――山本さんが出演する劇団☆新感線『天號星(てんごうせい)』は絶賛稽古中とのことですが、手ごたえはどうですか?
進み具合で言うと私は(新感線の稽古に参加するのが)初めてなので順調なのかは分からないんですけど、でも今2幕に入って、半分以上はストーリーとして1回お芝居が付いたかなという感じです。(取材は8月中旬)
――出演が決まった時の心境を教えてください
上京して初めて観た舞台が『髑髏城の七人 Season鳥』で、その時の衝撃たるや今でもずっと忘れられない作品の一つとなっています。その時からいつか新感線に出たいと色んなところで言ってきたんですけどなかなか叶わず、今回は念願叶っての出演なので、これから始まりますが、上京して抱いていた目標が一つ叶ったなと思っています。
――周りの方から反響はありましたか?
ありました!お話をいただいたのが1年半ぐらい前なんですけど、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の撮影に入るタイミングで、新感線に既に出演されていた先輩方がたくさんいたので、出るんですという報告と、プラスでどうしたら良いかアドバイスをいただきました。
――どのようなアドバイスがあったんですか?
とにかく皆さん「怪我しないようにね」とか「体力的に結構大変だと思うけど」と。でも新感線と言えば派手な立ち回りだとか歌やダンスみたいな、ものすごいダイナミックなイメージがあるので「アクションを存分に活かせるといいね」とポジティブなお言葉もいっぱいいただきました。

――台本を読んでみた感想は?
新感線は何度も色んな作品を観させていただいたので、台本の要所要所で「あ、ここで新感線独特の音が入るのかな」とか、そういう想像をしながら読むのはすごく楽しかったです。あとは私が憧れを抱いた『髑髏城~』の沙霧という役があるんですけれども、今回は沙霧のようなちょっと強くて心優しい女性像を中島(かずき)さんが書いてくださって、まだ試行錯誤はしていますが、すごく嬉しい悩みを抱えながら役と向き合っているなと思います。
――山本さん演じる早風のいぶきの役どころについて教えてください
殺し屋稼業の“引導屋”である藤壺屋に生まれた一人娘ですが、殺し屋の手下の男性たちの中に娘一人で育って、お母さんと古田(新太)さんが演じるお父さんがいるということで話が進んでいきます。いぶき自身も幼少期から当たり前のように訓練を重ねてきて、男性陣の中で自分も負けないぞという気持ちもありながら、血の繋がりは無くても家族のように手下たちと一緒に過ごしてきたので、すごく心の優しい女の子で。でもお父さんにはちょっと反抗してしまうような一面もあって……ってストーリーを全部言っちゃいそうになる(笑)。家族の物語でありながら、いぶきとしての成長物語でもあります。
――ご自身と役で似ているところは?
共通点を強いて挙げるとしたら、家族の仲が良くて親戚や近所の人が集まってわいわいするような環境が似ていると思いました。あとは私もずっとスポーツをしていて、どこかで男の子に負けたくないという闘争心みたいなものはあったので、いぶきの負けん気が強いところは似ているかなと感じています。
――稽古を重ねる中で役を演じるのに気をつけたいことがあれば教えてください
今は本当に新鮮に毎日稽古をしている段階で、新感線の稽古の感じもすごく独特だなって思っていますし、いのうえ(ひでのり)さんが自分のビジョンを見せてくださる方なので、今はそれをなぞっているだけでも楽しいです。ただ、全体を通した時に自分の中で持っているものを芯に残しておいて、お芝居に繋げられたらいいなと思っています。

――今回山本さんと同じく久保史緒里さんも新感線初参加となりますが、二人で励ましあったり、何かお話はされましたか?
私よりも5歳若いのにすごくしっかりされていて、でも人見知りな可愛らしい性格で、やっとここ最近久保さんの方から話しかけてくれるようにもなりました。今はまだちょっと気を遣ってくれている部分があると思うんですけど11月の終わりまで一緒なので、古田さんに甘えながらも、女子同士で話したり、もっと打ち解けてもらえるように引き込みたいなと思ってます!
――お父さん役にあたる古田新太さんはどのような方ですか?
稽古場ではすごく口数が少なくて話しかけても本当に一言しか返ってこないぐらいなんですけど、でもご飯の場になると本当に可愛らしくて!色んな俳優さんが古田さんを探し回るというのが分かるぐらい、そのギャップが素敵なんだろうなと思います。稽古場で口数が少なくても、私たちのことをすごく気にかけてくださっているというのが見た目やオーラで分かる、愛に溢れた方です。