――人気漫画家・谷口菜津子氏の最新作『まめとむぎ』が原作となる本作の魅力を教えてください
人生の色んなことが詰まっている作品なのに、重すぎず、押しつけることもなく、スッと体に入ってくるような作品に魅力を感じました。
――濱尾さん演じる種について、どのような人物と捉えて演じていますか?
繊細な部分がある方だなと。繊細と言っても敏感で傷つきやすいとかではなく、感覚が繊細で、空気の変化や物理的な日光や湿度、今日は体が重いなとか、周りの人の歩くペースとか、社会の空気全体に敏感で、ただそこで変に意識せず、無意識のうちにそういうことと混ざり合っていく方です。あとは、自分では芯がないと思っているけど、きちんと芯があって、かっこつけることを知らない。そのままでしか生きられないことに自己嫌悪も多分あるんですけど、悩んでいるわけでもなく、そして、まめにも麦にも優しい人ですね。
――ご自身と役で共通点はありますか?
共通点だらけのような気がします。全て共通しているぐらいなんですけど、それは全ての役に思うことなんですよね。自分を1枚剥がして、2枚剥がすと種がいる、みたいな。ちょっとモジモジしちゃうとか、気持ちがうまくコントロールできないとかは、この仕事をやっていく上でも生きていく上でも、修正をかけないと生きづらくなってしまうので、自分でどんどん直してます。種の環境で生きていたら、自分もああなっていたかもしれない、みたいな部分があり、それは面白かったです。


 

――W主演を務める齋藤さん、富田さんはどのような方ですか?
撮影を通して、2人から学んだことはたくさんあります。齋藤さんは、今この瞬間をきちんと感じて生きている方だなと思いました。それは先を計算しているわけでも、過去を考えているわけでもなく、今この瞬間を楽しんで、やれることをやる、ということを感じました。それは自分が一番見習わなくてはいけないことかもしれないと思い、齋藤さんの影響はすごく大きかったです。種と麦の2人のシーンでは、本人は「そうじゃない」とおっしゃると思いますが、齋藤さんに引っ張ってもらった部分が大いにあったと、個人的に思っています。
富田さんは、ストイックなイメージの方だったのですが、実際にそうでながら、シリアスさがないというか。感じさせないというか。僕はストイックな時に結構シリアスになってしまうんですけど、富田さんのその様な在り方は、座長をやる上ですごく見習うべきことだと思いました。またご一緒させていただくためにも、自分も柔軟に、しっかり役者を続けていけるように頑張らないと、と影響を受けました。
――記者会見からも3人の雰囲気の良さが伝わりましたが、濱尾さんがムードメーカーだったのでしょうか?
例えば、僕が天井をぼーっと見てたりしていると、意識していないことで、笑ってくれていました。意識して面白い感じにしようとしたら滑るので(笑)。あとは、それぞれ2人の時は結構話すんですけど、人が多いと僕はあまり話さなくて、そういう時に会話に入れてくれて、2人が良い空気を作ってくれていました。
――撮影で印象に残っていることはありますか?
控室が10席位のカフェで、カウンターがあって、後ろの机はメイクさんが使っていたんですよね。なので、基本的には皆でカウンターでご飯を食べていたんですけど、昼休憩の時には5、6人がキュッとなりながら食べてて、そういうところは可愛らしいなと、同年代でやっている作品ならではの感じだなと思いました。


 

――人生再起の物語ですが、濱尾さんは新しいことを始める時は過去を振り返ってから進みますか?とりあえず動いてみますか?
とりあえず動きます。未来を考えてから動くべきかどうかの判断はしますけど、過去を振り返って動いても、過去は過去だなと思います。
――そんな濱尾さんが今、新しく挑戦したいことはありますか?
サックスです。好きな曲を聞いていて、「うわ、ここがかっこいい!」と思うところが全部サックスなんです。エディ・マネーの『Take Me Home Tonight』やピンク・フロイドの『Shine on you crazy diamond』でもキャンディ・ダルファーのサックスが途中で入るんですけど、すごく好きですし、『BLUE GIANT』の漫画も全巻買って、いつかやりたいなと思っているんですけど、ちょっと腰が重くて……(苦笑)。でも、こういうことをラフに挑戦できるようになりたいですね。
――作品を通して、役として注目してほしいポイントを教えてください
種が物語全体の中でどう存在しているか、そしてまめに対する想いや繋がり、麦との恋愛的なことも含めて、なんで心が動くのか、なんで好きになるのかも注目して見てほしいです。
――視聴者の方にどのようなメッセージを伝えたいですか?
怠ける時間ってすごく必要だと思いました。頑張ることってやり続けることやストイックにやることだと思うんです。でも、ちょっと飲みに行ってしまったり、友だちと遊んでしまったりしたら「その時間ももっと努力できたんじゃないか」と思ってしまうタイプなんですけど、それが正解なわけではなく、怠けることは、その間に新しい何かに進もうとしていることなのではないのかと。それこそ麦が仕事を辞めて、次に新しいことを始めたり、色んな挑戦をしていくまでの腐っていた期間は、人によっては怠けているように見えたりするのかもしれませんが、そもそもこれだけ苦しい社会で、皆が頑張って生きているんだから怠けているなんてないです。1回小休止していることも、新しいことに向けて発酵させているんだから、というメッセージをこの作品から感じられるので、今、大事な作品かなと思います。たくさんの方に観てほしいです。


撮影:泉健也
ヘアメイク:Boyeon Lee
スタイリスト:コダン