――映画『マリア様がみてる』へご出演が決まった時の心境はいかがでしたか?
原作がすごく世界観のある小説だったので、役者が演じてどうなるんだろうって、全然想像がつきませんでした。それが少し不安なのと、楽しみなのと両方でした。
――波瑠さん演じられる祥子について教えてください。
祥子は学園のいわゆるスター的な存在で、カッコいい先輩みたいな感じで後輩も憧れていて、本人もすごく育ちのいいお嬢様で見た目も美しいし内面もちゃんと整っていて、でもクールというかあまり感情が表に出ないので実際は悩みや葛藤があったりするんですけど、それも周りにはあまり伝わっていなくて、カッコよくでクールな祥子さまですね。

――何か特別な役作りはされましたか?
役作りっていう役作りは、何をしていいかわからなかったので、お嬢様がやる、私たちから見たら見慣れない事をできるだけ自然に出来るようになろうと思いました。動きだったり、姿勢だったり、喋り方とかを「やっている」感ではなく、自然に出るものに染みつけようと思いました。
――祥子を演じる上でのこだわりがあったら教えてください。
台本だけで見ていると、セリフは淡々としているし、感情なんて出さないっていう感じなんですけど、それをどう肉付けしてキャラクターにしていくかだなって思っていて。演じているうちに祥子の中にもクールに見えて熱があることがわかったので、そういう所を見せるなり隠すなりで、生き生きとした可愛い祥子にしたいなっていう祥子に対する思いみたいなのがありました。
――社交ダンスのシーンがありましたが、これまでに社交ダンスの経験は?
なかったです。初めてで、1からすごく簡単な所から先生に教えてもらいました。祥子と一部のメンバーは応用の難しいステップとかをやったりするので、てんやわんやです。
――社交ダンスはどれくらいの練習期間がありましたか?
ダンスレッスンと、シーンのリハーサル合わせて1週間くらいですね。ゴールデンウィークをそれに当てた感じになるので。できるだけ空き時間とかをピアノとかダンスの練習に当てるようにしていました。

――祥子と波瑠さんでリンクする部分はありますか?
感情がそのまま出ないで、若干薄くなって出るんですよね。セーブとかしているつもりはないんですけど、多分表情とかに出にくいんですね。祥子もそうだと思います。祥子の場合は更に、感情を表に出すことが弱みになってしまうから、自分でも抑え込もうとして本当にクールな仏頂面な感じになってしまうんですよね。私はそこまではいかないですけど、あまり感情が見えにくいっていうのは似ているかもしれないです。
――スール(姉妹)制度についてはどう思われますか?
はじめて小説を読んだ時は、「なんだろう」「どういうものなんだろう」って感じでしたね。お互いにどういう感情が成立してそういう関係になるのかが全然わからなかったんですけど、やっていくうちに未来さんが演じる祐巳がいて、お姉さまがいて、それで何となく、「何か」っていうと難しいんですけど、雰囲気で感じる「これがスール制度なのかな」っていうのは体感しました。お姉さまに「この人にだけ甘えがある」でも他の先輩にはないとか。言葉にすると難しいです。
――妹の祐巳を演じられた未来穂香さんはどんな方でしたか?
やっぱり若い。若さっていうか、元気でエネルギッシュで。「疲れないの?」っていう位いつも元気で、場を盛り上げてくれるし。一番若かったけど、ムードメーカーとしての存在感がすごくありました。
――祐巳とのシーンがやはり一番多かったと思うんですが、未来さんとは親しくなれましたか?
そうですね。やっぱり一緒にいる時間が一番多いっていうのは大きくて、しかも一緒にピアノとダンスの練習もして、やっぱりお互いに頑張ることが映画をよりよくすることにつながると思うので、役者さんとしても見て色々考えていましたね。「私がもっとこうしたら、こう感じてくれるんじゃないかな」とか、ほとんど一緒のシーンなんですよ。私がいるシーンには大体祐巳が居たので、そういう事を考える事も多かったですね。

――お気に入りのシーンを教えてください。
色々な面で言うと、クライマックスになる薔薇の温室でのシーンはすごく見てほしいシーンです。それを第一において、私居ないんですけど、みんなで演劇の練習をして衣装とか着てやっているのがすごく可愛くて、私も入りたかったなぁと思いましたね。好きなシーンのひとつですね。
――特に注目してもらいたいシーンは?
シーンっていうよりも、祥子が祐巳と近づいて今までなかった祐巳っていうスパイスが自分の生活に入ってきて、やっぱり揺れると思うんですよ。全体を通して、一番初めの出会いとこれからに繋がるクライマックスの部分での違いとか、ちょっとずつ変わっていく祥子の雰囲気に注目して欲しいですね。最初から最後まで注目です!