本作は、1992年にニコラス・ケイジとサラ・ジェシカ・パーカーの出演で公開された映画「ハネムーン・イン・ベガス」を、映画版の監督・脚本を担当したアンドリュー・バーグマン自ら脚本を手掛けて、2015年にブロードウェイで上演された大人気ミュージカル。
ラスベガスとハワイを舞台に主人公・ジャックとジャックの彼女・ベッツィの結婚までのドタバタな恋愛騒動を描くこのコメディミュージカルを、戯曲の深い読み込みと、登場人物への確かな洞察で描き出す演出に定評のある小山ゆうなが、伊野尾慧、松田るか、岸祐二、上口耕平、小柳友、青野紗穂、霧矢大夢という多方面で活躍する顔ぶれととも
に描き出す。

公演初日を翌日に控え公開ゲネプロ及び取材会が行われ、取材会には伊野尾慧、松田るか、岸祐二、霧矢大夢、演出の小山ゆうなが出席した。

主人公のジャックを演じる伊野尾は舞台出演は9年ぶり、ミュージカルは初挑戦となり、「日々新しい発見で、もちろん僕も色々な姿を見せられたらいいなと思っていますけど、僕以外にやっぱり皆さん本当に色々なキャラクターが出ているのでそういったところも楽しんでいただけたらいいなと思います」と話し、「33歳で新しいことにチャレンジするというのは結構緊張感のあるもので、Hey!Say!JUMPで歌を歌わせていただいてはいますけど、普段は力強いメンバーがいるので、7人に支えられながら歌っているのとまた話が全然変わってくるので。歌に対する不安があったのでちょっと最初は大丈夫かなっていう心配はありました」と吐露。

また、出演を決断した時にマネージャーから「歌数が少ないから」と言われ、“ミュージカル詐欺にあった”なんて話もコンサートでしていたことに触れられ「マネージャーさんからは『歌う楽曲数はミュージカルの中ではそんなに多くないよ』という風にお話いただいて、それならちょっと頑張ってみようかなと思って。それで曲の香盤表をいただいて、メンバーでミュージカル経験者の髙木(雄也)くんにちょっと見てもらったら『いや、伊野尾くん。これ楽曲めちゃくちゃ多いよ』と。騙されてるんじゃないかなと思いましたけど、今思うと騙されて良かったなと」と笑顔を見せる。「岸さん、霧矢さんはじめたくさん経験を積まれている共演者の方が多くて、そういった方々の日々のアドバイスだったり色んな言葉がミュージカルという舞台に立てるような形に育ててくださったと思います」と先輩の共演者に感謝している様子。

ジャックの彼女・ベッツィ役の松田は「皆さんに楽しんでいただけるように頑張ります。プロデューサーさんが笑うことが免疫を上げるとおっしゃってたので、たくさん笑っていただいて、皆さんの免疫力を上げられるような舞台にできるように頑張ります」と意気込む。

ラスベガスの富豪トミー・コーマン役の岸は「慧くんの魅力を目一杯引き出せたら良いなと思っています。それからアンサンブルの皆さんのショーのシーン、上口耕平くんの大活躍をぜひ見ていただきたい。そして私の色んなジャンルの歌も聞いていただきたいと思います」と見どころをアピールした。

ジャックの母ビー・シンガー役の霧矢は「本編では10年前に亡くなっておりまして、息子の結婚を反対し続ける恐ろしい母親の怨霊として登場するんですけど、出番はそんなに多くないですが、ジャックの節目節目に現れてほぼ叱りつけているようなシーンが多いんですけど、心の中でしっかりと母の愛を伝え続けていけたらなと思っております」と役どころを説明。

演出を務める小山は「伊野尾さんが初めてのミュージカルということで、本当に色んなナンバーもあるし色んなシーンで伊野尾さんの色んな姿が見られる楽しい作品になっておりますので、皆さん楽しみにしていただければと思っております」とコメント。

伊野尾とカップル役となる松田は、伊野尾の印象を「伊野尾さんの素直さがすごくジャックに良い作用を与えているなと思って。ジャックは全体として嘘が1個もないなって思っていて、常に100パーセントで全力でぶつかっていく、ジャックの良さみたいなのが、伊野尾さんの素直さが上に乗ることでより魅力を増幅しているなと感じています」と語る。「皆さんの意見を絶対聞くというか、分からなかったら、『ごめんなさい、ここがわかんなくて」って演出のゆうなさんだけに限らず色んな人にここってどうかな?って聞きに行っていて、それをちゃんと聞き入れてお芝居に反映されるので、そういうところが素直だなと」と、稽古中の様子を語り、伊野尾は「書いてください。素直だって!」と記者に向けて嘆願する場面が。

岸も「俺がるかちゃんと稽古のことについて話していると、ちょっと横目で見てて『何を教えてたんですか?』って聞きに来るくらい、興味津々でやってくれているので」と伊野尾の熱心な姿を明かす。
「本当にミュージカルを全然知らなくて、作品自体も恥ずかしながらあまり観たことなくて」と話す伊野尾に、「見たことあるじゃん」と返す岸。伊野尾は岸が出演していたミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』を見に行っていたよう。『チャーリーとチョコレート工場』には伊野尾の先輩にあたる堂本光一も出演しており、岸から「チャーリーの時に光一くんと事務所の方と一緒に食事をさせていただく機会があって、その時に『次、伊野尾をよろしくお願いします』っていう話をいただいて」というやり取りがあったようで、伊野尾からも「岸さんが色んな話をしてくれるんですけど、その話をちょっと僕があんまり聞いていないと『おい、光一に言うぞ』ってちょこちょこ光一くんの名前が(笑)。岸さんを見ているようで岸さんの後ろのぼんやり見える光一くんを見ているような。より身が引き締まりました」と先輩後輩の繋がりを感じているようだった。

息子と母親という関係となる霧矢は伊野尾について「先ほどから皆さんおっしゃっていますけど、こんなに素直な33歳がいるのかなっていうぐらい、すごく真っ直ぐ受け止めて返してくれるので、役柄としては突き放すような脅すようなことばっかり言うんですけど、愛情のかけがいがあります」と語り、対して伊野尾からは「役どころでは母親と息子ということで厳しさもありましたけど、普段は色々アドバイスをいただいて、ベッツィとカップルということで二人の距離感だったりイチャイチャしている雰囲気とかを霧矢さんが『まだダメ!カップルに見えない!もっと!』と魅せ方とか二人の佇まいの部分を色んなアドバイスをしてくださって。『ちゃんとリードしなさい』って」と、愛あるアドバイスを送っていたことが明らかに。

ミュージカル初挑戦ということで歌の練習もしていたという伊野尾は「発声だったりとか歌の練習はできるだけ早めにわがままを言わせてもらって練習させていただきました」と控えめに言うが、演出の小山が「だいぶ(早めに)、です」と補足すると「あんまりそんなこと言わないでください!ハードル上がっちゃうじゃないですか!」と焦る伊野尾の姿が。
続けて小山が「お稽古が終わった後も誰よりも遅くまで稽古場にいて、歌のお稽古を個人的にずっと音楽監督の方に見てもらったり、自分でやりたいと言ってずっと稽古していました」とひたむきに歌の練習に取り組んでいたことを暴露され、「皆さんびっくりするほど歌が上手なんです!稽古後毎回居残らせていただいて学校みたいな生活でしたけど、練習させていただきました」と稽古を振り返った。

ミュージカル俳優としての伊野尾について小山は「芯に立つ人としてのオーラも輝きも元々それはお持ちなので、その努力が、本当にお芝居も歌もどんどん上手になっていって本当に素敵だし、何よりコミュニケーション能力がめちゃくちゃ高くて。なので、スタッフさんも周りのキャストも皆が伊野尾くんをサポートするために何ができるだろうと自主的に思うぐらい、皆とコミュニケーションを取って愛されているという意味でも、ミュージカルの大所帯にセンターにいる人として合っているなと思います」と魅力を語る。

さらに岸も「皆さんもご存じの明るくて屈託のない伊野尾くんはもちろんなんですけど、ちょっと落ち込んでいる、悔しがっているところとか、あらすじにあるようにギャンブルをするんですけど、それで勝ち負けで男らしく『どうだ!』って言ってるようなところがあったり、いざベッツィと対峙しているときは弱かったり愛してると伝えたり、素の伊野尾くんと役としての伊野尾くんがシンクロしている部分が、なるほどこういう男の子なんだなって説得力が増すような、自然体というのが何より素晴らしいです」と絶賛。そんな岸からの嬉しい言葉に「だんだん光一くんに見えてきました……」と冗談を言いながらも嬉しそうにする伊野尾だった。

4月を迎え新しいスタートを切る社会人に向けてのアドバイスを聞かれると伊野尾は、「新しいことにチャレンジすることってすごく勇気のいることで、だんだん年齢を重ねていくと、僕もそうですけど新しいことにチャレンジすることから逃げれることを覚えてしまうと思うんですけど。社会人の方々は4月から新しい環境になってチャレンジできると思うので、楽しい環境、今しかない環境だと思うので素敵なチャレンジをしていただけたらと思います」とエールを送り、「僕も30代で日々新しい刺激がもらえる環境に身を置けたのはすごくラッキーなことだなと思っています」と語った。

会見の最後に、伊野尾からの「僕にとっては初めてのミュージカルというものを皆さんに届けるというのが本当にドキドキですけど、観に来てくださった方々が楽しかった1日になるように、スタッフ、キャスト一同、精一杯頑張って公演を続けていけたら良いなと思います」とメッセージで会見を締め括った。

ブロードウェイミュージカル『ハネムーン・イン・ベガス』は、2024年4月9日(火)から4月29日(月祝)まで東京・東京建物 Brillia HALL、5月6日(月休)から5月19日(日)まで大阪・SkyシアターMBSにて上演される。