――映画『炎上シンデレラ』が初主演作品となりますが、出演が決まった時の気持ちを教えてください
初主演ということで緊張の気持ちと、新しい挑戦だったので楽しみな気持ちと半分半分でした。
――周りの方々から反響はありましたか?
何よりも母が一番喜んでくれました。ファンの方もSNSで情報解禁させていただいたら、皆びっくりしていて、私はモデルの仕事のイメージも強かったので「え!芽衣ちゃんが映画初主演!?」って反応をいただいた時に、本当にやって良かったなと思いましたし、情報解禁をしてやっと実感が湧いた感じです。
――脚本を読んだ感想は?
最初に読んだ時は、みつほの環境というか女優さんに挑戦していく現状と私って今すごい似ているなと思って。あと、そもそも最初に脚本をいただいた後にさらに監督と話して、私のことも含めて当て書きをして改訂した部分もたくさんあったので、そういうふうに一緒に作り上げていくことは新鮮で楽しくやらせていただきました。

――役作りで意識したことはありますか?
みつほは何を考えているか分からないところだったり、周りを振り回したりするあざとさがあるなと思ったので、ある程度私の中で考えつつも、初主演ということで決めすぎて行くというよりかは色んな人の意見を聞いてみつほという人間を作っていきたいと思っていたので、自分だけで役作りを考えたというよりかは、皆で作り上げた感じだったので、自分だけが役作りで苦労したっていう部分はあまりなかったですね。稽古をしていく中で、どんどん「何となくみつほが分かってきたかも」っていう繰り返しでやっていました。
――尾崎将也監督からはどのような演出がありましたか?
みつほはあまりセリフは多くなくて、口数が少ないからこそ不思議な子に見えると思うんですけど、セリフが少ない分、表情でどういうふうに見せていくかは一番こだわっていたところで、あざとさを表現するにはとか、何を考えているか分からないように見えて信念はあるんだよって見せる目の動きだったり、そういうものをたくさんアドバイスしていただきました。
――役と共通する部分はありましたか?
普段、私も何を考えているか分からないってたまに言われるんですよ(笑)。そういうところもそうですし、一度追放された芸能界を諦めない心や未練があってもう一度挑戦したいって思う図太さじゃないですけど、そんな隠された気合いみたいな部分は、私も熊本から東京に上京している中でずっとここで生き残りたいっていう想いがあるので、そういうところはリンクしているのかなって思います。
――田代役の飯島寛騎さんの印象は?
お会いする前はすごいクールで今時の方かなと思ったんですけど、初めてお会いした時からすごくほんわかしていて優しい人っていうイメージでした。田代との(会話の)キャッチボールをするシーンがたくさんあるので、一緒に相談しながら作っていこうと思って「この時、私はこうしようと思うんですけどどうですかね」って聞いたりして、「それで良いと思うよ」とかたくさんアドバイスをしていただいて助かりました。安心してみつほを演じられたのは飯島さんがいたからだなって思っています。

――小劇団に入り、舞台稽古をするシーンの撮影はいかがでしたか
あんまり演技のレッスンとか舞台をやったことがなく、団体で一緒に作っていくみたいなことがこの作品が初めてで。ただ、撮影の前に稽古の時間があったので、稽古の時に答え合わせというか、こういう時にどう動くとかどう思うとかっていうのを事前にやっていたので、撮影はすごくスムーズでした。ただ、劇団員の方全員が個性的で、皆さんすごく面白かったなって印象です。
――田中さんご自身も舞台やってみたいなって思いましたか?
舞台はまだ思わないですかね……(苦笑)。でも、作品中で劇団の皆と稽古をやっている時はすごく楽しかったので、いつか私自身タイミングがあれば、と思います。
――撮影中に印象に残っているエピソードがあれば教えてください
お芝居のシーンは事前に稽古をしていたので、撮影はスムーズだったんです。でもいざ現場に入ってみると、「すごい、(照明が)眩しくて目が開かない……!」とか、現場に入るとリハーサル通りではないなと思いながらも、それも楽しみながらやれたかなと思いました。でもちゃんと映像見たら目が開いていたので良かったです(笑)
――SNSで批判を受けるシーンもありましたが、田中さんはエゴサはしますか?
しますね。ただ、普通に生きていてもそうですけど、100人に会って100人に好かれる人なんてそもそもいないので。私の批判的なコメントももちろんあるんですけど、その人の意見だってちゃんと受け入れるタイプです。でも見ますよ、普通に。傷つきますけどね(笑)。嫌だなって思うけど、人がどう思ったのかを知りたいタイプなので検索したりします。
――見るけどあまり抱え込まないんですね
そうですね。この仕事を始めた当初からSNSはやっているので、慣れたというか、最初の頃はやっぱり落ち込みましたけど、今はあんまり考えすぎず、「そうですよね、すいません」くらいでいます。でももっと平和な世界になってほしいなと思いますけどね。

――田代との出会いが芸能界を追放されたみつほの人生を動かすきっかけとなりますが、田中さんの中でターニングポイントに現れた人や出来事は?
十代からお仕事をしてきて、ずっと走っている状態だったんですね。何かしらずっと仕事をしていて、それがコロナの時に急に一気にストップして、休む時間でもあったけど暇で何をすればいいか分からない時に、本当にしたい仕事って何だろうとか、ちょっと悩んだ時期があったんですけど。そういう時間を過ごした中で、やっぱり好きなお仕事って自分を表現する芸能のお仕事だなって思いました。誰かと会ったとかいうより、その時間が割とターニングポイントになって、その時期に『炎上シンデレラ』が決まったんですね。だからお芝居も前向きに続けていきたいと思った大きなきっかけになりました。
――一度止まったことで自分を見つめ直す時間になったんですね
今まで振り返る隙も無く慌ただしく、仕事もして友だちとも遊んで、たまに地元に帰ってみたいなサイクルだったので、ふっと休む瞬間って意外と無かったんですよね。お家でボーっと考えた時に、本当にこのお仕事が好きだなって確信出来たのと、プラスでこの話も来てやりたいと思って、良い意味でターニングポイントだったのかなって思います。
――『炎上シンデレラ』の見どころを教えてください
みつほはやっぱりあまり口数が少ないが故に、表情とか動きをよく観察していただきたいなと思うのと、ちょっとコメディ要素だったり、SFっぽさとかもあるので、そういうところも楽しんでいただきたいなって思っています。
――かなり不思議な世界観ですよね
不思議な世界観ですよね。だからある意味答えが無い映画なのかなと思っていて、観る人によってどう感じるか全く違うっていうのが多分面白さの一つでもありますし、みつほが何を考えているのか人それぞれ想像するのが違うのかなと思うので、そこも楽しんでいただきたいなって思います。