を読み進めると、すごい良い役で。ここまでピュアな男が、かっこいいとか胸を打つ瞬間あるんだって後半に思いました。日本に一番必要なのはこういう男なんじゃないかなとさえ思ってしまうような良い役だったので、そういう役を自分に合うと言ってくれたプロデューサーさんに感謝しました。自分にそういうピュアさがあると、しっかり自分で思い込んで、皆さんの心を動かしたいと思います」と、自身の役の印象を話し、意気込んだ。

有澤演じる翔の父・武藤泰山役の別所は、「私の息子はキラキラ系で、私はギラギラ系で、皆さんに熱く熱く、政治の今と、息子になってしまった後の武藤泰山の変貌から日本の政治がどう変わるのかをお届けできればなと思っております」とコメント。「稽古は本当に笑えが絶えず、楽しく作らせていただいております。初尽くしなんですけど、僕も内閣総理大臣をミュージカルで演じるのは初めてですし、この作品が新しい痛快政治コメディ、そしてミュージカルの新しいジャンルを切り拓いていくんだろうなと、0から生み出す面白さを楽しんでおります」と、稽古の日々を語った。

池井戸作品が初のミュージカル化ということで、脚本を読み、ミュージカル『民王』の魅力について、有澤は「楽曲と共に脚本を見た時に、ミュージカル『民王』になってる!と思いました。ミュージカルどうやってやるの?と心配されている方もほとんどだと思うんですけど、まず、曲の数がちゃんと多いです。オープニングから曲で始まり、『民王』といえば、というシーンがこの音楽になるんだとか、オリジナルの設定もありますが、きっとミュージカル『民王』として受け入れられるんだなと思いました」と期待を寄せる。

一方の別所も「小説の素晴らしさ、楽しさ、そこからテレビドラマにもなっていますし、ミュージカルならではの個性は音楽の調和だと思いますし、これは絶妙に魅力的に展開されています。台本を読んだ印象は、展開が早いです。ものすごいスピード感だなと思って、そこにギュッとそれぞれのキャラクターが出ていて、見ものなのは入れ替わるところだったり、小説の中に存在するシーンが音楽とともに立ち上がってくるので、魅力的に感じております」と語った。

会見では、原作者の池井戸潤氏、角野隼斗氏のコメントを有澤、別所が代読する場面も。角野氏が手がけた楽曲について、有澤は「歌うには結構難解な曲が多いんですけども、曲自体はすごくキャッチーで軽やかで、新作ミュージカルにぴったりな新しい風を、楽曲が手助けしているなと思っています。今までにない曲調だけど、すごく耳馴染みも良くて、きっと、お客様も劇場を出られた時には口ずさんでくれるんじゃないかなと。僕も既に、1、2回ぐらいしか聞いたことないのに歌える曲ばかりなので」、別所は「色んなジャンルの曲というか、ポップでアバンギャルドでファンキーで、ジャジーなのにクラシカル。まさに角野さんにしかできないような世界観なんじゃないかなと思います。楽曲としてのグルーヴ感も含めて、ユニバーサルな世界に通じる音楽性を感じていただけたらと思います」と、それぞれ魅力を熱弁。

ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』で一度、親子役で共演を果たしている有澤と別所。本作の稽古を通して発見したお互いの魅力を、まず有澤が「ここまで『ママー!』がしっくりくる方だとは思っていなかったです。別所さんが『ママ』というのはちょっと…という違和感が生まれるかなと正直思っていたんですけど、立ち稽古の一発目から、こんなにも『ママ』がしっくりくるんだなと。無邪気さというか、いつまでも少年のような自由で好奇心があって、ずっと楽しそうなワクワクしている感じがしっくりくるなと、これは新しい発見です」と、息子と入れ替わった後を演じる別所の姿が印象的だと語る。
対する別所は「毎日じっくり有澤樟太郎を観察しています。ご飯をよく食べます。食欲旺盛で、改めてこの作品の役どころである翔と樟太郎さんが重なって、熱血漢な魅力というか、まっすぐさと熱い感じが伝わってきて素敵だなと思っています」と、今回の入れ替わりに向け、有澤の様子を細かく見ていることを明かした。

会見の最後に、有澤が「個人的に原作をすごくリスペクトしていて、(出演が)決まってから小説を読んだんですけど、本当に大好きになりました。台本を読む時に、ミュージカルになって『民王』の良さがどうなるのか不安や緊張もあったんですけど、ツバキミチオさんが書かれていて、ミュージカルならではになっているなと思いましたし、原作がある作品はなかなか難しいと思うんですけど、ミュージカル『民王』に関してはもう、勝ったな、と正直思いました。勝ちを確信してしまいました」と、作品への揺るぎない自信をのぞかせる。「各キャラクターが本当に存在していて、僕が大好きなシーンも盛り込まれて、これはもう勝ったなって。そんな壮大な、明るくて楽しい、絶対笑えるミュージカルの中に、政治コメディなので観に来てくださった方に何か持って帰ってもらえるような、日頃の鬱憤が晴れた気持ちになるようなミュージカルになれば良いなと思いながら、一生懸命稽古してまいりたいと思います」と、力を込めた。

製作発表会見には、キャストの豊原江理佳、林瑠奈(乃木坂46)、山崎大輝、上川一哉、福田転球、一路真輝、竹中直人も出席した。

【池井戸潤 コメント】
私にとって初の舞台、そして初のミュージカルとなりました『民王』。
角野隼斗さんら音楽界の俊英によって紡ぎ出された華やかな楽曲に彩られ、素晴らしい舞台になる予感しかありません。
先日は、キャスト、スタッフ、関係者が一同に会する「顔寄せ」というセレモニーにも参加させていただき、皆様の情熱、才能に感服いたしました。あらためて、この作品を取り上げていただいたことを嬉しく思います。
千穐楽(せんしゅうらく) までの長い日々、ひとつひとつの舞台が眩(まぶ) しく輝きますよう、脚本のツバキミチオ共々、祈念してやみません。
池井戸潤

【角野隼斗 コメント】
『民王』の音楽を担当することが決まった時、正直、自分に何ができるだろうかと不安な気持ちもありました。ですが作曲を進めていくうちに、一筋縄ではいかないこの作品の、笑い、皮肉、感動、さまざまな表情が音楽の中で少しずつ立ち上がってきて、ワクワクは増していくばかりでした。
ひとつひとつの曲は、キャストの皆さんの声が乗って初めて命が吹き込まれるものです。
きっと僕は、この初演を誰よりも楽しみにしている一人です。