――ミュージカル『東京ラブストーリー』に出演が決まった時のお気持ちを教えてください
素直にミュージカル作品に出られるのは嬉しかったんですけども、作品が『東京ラブストーリー』だと伝えられた瞬間に、「東京ラブストーリーってあの東京ラブストーリーですか?」みたいな。やっぱり原作もとても人気で、僕が生まれる前に放送されていたあの有名なトレンディドラマの初ミュージカルに出演するのかと思うと、日本を背負った気持ちになってしまったというか。
――知らない人がいないといっても過言ではない作品ですもんね
僕の両親の世代なんてドンピシャなので、三上を演じるにあたってドラマを観た方々からは比較もされると思っていて、そこらへんが不安ですし、今は怖さもありますけど、自信を持って公演できるように稽古を頑張っています。
僕自身ここまで本格的なミュージカルは初めてで、以前だとミュージカル『テニスの王子様』や『Oh My Diner』に出演させていただいたんですけど、今回はちょっと新しいターニングポイントとなるのかなというくらい緊張しています。
――出演が発表された後、周りの方から反応はありましたか?
親戚のおじさんおばさんからの声が一番多かったですね。「東京ラブストーリー出るんだ!」って。

――原作漫画とドラマがありますが、ご覧になりましたか?
どちらも見ました。今、稽古場に置いてある原作漫画を全部読んだんですけど、ドラマと全然違うなという印象で、三上ってこういう子なんだと、今まで思ってたイメージを覆されたような感覚になりました。
――増子さんが演じるのは三上健一役ですが、どのように映りましたか?
三上はチャラいけど寂しいやつというか、結構心が弱い子なんだなって漫画を読んで感じました。親ともうまくいっていなくて帰る場所がなくて、自分の心を埋めてくれる場所を探しているんですよね。あと「心は浮気してないから」とか言ったりして、所々の言動は男としてダメだなとは思います(笑)。でもなぜか女性を引き寄せてしまうような雰囲気や話し方で、転がすのが上手いなというか……。女性はきっと完治みたいな真っすぐで一途な男の子を求めるかもしれないですけど、実際に会ったら三上を好きになってしまうような魅力的な男の子なんだろうなということは再認識しました。
――役を演じる時の気をつけようと思っているポイントはありますか?
立ち稽古はしていますけど今は始まったばかりなので(※10月取材)、皆が模索している感じはあります。完治とリカとさとみ、4人での動きとかもお芝居を見てから考えていかないとな、と思います。三上としては、一番は遊んでそうというか女性をずっと手のひらで転がしているような感覚で、でも研修医なので姿勢や歩き方を気にしつつ、余裕がある感じで演じようと思っています。
――三上に共感出来る部分はありますか?
東京というすごく忙しなく若者も多い街で、埋もれないようにするため必死に生きている人は色んなところにいると思います。三上みたいな男は。で、寂しいが一番なんでしょうね、きっと。モテたいとかもあるかもしれないけど、一人じゃ眠れないとかあるんじゃないかなって考えたりもします。

――今回は「空キャスト」と「海キャスト」のダブルキャストで上演されます。増子さんが所属する海キャストの皆さんとお会いした時の印象は?
空キャストの方たちは落ち着いているんですけど、僕たちは同世代で気も合いますし、ずっと稽古場で話しています。気の合う人たちと巡り合えて良かったなと思います。
――海キャストで主演を務める濱田龍臣さんの印象は?
僕の一個下に見えなくて、大人びすぎています。稽古場での格好がツナギで前髪をちょんまげにして結んでいて、全然22歳には見えないですね(笑)。セリフを覚えるのも早いですし、稽古をしていて完治そのものだなって思うので、すごいなと思います。
――稽古場では空キャストの皆さんとも一緒に稽古しているんでしょうか?
稽古では空キャストの皆さんの後に海キャストがやるので、どういう感じで見てくれているのかも分からないし、緊張もします。あとは、どこまで盗んでいいのかも考えます。一緒だとつまらないので変えなきゃと思いながら、でも良いところは盗みたいし……すごく難しいですね。
――他の舞台とはまた違った稽古のやり方なんですね
ワンシーンワンシーン、空キャストと海キャストで交互にやっていて、お互いに見られることもこれまでなかったので不思議な気持ちです。

――空キャストで三上を演じる廣瀬友祐さんとは役について意見のすり合わせなどは行っているんでしょうか?
何度か僕が相談しに行って、「ここってこういう意味ですよね?」と聞いたりしています。廣瀬さんは「そういう解釈も良いと思う」って言ってくださって選択肢を広げてくださるところが優しいですし、廣瀬さんを見ているとすごく勉強になります。これまで色んな舞台を踏んできた方なので稽古に対する姿勢や佇まいとかを学ばせてもらっています。
――稽古場の雰囲気はどうですか?
良い緊張感があります。初日に比べるとだいぶ柔らかくなってきたのかなと思いますけど、まだ全体が通し終わっていないということもあり、アンサンブルの方々も多いので、緊張感に包まれながら「よし、やるぞ」ってスイッチを入れています。