――本作に出演が決まった時の心境を教えてください
最初は不安でいっぱいで、私で大丈夫なのかという気持ちが大きかったんですけど、だんだん公演が近づくにつれて現実味が出てきて、不安もありますが、やってやるぞ、頑張るぞ、という気持ちになってきました。
――日本映画史に残る名作といわれていますが、映画はご覧になりましたか？
お話をいただいてすぐにDVDを購入しました。初めて本格的なモノクロ作品を観たので、正直、モノクロなのがファンタジーに感じるくらい観慣れなかったんですけど、観逃せないシーンがずっと続いて、荒々しい感じにどんどん取り憑かれていきました。
――映画や舞台版の脚本から、ご自身が演じる奈々江はどのように映りましたか？
映画ではそこまでフィーチャーされていませんが、いただいた脚本を読むと、奈々江以外にも女性が目立つ脚本になっていたので、個性の強い奈々江を演じられるのはすごく嬉しいなと思いました。
――奈々江はどのような人物像と捉えましたか？
奈々江は妖艶さとか美しさよりも、強い男の側にいる女でいたい、みたいな気持ちが強い女性だなと思ったので、そこを踊りや声で表現しながら演じたいなと思っています。

――役を演じるにあたって、何か役作りは行いましたか？
タバコも吸ったことが無いですし、麻雀も初めてなので、所作のお稽古をさせてもらっています。あとは、ダンスフロアのシーンがあるので、もう一度ダンスをちゃんと習おうと思って、先生のところに通ったりもしました。
――確かに、乃木坂46の時のダンスとはまた違いますよね
そうですね。ヒールを履いていて、女性らしい、大人っぽいダンスをちょっとでも勉強できたらと思って、習いに行きました。
――稽古が始まって約2週間と伺いましたが（※取材は10月中旬）、難しい部分や苦戦しているところはありますか？
全部です（苦笑）。動き一つから、全てが今の自分とは全然違うので、歩き方から何から苦戦しています……。少し気を抜くと素の自分が出てしまうので、全部奈々江でいられるように頑張っています。
――ご自身と奈々江の似ているところはありますか？
自分が上に行くために他のものは全部捨てる、みたいな奈々江の強さは、最初は全く似ていないなと思っていました。ですが、だんだん稽古をしていくうちに、奈々江の発言とは裏腹に、心で思っていることが結構あるのかなと発見できたので、客観的に自分を見て、感情を出さないようにするところは似ているのかなと、最近思うようになりました。
――稽古場の雰囲気はどうですか？
私は自分のことで精一杯になってしまっているのですが、主演の北山（宏光）さんをはじめ、皆さんがすごく穏やかで明るい空気を作ってくださるので、皆さんの空気感に助けられています。

――稽古場で印象に残っている出来事はありますか？
渡辺大さんと深作（健太）さんが“珠ちゃん”と呼んでくださっていて、“珠ちゃん”が伝染していっているのがすごくありがたいなと思います。
――阪口さんにとって馴染みのある呼ばれ方ですよね。公演が終わるまでに、皆さんに浸透していったらいいですね
そうですね。ぜひお願いしたいです！
――主演を務める北山さんの印象を教えてください
北山さんは本当にストイックな方なんだなというのが分かりますし、今までドラマなどで拝見させていただいて、演技力が凄まじいなと思っていました。いざ、ご一緒してお話ししたりお稽古をしたりしていくと、そんなにすごい方なのに気取ることなく、座長として良い空気感を作ってくださる方なので、尊敬できます。
――奈々江と松永のシーンを作り上げるにあたり、北山さんと何か相談などはしましたか？
結構ダンスシーンがあるのですが、チークダンスのステップが難しくて、一緒に練習してくださいます。
――今回の様な題材の作品に挑戦する心境はいかがですか？
すごく不思議な感覚です。衣装やメイクも今までとは全然違う感じですし、でも当時の闇市の空気感に、現代の私が入れるというのはすごく貴重な経験だと思いますし、今回の作品でそういった時代があったことを知ることができたので、すごく良い経験になっているなと思います。