――映画『ブルーロック』に出演が決まった時の気持ちを教えてください
原作ファンだったので、とてつもなく嬉しかったのと同時に、サッカー作品を実写化するとなった時に、どうやってやるんだろうとか、個性がある雷市をどう演じようか悩みましたし、不安でした。
――オーディションの思い出はありますか?
まず、グループオーディションだったんですけど、個人的にはそこまで上手くいった感じはしていなくて、もう少し色々できたなと思いながら帰った記憶があります。その後にもう一度呼んでいただいて、悔いが無いようにやろうと決めてからは、自分の個性とキャラをしっかり出そうと、オーバーだと言われても良いから大きめに、というのを意識してオーディションを受けました。
――原作はかなり巻数が進んでいますが、映画の台本を読んだ感想はいかがでしたか?
思っていた以上に、原作のセリフを順守しているなと思いました。だけど、試合中やセリフ以外のところをどう表現するのか、普段は言わないであろうセリフとかもたくさんありましたが、漫画ならではと感じるような表現やセリフも入っていたりしたので、僕が演じるんだったら、雷市をどう自分に落とし込むか、漫画やアニメのまま演じていたら実写化でやる意味が無いと思ったので、もし雷市が本当にいたら、と考えながら演じなければいけないと、台本を読んだ時により強く思いました。瀧(悠輔)監督も最初の本読みの時に、「僕たち人間がこの『ブルーロック』のキャラを演じる意味も大事にしていこうね」とおっしゃっていました。
――オーディションの時点から、雷市を演じるのは分かっていたのでしょうか?
聞いていなかったです。後から連絡をいただいて、雷市ともう一つの役で残っていると言われました。原作が好きで、雷市も好きなキャラクターだったので、雷市だったら良いなと思っていました。


 

――そんな思い入れのある雷市の魅力はどのような部分でしょうか?
雷市は言葉こそ悪かったりしますし、態度もオラオラしているところがありますが、最初は自分のために、というところから結局はチームを勝たせるために身を削るというか、最後の方は潔に言われて、チームが勝つためにはどうしたら良いのかを考えて実行するところが、乱暴な言動とは違い、献身的で素直で、ちょっと可愛らしい部分でもあるのかなと思います。「座右の銘はセクシーフットボール」と自分で言っていますが、あまりにも泥臭いサッカーをするので、そういうところにギャップがあり、なんだかんだ良い奴なのが拭いきれないのは、雷市の魅力なのかなと感じます。
――演じる時に特に意識していたことはありますか?
雷市は口も悪いですし、どこにでも噛みついて、誰よりも“エゴ”をむき出しにしているキャラクターだったので、皆が発した言葉に全部敏感になるように演じていました。普段だったら「何か言ってるな」と流しているのを、聞こえたことに全部反応するような、「お前何言ってんだよ」って噛みついて、人の一挙手一投足を見逃さないように、色んな人の声と動きにうるさいぐらい反応してみることを、演じながら大事にしていました。
――雷市に共感できる部分はありますか?
性格上はあまり似ている部分は無いなと思いながらも、演じる中で思っていたのは、僕もサッカーをやっていて、ポジションが一番後ろのセンターバックという、守りの要みたいなところだったんですけど、フィールド全体が見えるので監督からも「キーパーはキーパーなりの声かけがあるけど、フィールドプレイヤーとしてお前が一番見えているんだから、絶対声をかけ続けなきゃいけないよ」と言われながら、ずっとサッカーをしていました。雷市も試合中に「お前たちもっとちゃんとやれよ!」とか「こうしようよ」と言うキャラクターだと感じていて、やりやすかった部分もありました。試合のシーンではアドリブで声かけをして良いと監督に言われていたので、僕がやっていたサッカーが生きた部分だと思います。
――特技のサッカーがお芝居に生きたのは、嬉しいものがあったのではないでしょうか
『ブルーロック』に出演して、これほどサッカーをやってて良かったって思ったことがないぐらい、自分が今までやってきたものが仕事に繋がっていくことはこのお仕事だとありがちですが、今回それが身になって、本当にやってきて良かったですし、この仕事をやっていて良かったなと思いました。


 

――ちなみに、石川さんのプレースタイルはどんな感じだったんでしょうか?
僕は雷市と似ていました。多分、雷市は作中で1回もシュートを決めていないんですよ。描かれていないところでは決めていると思うんですけど、大きい試合では点を取っていなかった気がして、僕もそういうタイプでした。ずっとディフェンスをやってたりしたので、そういうところはすごい似ています。僕もすぐスライディングしてましたし(笑)
――近しい部分があったんですね
正解かは分からないですけど、監督には「サッカーは格闘技だ」って言われていたので、ガンガン相手に当たるし、言葉でも煽るし、サッカーをやっている時は多分似ていますね。
――演じた中で難しかったところはありましたか?
原作とアニメがあったので、絵に声と魂が吹き込まれた状態のものがあるというのは、それが正解というわけではありませんが、実写化する時にどうしたらこの人たちがこの世界に存在していてもおかしくないのか。言っていることや、やっていることはすごく現実離れしていますが、僕ら人間が実写化する意味を持たせる作業に悩みました。僕らがやる意味をずっと探しながら演じるというのは、実写化の難しさだなと思います。
――撮影中で手応えを感じた瞬間はありましたか?
ずっと不安だったんですけど、共演者の皆が「大丈夫だよ」「今の良かったよ」と褒めてくださったり、相談に乗ってもらったりしていく上で、これで良いのかなと思えましたし、監督とお話する機会を作ってもらった時に「雷市は大丈夫。体の中に落とし込まれているから、変に考えずに自分が思うように演じてくれれば良いよ」「俺が何も言わないってことはそういうことだよ」とおっしゃってくださって、それを聞いた時に自信に繋がって、色んな人に助けられながら演じ切れた感じです。
――現場の雰囲気はどうでしたか?
皆、仲良かったです。撮影中は座長の文哉くんがしっかり締めてくれました。それ以外の時間はずっと一緒にいて、自分たちが撮影していないところで、皆でサッカーボールを何回落とさないように続けられるかとか、ずっとボールを使って遊んでいました。撮影の雰囲気自体も良かったと思いますし、そうじゃなきゃ多分この作品は撮れなかったんじゃないかなと思います。
――それぞれの“エゴ”もありつつ、チームとしてまとまっていたんですね
雷市の自分よがりな部分を演じるにあたっても、まずは人として信頼関係ができていないと、キャッチボールではなくただの投げ合いになってしまうので、石川雷蔵としてコミュニケーションを取って絆ができた上で演じると、僕は安心感が生まれますし、僕がこういうキャラで何をやっているか理解してもらえているから、こういうことをしても大丈夫だろうと思えるので、そこは撮影していて生きる部分だったと思います。