――「NEW CINEMA PROJECT」の出演者部門でグランプリを受賞し、映画『5億円のじんせい』への出演が決まりましたが、その時の気持ちを教えてください
オーディションが終わってからしばらくして突然電話がかかってきて、「グランプリに決まりました」と言われたんですけど、突然すぎて実感がなかったです。自分がグランプリを取れると思っていなかったので驚きと嬉しさですぐに親に電話しました。それからしばらくしてネットニュースで記事になったのを見て、やっと実感が湧いて。あの時のことは一生忘れないと思います。

――この作品で演技初挑戦となりましたが、どうでしたか?
撮影に入る前に何か演技レッスンを受けたわけではなく、台本を読んで撮影に臨みました。でも正直あまり覚えていないというか(笑)。初めての経験ばかりで何が起きているのか冷静に理解する余裕もなかったので、その時の記憶がないんですよね。撮影初日のことは覚えています。今まで全くお芝居の経験がなかった自分にとっては一つ一つがありえないことでした。そんな撮影では嬉しさもありましたができない自分への悔しさもたくさんありました。
――それは演技に対しての悔しさですか?
リハーサルの時に監督から演技のイメージを言われたんですけど、もうガッチガチに緊張していたんです。たくさんの大人の前でお芝居を披露することって、まだ慣れていない自分にとってはどこか羞恥心があったんですよね。そこに少し苦労しました。全然上手く出来なくて、撮影中も終わってからもずっと悔しかったですし、試写で自分の映像を見ても悔しいという想いは強かったです。
――この作品での経験が今後の糧になるのではないでしょうか
そうですね、ここで感じた悔しさは、自分の中で一生心の中に残ると思います。

――役作りで金髪にされていましたが、他に透を演じるにあたって気をつけた部分はありましたか?
透はバンドマンを目指している少年なのですが、たまたま自分も古着が好きでバンドTシャツを集めるのが好きだったので、色々なバンドの歌を聞いてみたりはしました。ただ、撮影していた頃は右も左も分からない状態だったので、今だったら自分が考えていったものを監督に伝えたり出来たかもしれませんが、当時は緊張で何も言えなくて。監督の指示に一生懸命応えるのにいっぱいいっぱいでしたね。
――少しでも役に近づけるように意識していたんですね
その時は、監督の言っていることが全てだったので、まずはそこに近づけるように心がけて演じていました。
――主演の望月歩さんはどのような方でしたか?
少年、でした(笑)。自分も田舎から出てきたばかりの少年だったんですけど、キャリア的に全然レベルが違うとはいえ、自分より年下の子が映画の主演をやるんだなと思って、芸能界に入ったばかりだからとか関係なくそこには何か悔しい気持ちを感じていました。でも、望月くんと一緒のシーンをやっていて、望月くんは何を言われてもそれに対して対応出来ていて、望月くんの演技を間近で見てたくさん刺激をもらいました。初めての作品で望月くんや、西田尚美さんといった素敵な方々と一緒にお芝居をさせていただけたのは貴重な経験になったと思っています。