文芸作品からアメコミまで、ジャンルを問わず話題の映画作品に次々と出演しているジョン・マルコヴィッチ。先日開催された第83回ヴェネチア国際映画祭に出品された映画『ワイルド・ホース・ナイン』では最優秀男優賞を受賞。1984年の映画『プレイス・イン・ザ・ハート』でのデビューから、『シェルタリング・スカイ』『危険な関係』『二十日鼠と人間』『ある貴婦人の肖像』『コン・エアー』『マルコヴィッチの穴』など名作への出演が名実ともに世界的に知られる名優である。近年では個性派俳優として活躍するだけでなく、プロデューサー、演出家、デザイナー、実業家としての顔を持つ彼が、桐野夏生の傑作『リアルワールド』を演出することが決定した。
彼自身桐野小説の大ファンで、翻訳されている作品は全て読んでおり、いつか舞台化したいと願っていた長年の夢が本作で叶うこととなった。元々演劇を原点としてきた彼が本作で、人間関係の中でふと顔を覗かせる憎しみや不満、軽蔑、疎外感をどう演出するのか。さらに人間の暗部を鋭く抉る桐野夏生の作品をどのように舞台に昇華させるのか注目される。

登場人物それぞれの視点から語られる『リアルワールド』。高校生の心の闇を抉る長編問題作の初舞台化、世界初演には実力派キャストが集結した。
物語の中心となる4人の女子高校生に、映像・舞台・音楽と多岐にわたって活動し、そのすべてにおいて他を圧倒する存在感を放つ三浦透子、2027年の連続テレビ小説『巡(まわ)るスワン』への出演が決まるなど、 実力派俳優としての飛躍がめざましい富田望生、モデルとしてキャリアをスタートし、2027年初夏には初主演映画『うるさいこの音の全部』が公開されるなど俳優としても活躍している川床明日香、日向坂46を卒業後はその聡明さを武器に多方面で活躍し、現在Netflixで配信中のドラマ『ダウンタイム』での演技が大きな反響を呼んでいる影山優佳。
その4人に絡む少年2人は、Disney+で全世界配信を予定している『SHOGUN 将軍』シーズン2への出演で今最も注目を集める若手俳優で、今作が舞台初出演となる金田昇と、メンズノンノ専属モデルで、近年は俳優としても意欲的に活動し、10月より日本テレビ『俺たちの箱根駅伝』へ出演する樋之津琳太郎が役替わりで演じる。そして、物語に登場する大人の役を演じるのは、映画・ドラマ・舞台と幅広く活躍し透明感ある演技が印象的な奥貫薫。
本作でしか実現することができない唯一無二のコラボレーションに期待が高まる。

【ストーリー】
ある夏の日、母親を殺した高校生の少年「ミミズ」が逃走する。彼に携帯電話を盗まれたことをきっかけに、4人の女子高生は、逃亡する少年との危うい関係へと引き込まれていく。
誰にも言えない秘密。それぞれが抱える孤独、苛立ち、満たされない思い。なぜ大人たちは、彼女たちの心に気づけなかったのか。なぜ彼女たちは、少年を拒むことができなかったのか。
親と子、大人と若者、社会と個人。その間に横たわる深い断絶。そして、日常のすぐそばに潜む人間の心の闇を鮮烈に描く、息詰まるひと夏の物語。

<桐野夏生 コメント>
ジョン・マルコヴィッチさんが、『リアルワールド』を舞台化したいと仰っていると聞いた時、耳を疑いました。 私はマルコヴィッチさんの大ファンで、マルコヴィッチさんの出演する映画をたくさん観てきました。ですから、にわかに信じられませんでした。
『リアルワールド』は、二〇〇八年に英訳されて、欧米で出版された作品です。 それぞれの「取り返しのつかないこと」を抱える四人の女子高生が、母親殺しという、最も「取り返しのつかないこと」をしでかした少年と関わる物語でした。 青春の暗く悲しい面を描いた物語でもあるのですが、私にはとても愛着のある作品でしたので、マルコヴィッチさんのお申し出は大変嬉しく、また光栄に思いました。
マルコヴィッチさんの創出される舞台は、映像と俳優さんたちが溶け合い、また対峙し合う(かもしれない)、とても不思議で魅惑的な空間になることでしょう。小説という二次元の世界に生きる私は、マルコヴィッチさんの舞台が今から楽しみでなりません。
 
桐野夏生

<ジョン・マルコヴィッチ コメント>
東京で、日本人の俳優たちとともに『リアルワールド』を創り上げられることを、心から楽しみにしています。
僕は桐野夏生さんの小説の大ファンで、翻訳されている作品はすべて読んできました。
そして、いつか桐野さんの小説を舞台化したいと、長年願い続けてきました。
映画俳優として知られるようになる以前、僕はシカゴの劇団「ステッペンウルフ」で活動していました。
自分の原点ともいえる演劇の世界で、しかも日本という新たな場所で、僕のことも、これまでの仕事もあまり知らないかもしれない若い世代の、才能あふれるアーティストたちと作品を創れることに、大きな期待を抱いています。
長年敬愛してきた作家・桐野夏生さんによる、この素晴らしい日本の小説にふさわしい舞台作品となることを願っています。
 
ジョン・マルコヴィッチ