――主演の三宅健さんの印象はいかがでしたか?
私が芸能界に入るずっと前から芸能界で活躍していらっしゃる方で、お会いした時に一番初めに思ったのが「お肌が綺麗」でした。
――ポスタービジュアルもとても美しいですよね
本読みや稽古の時はマスクをしているんですが、お水を飲む時とかに少しお顔がお見えになると「お肌綺麗!!」と驚きます(笑)。私もちゃんとしなきゃいけないなとすごく思わされています。
――三宅さん以外にも、音月桂さんや姜暢雄さん、木場勝己さんと先輩方がたくさんいらっしゃいますが、稽古場で皆さんの姿から吸収出来ていることは?
稽古を見ているだけですごく勉強になります。皆さん稽古以外の時間では優しく話しかけてくださって、稽古になったら一瞬でスイッチが入るのがすごいです。姜さんとご一緒するシーンがあるのですが、「ここをこうしたらもっと良くなるかも」と私の方が圧倒的に後輩なのに丁寧にアドバイスしてくださって。本当に優しい方ばかりです。

――製作発表の際に、三宅さんが鈴木裕美さんの演出について「苦しみを感じてます」と話されていましたが、鈴木さんの演出はいかがですか?
すごく厳しいと伺っていて、私自身経験も少ないし芝居も上手ではないと分かっているので、絶対怒られる……ってドキドキしながら本読みに行って。でも、怖いという印象ではなくて、裕美さんの全部の言葉が正しいんですよね。自分が稽古をしている間に頂いた言葉も全部「確かに」と思う言葉ばかりでした。舞台を良くするために言ってくださっているっていう愛を感じて、私は裕美さんのことが大好きなんです!本当に素敵な演出で、勉強になっています。
――『陰陽師 生成り姫』では、徳子姫が鬼に化けてまで誰かを愛するということが描かれていますが、そこまで誰かを強く思うような、そういう恋愛に憧れることはありますか?
ないですね……(笑)。恋は盲目と言いますけど、怖いなと思ってしまいます。見えないものは怖いので、常に周りを見ながら生きていきたいです。
――稽古場での印象に残っているエピソードがあれば教えてください
とある場面で、最後に木場さんが「ははははは!」って笑いながらハケていくシーンがあるんですが、そこがかっこよすぎて心を奪われました。これが舞台役者さんなのかと思い知らされました。その日、裕美さんに頂いた言葉が「小劇場だったらそれでいけるかもしれないけど、新橋演舞場と南座ではそれじゃ足りないよ」と。確かに、自分のパワーはこの大きい会場には絶対届かないなと思った後に木場さんのシーンを拝見して、「これだ!」と。このお芝居だったら劇場の後ろの席まで絶対に伝わると思い、印象に残っています。
――太田さんがパワーをつけるために行っていることはありますか?
とにかく声を出した方が良いと思っています。前の舞台でも、迷ったらとにかく声を出して!と言われて、声量を出せば良いというものでもないですが、声を出した方が絶対に伝わると思ってとにかく声を出しています。私は滑舌が悪いので、朝起きた時や稽古が始まる前に発声練習をしています。
――どんな方に『陰陽師 生成り姫』をご覧いただきたいですか?
平安時代の話って少し固いイメージでなかなか踏み出せない方もいらっしゃるかもしれませんが、『陰陽師 生成り姫』は原作をご存知の方も多いでしょうし、お話自体も気を張らずに楽しめると思います。シリアスな場面の中にちょっと笑えるところもあるのが素敵だと思っているので、たくさんの方に見ていただきたいです。

――2019年にNMB48を卒業し、その後は女優としても活躍されていますが、お仕事への向き合い方に変化はありましたか?
変わりましたね。グループにいた頃は人と話すのが苦手で、握手会はまた別だったんですが、自分のことを人見知りだなと思っていたし、コミュ力が全然無いなと思っていました。一人でお仕事をするようになってそんなこと言っていられないと思うようになりました。お芝居のお仕事だったら共演者の方々と色々お話をして距離を縮めた方が絶対良い作品になると思いますし、こういう取材をしていただく時も、全部一人なので、人と話すことへの考えはすごく変わりました。
――話すことに対して、ポジティブに考えるようになったのでしょうか
昔は自分の言葉一つ一つを全部気にしていて、こうやって言ったら後でどう思われるんだろうとか、言わなきゃ良かったなとか色んなことを考えてしまって堅苦しかったなと思います。人って自分が思っているほど自分のことをそんなに気にしてないと考えるようにしてから、日常生活でもお仕事でも、人と話すことへの抵抗が少し無くなった気がします。
――今後、挑戦してみたい役やお仕事があれば教えてください
ずっと思っているのは、少年みたいな役をやってみたいです。本当に少年なのか、少年っぽい女の子なのかは全然考えてないんですがやってみたいです。そして、いつか絶対ミュージカルに出演したい想いがずっとあります。
――ミュージカルに憧れる理由はあるんですか?
昨年『ウェイトレス』と『17 AGAIN』を観劇して、ミュージカルに出演してみたいという想いが強くなりました。私は歌が上手いわけじゃないのですが、いつか挑戦出来たらなと思っています。
――ミュージカル作品で太田さんの活躍を見られるのを楽しみにしています。最後に、ファンの方々へのメッセージをお願いします
2月18日で芸能デビュー10周年になります。10年前から応援してくださっている方はもちろん、この10年の間に私のことを知って、舞台に来ていただいたりイベントに来ていただいたり、応援してくださる皆様には感謝しかありません。一人になって、自分の力不足を知って、だからこそ応援してくださる方がいて、帰れる場所があるというありがたさを最近本当にしみじみと思います。いつもありがとうございます。11年目もよろしくお願いします!


カメラマン:Kuro、文:村松千晶