―――取材が行われたのは5月下旬。第5話が放送され、階段から転落した南雲が意識を取り戻したところでした
頭にネット包帯を被っていたんですけど、現場では果物みたい、パイナップルみたいって笑われていました(笑)。今は第7話を撮っているのですが、7話には南雲がお金を渡しているような回想シーンがあって、南雲は敵なのか味方なのかどちらなんでしょうね。最近では (斎藤)工さんと一緒に撮影をすることが多いですが、工さんも最終的にどういうところに着地するのか、味方なのか敵なのか……。楽しみにしていただければと思います。
―――撮影現場の雰囲気はいかがですか?
和気あいあいとしながらも、特に木村さんは気を配ってくださっていて、これはちょっと時間通りに行かないかも?と思ったらグッと締めてくださるような感じで座長として振る舞ってくださっています。ドラマは常に休まることがないですが、カメラが回っていないところでは工さんや岩谷(健司)さん、小日向(文世)さんが笑顔でお話をされていて、仲良く楽しくやらせていただいています。

―――改めて出演が決まった時の心境をお聞かせください
そうそうたるキャストの中で演じさせていただくということはすごく光栄なことでありつつも、プレッシャーを感じて不安もありました。主演を張るような方々ばかりなので、皆が集まった時にどういう感じになるんだろうとワクワクしながら現場に向かったのを覚えています。キャスト登壇イベントの時に木村さんが無駄なカット、シーンが一つもなく、全部が誇れるものだとおっしゃっていましたが、本当にその通りだなと思って、皆さんが全身全霊で演じられているのを見て、その世界に存在しているような感覚で僕も演じさせていただいています。和気あいあいとした現場なので、僕も南雲を演じるにあたって変に気後れしたりすることなくできていて、それは皆さんのお陰です。
―――クランクインは建設中の橋のシーンだったそうですが、撮影を振り返っていかがでしたか
本当の橋を止めて、地元の皆さんに協力していただいた上での撮影でした。その時は天候もすごくて、風も強く雹も降ってきたりして大変だったので、ヘルメットを被っていて良かったなと思いました。メイクさんが本当に大変なことになっていたと思うので(笑)。橋が落ちて呆然とした表情をしている時も目の前から風がビュービュー吹いてくるので目が乾燥してしまって、シーンとしても壮絶でしたが、身体的にも実際に追い詰められているような、そういう究極的な撮影になりました。

―――ここまで南雲を演じてきて、印象や心境の変化はありましたか?
自分の中で、最初の方は一番人間らしいポジションなのかなとも思っていたんですけど、実際には僕が持って行った演技よりももっと大きく、と監督に言われることも多くて。狩山さんに対して怒鳴ったり、絵里菜(山本舞香さん)に対して急に逆上したりして、感情もめちゃくちゃ表に出していて、実際に南雲の様な立場になったらどうなるかは分からないと思いつつ、人が追い詰められたらどうなるのか、自分が思っているよりやってもそんなにやりすぎに見えないんだなということも感じました。台本を読んでいても、南雲?え?って思うこともありますし、視聴者の方から「何してんねん!」みたいな声をもらったりもしますが、でも実際に人がああいう状況に置かれて追い詰められてしまったら、ああなるのかなと。

―――南雲は色んな人の板挟みになっていますよね
本当に常に誰かしらの、両極端の真ん中に置かれていて板挟みになっている状況は可哀想だなって……。今のところ南雲は回想シーンでしか笑っていないので、笑ってほしいなって思っています。
―――演じる中で難しさを感じたり苦戦したりしている部分は?
板挟みになった時に突発的に怒るということを要求されることが多かったんですけど、絵里菜に「俺は正義なんだよ!」と言うシーンでも、自分が最初に監督に提示したお芝居はもう少し落ち着いているというか、怒りの気持ちは同じなんですけど自分の中でもう少し抑えている方向でやっていましたが、もっと出そうという話になり。監督が求めるものに対応していく時に、傍から見てやりすぎているように見えないように、そこを上手く折り合いをつけるというか、監督に言われたことをどこまで理解して演じられるか、というところが少し難しかったです。