――舞台『陰陽師 生成り姫』に出演が決定した際の感想を教えてください
全く信じられなかったです。決定する少し前にマネージャーさんからもしかしたら出演するかもしれないと聞いていて、その時点で「私が松竹さんの舞台に出られるわけがない」と思っていました。本当に出演が決まったと聞いてもしばらく実感が湧かなかったです。
――台本を読んだ感想はいかがでしたか?
ちゃんと役がある!と感動しました。出演時間はそこまで長くはないんですが、役があることが嬉しかったです。
――夢枕獏先生の小説が原作となっていますが、原作は読まれましたか?陰陽師についてどのようなイメージを持ちましたか?
原作は台本をいただいた後に拝読しました。陰陽師については原作を読むまで知らなかったんですが、安倍晴明の出身地が奈良という一説もあって、私の出身地も奈良県なので親近感が湧きました。

――太田さんが演じるのは綾子姫です。姫を演じる心境はいかがですか?
姫の感覚は全然ないのですが……(笑)。でも姫を演じようというよりは、自分の思ったことを全部言っちゃうような、等身大なわがままな女の子を頑張って演じようと思っています。傲慢なところがあるのに意外と可愛い一面もあったり、一番ふり幅があるキャラクターだと思っていて、「可愛いところもあるな」って思っていただきながら憎まれるギャップを見ていただきたいです。
――物語の前半は綾子姫の見せ場にもなっているかと思います
結構重たいお話ではあるんですが、綾子姫のところは少しギャグっぽい、笑える場面になっているので、すごくおいしい役をいただいたと思っていて本当にありがたいです。
――時代物の作品に出演するのは初めてかと思いますが、ポスタービジュアルで綾子姫の扮装をしてみた感想は?
和服ってすごく神聖で素敵ですけど、やっぱり大変なんだなと思いました。着ていてもそうですし、ヘアメイクさんが直してくださる時も、髪の毛一本あるかないかだけで印象が変わりますし、衣裳も一ミリのズレなどにも気をつけて慎重に撮影したので大変さを実感しました。
――和服での所作や立ち振る舞いで苦労していることはありますか?
私は普段猫背で首が前に出がちなんですけど、猫背ってこういうお衣裳では厳禁なので特に姿勢に気をつけるようになりました。
――綾子姫とご自身で似ている部分はありましたか?
全くなかったです。綾子姫は20歳くらいとお聞きして、年齢は近しいところではあったんですが、男性やお金があって権力を持っている(藤原)済時様に対してはすごくデレデレしていて、私はそうならないなと思います。でも、綾子姫は思ったことを全部言葉にする子なので、自分が普段出来ないことを出来るのは楽しいなと思います。
――演じる上で気をつけようと思っている点があれば教えてください
少しネタバレになってしまうんですが、綾子姫は悲惨な目に遭うんですよ。初めの方は、お茶目な一面もあるし、客観的に見て可愛いキャラクターだなと思うんですが、悲惨な目に遭った時に「可哀想」と思われるのではなく、「ざまあみろ」と思われるようにならないといけないので、客席の皆様に思いっきり嫌われるように演じないとなと。鬱陶しいと思われるのが正解なので、そう感じてもらえるように頑張ります。

――平安時代が舞台となっていますが、役を演じてみて平安時代に魅力を感じた部分や新しい発見はありましたか?
稽古場に平安時代の本や資料を置いてくださっていて、平安女子の生活についての本もあったので、稽古の合間に読んでいたのですが、恋愛事情のページを見た時に平安時代は顔を見ずに恋をすると書かれていました。男性は顔を見ずに女性に手紙を送って、そこでやり取りをしてお互いの相性を知っていく、みたいな。最初は顔を見ずに選ぶってどういうこと?と思いました。でもその後読み進めたら女の子の恋心が今と遠くないものだったりしたので、平安時代も恋愛の部分は意外と変わらないんだなと思いました。
――太田さんご自身は平安時代で生きられそうですか?
シャンプーが毎日出来ないというのを読んで、それは無理だと思いました(笑)。髪の毛の長さが美しさの基準になっているというのも、私は髪も短い方が楽って思ってしまうので、そこで美しさを競う平安時代はちょっと厳しいなあと思いました。