――映画『アラジン』に声優として出演が決まった時の気持ちを教えてください
最初は信じられなくて呆然としたのを覚えています。自分からオーディションを受けたいと申し出たお仕事で、大好きな作品だからこそ、というプレッシャーはありましたが、時間が経つにつれて実感が湧いてくるとともに嬉しさも感じました。
――オーディションにはどのような気持ちで臨まれましたか?
「勝ち取ってやる!」というような想いではなく、オーディションを受けられること自体が夢のようだったので「楽しもう」という気持ちが一番でした。オーディションの時に何シーンかセリフを当てたのですが、声優は初めての経験だったので付いて行くことに必死でした。監督さんに色々指示を出していただいて進んでいきましたが、自分の力を精一杯出せるようにと思いながら臨みました。

――見事ジャスミン役に選ばれましたが、周りからの反響はいかがでしたか?
ディズニーファン、アラジンファンが周りにこんなにいたのかと思うくらい、多くの方から連絡をいただきました。あとは、これまで舞台に立たせていただいている中で、私の地元である九州の舞台に立つ機会がありませんでした。ですが「映画館だったら観れる!」と地元の友だちから言われて、「絶対観に行くよ!」と声をかけてくれたのがすごく嬉しかったですね。
――声でジャスミンを演じるにあたって、気をつけたことやこだわりは?
王女としての品格が声で伝わるようにしたいと心がけました。私自身が台本を読んで文字から受け取る感覚は、王女であるジャスミンの感覚とは違うと思い、自分に寄りすぎた価値観では考えないように台本を読むことから始めました。そこから、言葉のどの部分を立てるか、監督さんと相談しながら演じていきました。
――ジャスミンはチャレンジ精神が旺盛で勇敢な女性ですが、木下さんご自身との共通点はありましたか?
ジャスミンは国民を幸せにしたいという強い願いを内に秘めていますが、私自身も周りの人が笑顔で過ごせるような、私といたら癒されると言ってもらえる存在でありたいと思っているので、周りの人を想う気持ちに共通している部分があるのかなと感じます。
――アラジン役の中村倫也さんとは初共演でしたが、お会いした時の印象は?
最初にお会いした時から壁を感じることなく、気さくでお茶目な部分を見せてくださって、緊張をほぐしてくださいました。なので、一緒にいて落ち着く方だなと思いましたし、すごく声が素敵で。スタジオでヘッドフォンを通してあの声を聞いた時に、素晴らしい作品になるだろうと、より楽しみになりました。
――舞台にご出演される際はダブルキャストやトリプルキャスト等1つの役に対して複数の方が演じられていますが、ジャスミン役はお1人ということで、役作りはいつもとは違いましたか?
普段は同じ役をやる方からいただく刺激やヒントがあるのですが、今回は自分の色が濃い役を作れたかなと思っています。演じる上で、「こういうニュアンスを出してほしい」と監督さんから一言一言にアドバイスをいただき、一緒にジャスミンを作り上げることが出来ました。
――収録中のエピソードはありますか?
この映画で初めてジャスミンのソロ曲が書き下ろされたのですが、収録に向けて歌を練習して現場に入り改めて映像を見た時に、画から来るエネルギーがすごかったんです。ジャスミンの魂の叫びのような。なので、「これは練習してきた歌い方では画に対して力が足りない」と思い、その場で声の出し方を練習してきたものから変えました。自分の力を出し切って歌えたので、ぜひ楽しみにしていただきたいです。

――もし願いを3つ叶えられるとしたら、木下さんはどんなことをお願いしますか?
ジーニーにお願いするなら、叶えられなさそうなものがいいですよね(笑)。でも、普段から思っているのが、数日間でいいから「男性として過ごしてみたい」というのはあります。舞台をやっている中で、携わっている作品の男性の役をやってみたいなと思うことがあるのですが、絶対に出来ない役じゃないですか。なので「男の人にして!」とお願いしますね。
――ジーニーなら叶えてくれますよ!2つ目は?
ずっと歌っていたいので「どれだけ歌っても壊れない喉が欲しい」です。
――あと1つはなんでしょう?
ここぞという時に使えるように、アラジンのように取っておきます……!誰かのために使えたら良いなと思います。
――ありがとうございます。では、木下さんからみた映画の見どころを教えてください
アニメーション版をご存じの方だけではなく、アラジンを知らない方でも楽しめるような冒険の要素と、アラジンとジャスミンのロマンスの要素があり、幅広い方に見ていただきたい作品です。映像美とジーニーの魔法たちも合わせて、劇場でお楽しみください。