――ドラマ&映画『【推しの子】』への出演が決まった時の心境を教えてください
- 元々オファーをいただく前から原作を読んでいて、ものすごく大好きな作品だったので、もし実写化するのであればやりたいなと思っていたら本当にオファーをいただいて。プレッシャーももちろんありましたけど、それ以上に【推しの子】という自分の大好きな作品にかかわれることへの嬉しさやありがたさ、高揚感みたいなものの方が強かったですね。
――櫻井さんにとってドラマ単独初主演、映画初主演となった本作ですが、どのような想いがありましたか?
- 自分の大好きな作品で初主演を務めることができて良かったなと思います。
――櫻井さんが演じたアクアの印象と、どのように演じようと思ったかを聞かせてください
- 一読者として読んでいた印象としては、「クールで冷静で物事を俯瞰して見ているようなキャラクター像」ではありました。けれど、アクアの中にある「復讐」というような、根本に抱えている軸となっている部分がものすごく強くて。そこへの執着というか、固執してしまっているんですよね。それがアクアをアクアたらしめているものだなと思いますけど、でもそれが弱点でもある。そういう人間らしい弱さもあって、表情こそ豊かではないものの魅力あふれるキャラクターだなと思いました。
――特にアクアは内に秘めていることが多い印象があります
- 演じている時もそうしたイメージを持ちながら、表情こそ動かないけれど内側に持っている強い意志みたいなものがちゃんと表現できれば良いなと思っていましたし、アクアの所作みたいなものは原作を何回も見返して考えました。
――ご自身とアクアで似ているところは?
- 最初に原作を読んでいて思ったのは、根幹にある軸というか、何かに向かっていく力みたいなものは似ているなと。あとは単独行動しがちなところは似ているなと思いました。
――演じる中で苦戦したところはありましたか?
- あまり無かったです。原作に忠実に、例えば1シーンを撮る時にそのシーンの原作部分を読んで、アクアはどういう立ち方をしているかとか、どういうセリフをどこで区切って改行しているのかを確認してから現場に行って芝居をしていました。原作が正解だから、その正解をいかに自分が生身の人間として表現できるかというところを常に意識して演じていたのと、そこまで自分が何かを作り上げるということが無かったので難しい部分はありませんでした。でも、強いて言うなら……オタ芸。オタ芸はきつかったですね(苦笑)
――意外です!
- 自分で言うのもアレなんですけど、運動神経は良い方だと思います(笑)。ずっとサッカーもやっていましたし足腰も強いはずなんですけど、オタ芸はダメでしたね。動き方もとても難しくて、筋肉痛でバキバキでした。
――全身運動みたいな感じですよね
- ドラムもやっていたので、棒を持って動くという意味では一緒なんですけど、まるっきり違って、オタ芸は一種のスポーツというか、あれをずっとやられている方々は次元が違うなと思いました。
――共演者の方とのコミュニケーションや、現場での居方で意識したことはありましたか?
- そこは割と切り離して考えてたと言いますか。 B小町の3人(齊藤なぎささん、原 菜乃華さん、あのさん)にしても、あかね(茅島みずきさん)にしても、本当にそのまま原作から出てきたみたいな子たちだったので、こっちもアクアのようにお兄ちゃんで居なきゃなという感覚はありました。
――双子の妹・ルビーを演じた齊藤さんはどんな方でしたか
- 本当にルビーのまま、ずっと天真爛漫で明るくて。現場は楽しくはあるんですけど、時間が迫ってきたりとかするとたまにピりついたりする瞬間もあって。でも齊藤さんがいると一気に現場が明るくなる感じでした。
――現場の雰囲気はどうでしたか
- 皆仲が良かったです。僕は特に他部署のスタッフさんたちとよくご飯に行ったりしていました。スタッフさん同士もすごく仲良くなっていました。
――撮影中に印象に残っているエピソードは?
- いっぱいありますが……。B小町を演じた齊藤さん、原さん、あのさんと茅島さんの4人がバレンタインチョコをくれたことですかね。でもそれは僕が事前に種まきをしていて(笑)。バレンタインの1週間前ぐらいからずっと皆に「ほしい」とお願いしていたので、くれました。大人になってからあまりチョコをもらう機会が無いから非常にありがたかったです。
――お返しはあげましたか?
- ちゃんとお渡ししました。
――本作の楽しみにしてほしいところを教えてください
- まずは、原作に沿って忠実にお話を再現しているので、原作ファンの方々が見ても違和感はない内容になっていると思いますし、アイやB小町のパフォーマンスシーンなど、『【推しの子】』ならではのきらびやかな部分もすごく丁寧に撮って、衣裳や小物までも再現しているので、そこは本当に魅力的だと思います。それから、物語が進むにつれて、サスペンス要素が強まっていきます。色んな考察をしたり原作と比べたり、色んな楽しみ方ができる作品になっているなと思います。
――アクアとしての見どころはありますか?
- アクアは『【推しの子】』という作品の中で語り部的な役割も担っているので、モノローグが多いんです。シーンごとや話の流れのタイミングによって、モノローグの喋り方も、声のトーンとかをちょっと変えたりしていました。その中でも、映画の最後にアクアのモノローグがあるんですけど、初めて泣きながら録ったぐらい感情が動かされる感じになっているので、ぜひそこを見て、聞いてほしいなと思います。
撮影:川島彩水
ヘアメイク:高草木剛(VANITÉS)、吉沢実希