――『騎士竜戦隊リュウソウジャー』のお話も終盤に向けて進んでいますが、改めてリュウソウブラック/バンバ役が決まった時のお気持ちをお聞かせください
役が決まった時は人生で体験したことがない感情でした。例えるのが難しくて、あの時の気持ちは自分の中でオンリーです。不安もあったので一概に嬉しいということもなかったですし、でも今までお世話になった方に早く報告したいという想いもあって、色々な感情が全部入っていました。
――バンバを演じる上でのこだわりは?
こだわりは全てです。でも、自分の中で物語を通して、最後にどういう風にバンバが落ち着くのかが正直分からなかったんです。「笑わない」という目標しかなかったので。ですが、ここまでやってきて少しずつ見えてきた感情や心情の変化は周りの5人からの影響が大きくて、5人から受けたものでバンバ像が出来あがったと感じています。

――岸田さんとバンバで似ている部分はありますか?
不器用なところと、あとは僕自身も男兄弟で弟がいるのでそこが同じです。バンバは多分あの6人の中で一番普通の人だと思っていて、この威厳を取ってしまうと何も残らず、一番弱いのかもしれないなと。「大切なものを守りたい」という想いをバンバは怒りや人を遠ざける方に向けていたので、それを真っ直ぐ受け止めて全部何とかしようとしているコウ(一ノ瀬颯)の方がよっぽど強くて、そういう意味では何かで自分を守って弱いところが出ないようにしている部分が、僕自身も強い人間ではないので似ていると思います。
――リュウソウジャーの皆さんの雰囲気は?
以前は「6人の仲が良い」と色々な場所で言っていましたし、周りからも言われていましたが、今はチームとして一つになろうとしていたところから、それぞれが別の方向に行かなければいけない時期になってきているように感じています。まずは役として一人立ちしていくために自分がやるべきことを模索しながらキャラクターの収め方を考えていて、そこからチームとしてどう上手くまとまるか、と考え方が変わってきている印象があります。
――現場でのエピソードはありますか?
唯和(小原唯和)が人をいじるということを覚えまして……(笑)
――小原さんは皆さんの中で最年少ですよね?
最年少ですよ!今までだったら僕やカツ(兵頭功海)が綱(綱啓永)をいじり倒していたのが、僕が言おうとしていた先に彼が言うので僕の出番がなくなってきました(笑)。良い意味で成長しているし、皆の役割も少しずつ動いているのかなと思いましたね。
――撮影が始まった頃と比べて一番印象が変わったのはどなたですか?
やはり唯和ですね。顔つきが変わりましたし、16歳から17歳というこの1年での人の進化を間近で感じています。撮影現場だけではなく、取材での対応も、最初の頃は自分で言うことを決めてきてそれを律義にメモを取って、それをしっかり答えるすごく真面目な子で……真面目なのは今も変わらないですけど、さらにその場に応じて誰かが言ったことに対してツッコんだり、情報を出していこうかなって考えるようになっていて。僕も負けていられないなと思いました。
――アクションも見どころの一つとなっていますが、実際にやってみてどうですか?
アクションは元々好きでした。学生時代から身体を動かすことが好きで、体育に命をかけていた男だったので、今回のアクションはキャラクターとも重なりますし、自分自身の見せ場になっているのかなと思っています。リュウソウジャーでは僕たち自身がアクションをやらせていただいている機会が例年の戦隊シリーズと比べると多いようで、やりたいことにも挑戦出来て良い経験になっています。
――演じる中で難しいと感じたシーンは?
ドルイドンと戦うシーンでは、後からCGで合成させることもあって敵の姿が見えないまま芝居をすることもあるので、撮影では監督から話を聞いて演じるのですが、その部分をオンエアで確認した際に自分がした芝居と敵との温度差を若干感じたことがありました。それがとても悔しかったので、放送される際にどういう画になるのか、より細かく聞くようにしています。

――これまでのお話の中で、バンバにとってポイントだった回は?
第17話一択です。中澤(祥次郎)監督がすごく好きで、自分の中で台本を読んだ時に、こうしよう、ああしよう、こういうカット割りで撮るんだろうな、と考えて撮影に臨むのですが、それがことごとく外れたのが中澤監督でした。自分の中で想定していたことを全部壊してくれて、でも考えも分かってくれているから「それに味付けしたら?」と助言をいただいて、良い演技が出来たと思っています。また、自分の中でも第17話は一番大切な話で、初めて皆に笑顔を見せるという一番のテーマでもあったので、思い入れがあります。
――第17話以降、感情が少しずつ表に出てくるようになったと感じていますが、個人的に第28話でも焦りや感極まる姿など意外なバンバが見られた印象です
アスナ(尾碕真花)とのシーンですね(笑)。実は、第4話での騎士竜を探すシーンでバンバがアスナを無視した時の二人の描写のバランスがとても評判が良くて、また二人で何かやれたらと真花と話していたんです。それが第28話の最後のシーンに繋がったんですよね。でも、恋心とは見えなかったですか?
――私は仲間として本気で心配していたように伝わりました
バンバがアスナのことを好きなのか、恋心として見えたら嫌だねと話していたので……ちゃんと伝わって良かったです。