――本作のオファーを受けた時の心境を教えてください
- 元々アニメ作品を見ることが好きでしたし、アイドル時代からファンの方に声を褒められることが多くて、いつか声を使ったお仕事がしたい、声優をやってみたいとずっと言っていたので、それが叶ったことがすごく嬉しかったです。韓国で活動していた時期もあったので、韓国のアニメ映画と聞いて、すごく縁を感じました。韓国語ができていることでより表現しやすくなる部分もあるのかなと思ったので、今までの経験を活かせるなと思いました。
――韓国アニメにどのような印象がありましたか?
- 韓国アニメを見る機会があまり無かったのですが、絵が細かくてすごく綺麗だなと思いました。あとは、韓国ならではのジャージャー麺のデリバリーが出てきたり、学校のチャイムの音が日本とは違ったり、学校でキャンプをしたりと、文化の違いを楽しみながら見られる作品で、面白かったです。
――ご自身とソリ、似ている部分はありましたか?
- 私は新しい場所に飛び込む時、不安よりも楽しさやワクワクの方を強く感じます。ソリは最初に転校した時は引っ込み思案というか、過去の出来事もあって不安でいっぱいなんですけど、手紙を通じてソリの気持ちも変わっていき、新しい発見を楽しみながら生きている感じが自分と通ずるなと思いました。逆に、自分が思ったことを周りの人に強い意志で伝えることができる強さは、私には無いなと思うので、ソリはかっこいいな、皆が憧れるよな、と思いました。中学生は団体行動の時期だから、周囲と違う立場になれる子は少なかったけど、その中でソリは自分の気持ちを伝えられてすごいと思いながら、ソリに寄り添う気持ちで演じていました。
――矢吹さんは自分の思いをなかなか伝えられませんか?
- これを言ったら嫌な気持ちになる人がいるかな、とかすごい考えちゃって、学校でも発言するのが苦手なタイプなんです。映画の中でも、教科書の音読があったじゃないですか。何番目かな……って前々から数えて練習していたぐらい、人前で大きい声で喋るのが苦手でした(苦笑)。
――まさに物語の中でソリが先生に指されるシーンがありましたね
- 急に指されてドキッとしますよね(笑)。ソリは手紙のお陰で答えることができましたが、私は手紙を読んでいたとしても、どうしよう……となって声に出せないと思うので、ソリにはやっぱり強い一面があるんだなと思います。物語の終盤にはドンスンのことも支えていて、かっこいい女の子だなと、全編通して思いました。
――ソリを演じるにあたり、意識した部分はありましたか?
- 最初は、声をちょっと変えた方が良いのかなと思っていました。普段の感じで喋ってしまうと、アニメの世界に入ると逆に目立ってしまうのかなと思ったので、声優さんみたいにハキハキとしっかり声を出した方が良いのかなと考えていたんです。本番の何日か前に、リハーサルでソリが同級生とお昼ご飯を初めて一緒に食べるシーンを試しに収録してみたのですが、その初々しさが逆に良いと、そのテイクがそのまま使われることになりました。普通に喋る感じがリアルで、ソリらしさが出てると言われたので、アニメだからこうしよう、という考え方は取っ払って、挑むようにしていました。
――矢吹さんの等身大の声がそのまま生かされているんですね
- そうですね。まず過去のシーンを収録してから、その後に本編を一から時系列でやってくださったので、そのお陰で私も感情が乗りやすかったです。

――アフレコの中で難しかった点はありましたか?
- 全部が難しかったですが、その中でも驚きだったのが、心の声をモノローグで読む時に「感情を乗せすぎないで」と言われたことです。セリフは感情を乗せるんですけど、モノローグは淡々と喋るように意識していました。泣いている場面でもモノローグでは「泣き声で言わないで」と指示があったりして、完成したものをイメージせずに、その時の感情で喋っていました。そうか、心の声は普通に喋っている声と違うのか、と学びながらのアフレコ収録になりました。
――映像作品とは違い、声だけで感情を表現することについて、苦労はありましたか?
- 顔で表現できず、全部声だけに集中するので、体力をすごく使いました。あとは、ソリの表情に助けられている部分と、逆にソリの表情に合わせた声にしないといけない、ソリが強く喋ってそうな表情をしていたら、自分の感情もそっちに合わせなければいけないので、感情と映像を合わせるのが難しかったです。映像は韓国語の表現に基づいているので、日本語になった時にそこで強く言うのか、とバランスを調整しながらやっていました。
――ドンスンを演じた小野賢章さんとご一緒した感想はいかがでしたか?
- 私の前にアフレコされていたので、見学に行きました。アフレコシーンは映像でしか見たことがなかったので、今まで目にしてきたドラマの台本には無かった息づかいのト書きなど、どう演じて良いか分からないところもあったのですが、実際に見ていると、オリジナル版では無かった部分にも動きに音を入れてらしゃっていて、すごい…!と感動しました。映像とリンクさせて動きながらアフレコをする部分もあるんだとか、そういうのを学びながらやらせてもらえたことは、貴重な経験になりました。
――小野さんとは何かお話はされましたか?
- 「元々が韓国アニメの作品なので、オリジナルの声を真似したりはするんですか?」とご本人に聞きましたが、「できるだけ見ないようにして、その役を自分で読み解いて、噛み砕いてやっている」とおっしゃっていて、私、めっちゃオリジナル版を見ちゃった…!って思って(笑)。それを聞いたのはアフレコが終わった後だったんですけど、そういうパターンもあるのか、と勉強になりました。だからこそ出てくるドンスンの見えなかった一面が出てきているなと特に思ったシーンは、ドンスンが嫉妬しているようなシーンです。オリジナル版より嫉妬心が強く表現されているように感じて、ツンデレでかわいいなと思いました。
――ソリとドンスンの関係性が素敵でしたね
- 男女が出てくると恋愛の話なのかな?と思うことが多いかもしれませんが、この2人にしかない友情があって素敵だなと思いました。中学生の時にこんなに素敵な仲間に出会えるって良いですよね。

