――『現代能楽集Ⅹ『幸福論』~能「道成寺」「隅田川」より』に出演が決まった時のお気持ちを教えてください
シアタートラムは当日券に並んで観たことがあった劇場だったので、この場所でお芝居が出来ることが嬉しかったです。元々瀬戸山(美咲)さんと長田(育恵)さんのワークショップにも参加させていただいたことがあり、それがお二人と出会うきっかけとなったのはすごく嬉しいなと思いました。キャストの方もザ・演劇の方ばかりでその中に入れていただいたのは光栄です。
――『現代能楽集』シリーズは第10弾になります。出演するにあたりプレッシャーは感じていますか?
数々の演劇人の方が出演された作品のシリーズで、そこに入れていただけたことにプレッシャーというより緊張の方がありますね。でも目の前のことをやるのみだと思うので、この作品に集中して没頭出来れば良いなという気持ちです。

――今回は能楽の「道成寺」と「隅田川」が題材となっていますね
現段階ではプロットしか読んでいませんが、どのように展開していくのか台本を読むのがすごく楽しみです。能楽と聞くと少し親しみにくいというか、難しく感じてしまう部分もあるかと思いますが、現代に置き換えるとすごく分かりやすくて。能楽の伝えたいメッセージを残しておきながら現代演劇を通して分かりやすく伝えられることに面白さを感じました。
――プロットの段階ではありますが、どのように役を演じようと思っていますか?
今まで演じてきた役では、想いを内に秘める役や少し変わった役かすごく明るい役が多かったんですけど、今回の作品では感情を爆発させるようなシーンもあるのではないかと想像していて、そういう役を舞台上で演じるのは初めてになるのではないかと思うので、自分の中で新しい経験になる気がして、それはすごく楽しみに思っています。
――「隅田川」の少女役はかなり難しい役柄になるのではないかと感じました
難しいですけどこういう子いるな、と思いました。たぶんこのご時世になったからこそ、より共感出来る人がいるのではないかと感じています。
――共演者の方々の印象は?
鷲尾(真知子)さんはすごくチャーミングで可愛らしい方という印象です。あと、以前ワークショップでご一緒させていただいたことがあったんですけど、ワークショップって初めましての方ばかりで皆さん緊張されていて、しかもすごく異様な雰囲気なんですよね。誰か知り合いがいると気持ち的には落ち着くんですけど、全く知り合いがいない中で、でも知らない人たち同士は知っていて自分だけ取り残されるような……。
――日常生活でもそういう時ありますよね
そうなった時に結構焦ってしまうんですけど、鷲尾さんは全員に対して親しみやすくお声掛けされる方なのでありがたいなと思いました。瀬奈(じゅん)さんも一度ご一緒した時には楽屋とかも一緒だったりして、すごく甘えさせていただきました。
あまり接したことのない方、お話ししたことのない方もいらっしゃいます。作品ではたくさん見たことがあるんですけどそのご本人の人柄を知る機会はあまりないじゃないですか。どんな方なのか未知なので、これからの稽古と本番がとても楽しみです。

――作品のタイトルにちなみまして、清水さんが幸福を感じる瞬間は?
前までは友だちとご飯を食べるとか、美味しいものを食べるとかそういうことに幸せを感じていたんですけど、20代後半になって家族といる時にすごく幸せを感じるなと思いました。実家が離れていて、あとは反抗期も長かったので(笑)、家族といるよりも友だちといる方が楽しい!って感じだったんですけど、最近は実家に帰って実家のご飯を食べて、その後に団らんする時間が「あ、幸せだな」って思います。
――この状況だからこそ、改めて実家のありがたみを感じると言いますか
そうですね。そういうのに幸せを感じるって大人になったな、と思いました(笑)
――では、この作品への意気込みをお願いします
自分がお客さんとして通っていた舞台に立てるということで、頑張りたいという気持ちでいっぱいです。自分の中で新しい役への挑戦となると思うので、自分の中の引き出しも出しつつ、稽古場で色々と模索して新しい自分を発見出来ていけたら良いなと思います。