――『忍法浪漫剣劇「百花百狼 ~戦国忍法帖~」~月下丸の章~』に出演が決まった時の気持ちを教えてください
正直この作品を知らなくて、どういうお話なのかまずは原作になっているゲームについて調べました。今までやったことがない乙女ゲームというジャンルで、なおかつヒロインがいる男の子の役を演じたこともなかったのですが、新しい世界観に挑戦できるんだなとすごく楽しみでワクワクしていました。
――月下丸を演じるにあたって、役作りはされましたか?
役作りをする前に、実際にゲームをプレイをしている人たちや世間の印象を調べたり、ゲーム好きな友人に意見を聞きました。原作がある時は原作に忠実に演じることを心がけているので、そのまま飛び出してきたような印象を受けてもらえるような役作りをしようと思いました。

――古谷さんも実際にゲームもプレイされたんですか?
稽古に入る前にやりました。でも自己流で進めていくと、僕が演じる月下丸のルートにならなくて(笑)。月下丸じゃないキャラクターにヒロインの子が恋に落ちちゃって、舞台のお話にならなかったんですよ。2回やって両方ともダメだったので、最終的には月下丸のルートになるよう攻略法を見ながらやりましたね(笑)。
――ようやく舞台に向けての準備ができたんですね
そうですね。月下丸の話はこういうことなんだと理解して……すごく僕は衝撃でした。こんなに悲しいお話があるんだなと。でもその想いを大切にしようと思いました。実際にゲームをプレイして感じた悲しい気持ちをお客様にも受け取ってもらった上で、舞台ならではの良さを届けられたらいいなと思っています。
――古谷さんから見て月下丸はどういう方でしたか?
理想の生き方をする男性ですね。彼はとにかく槐様一筋で、槐様のためだったらなんでもできるし、決まりごとも破ってしまう。僕も好きなことをやっていますが、嫌なことや納得いかないこともあって、好きなものだけに捧げて生きていくのは難しい。
だから月下丸の槐様のためだったらと、一途で自分を曲げない姿は男性の僕から見てもかっこいいですし、理想の男性です。
――古谷さんにとっての槐様のような存在は?
お客様です。ちょっとクサい話になってしまうんですけど、お客様がいないと舞台をやる意味がないと思っているので。特に自分のことを応援していただいているお客様のためにと思って舞台に立っています。
――稽古場の雰囲気はどうですか?
今回、初めましての方が多くて最初はすごく緊張していました。でも、小笠原健さんや僕よりキャリアも年齢も上の方々が稽古場を和ませてくれていて、稽古場に行くのが楽しいです。キャラクターのことをどういう風に演じていくのか話し合いながらも、他愛もないことで笑ったり、フランクな現場になっています。
――劇中ではアクションもたくさんあるとか
めちゃめちゃありますね。ゲームで月下丸をはじめ、出てくる忍たちが戦っていくんですけどそれを描くために殺陣がありますし、見どころのひとつです。
――ということは、稽古も大変ですよね
そうですね。今まで見たこと無いような武器も多くて、それを舞台上で振り回さないといけないんです。また、ゲームでは写真と文章だけで戦っている動きは見られないじゃないですか。それを体現しなきゃいけないので、殺陣師さんも大変ですし、僕らも大変です……(苦笑)。
――その分やりがいもあるんじゃないですか?
あります。逆を言えば描かれていない分こっちで想像して作り出せるので、それはさっき言った“忠実に描く”というところから抜け出して自由に描けるところになるので、やりがいも楽しみもありますね。

――稽古中のエピソードは?
ヒロインの槐様役の花房(里枝)さんが最近まで別の舞台の本番をやっていたので、代役を立てて稽古をしていました。その代役の方が(酒井)駿くんだったんですけど、彼とラブシーンをやらなきゃいけなかったんですよね(笑)。「全然気持ち入らないわ!」ってつっこんだりしてかなりくだけた感じでやっていました。演出の宮城さんも「どうにか女の子だと思ってやって」って笑っていたり。駿くんは僕よりも身長が高いので「全然女の子に見えないんですけど!」ってふざけて怒ったふりをしていました(笑)。
――作中で注目してもらいたいポイントや見どころを教えてください
ゲームでは見られなかった表情や体の動き、立ち姿や殺陣など舞台でしか描けない部分を注目してほしいなと思います。僕らが持っている考えやこだわりを舞台上でお客様に認めてもらえるように稽古を積んでいるので、そういったところも届いてほしいですね。